不安しかない戦い
『俺たちにはこれがある』『そうだ! 貴族たちなんかこれで!』『魔法の力なんて、意味のない世界になったんだよ!』
敵を待ち構える町の人々が口口にそう言い合っていた。
「なーんか……どっかで聞いたような会話してるなぁ……」
銃を一本持っただけでここまで強気になれるものなのだろうか? とも思う。
ここは町を守る壁の東門だ。石造りの白い色をした壁は、高さが五メートルといったところだろうか?
その壁の上に作られる通路に、町の人々が並んでいる。
彼らは自警団から、戦闘の訓練を受けているらしい……
そういう言い方だが、どうせアテにはできない。日曜日に講習をして槍の使い方を習ったくらいだろうな。
動かないかかしにでも槍を突き刺したりとかしてさ……
そして、あろうことか、実戦では何の役にも立たないその訓練をしただけで、人は強くなった気分がしてしまうらしい。
訓練の成果を出したくて、ウズウズしているということだ……
そして、最初の銃ってもののショボさを説明しよう。
ホルスターなんてない。銃口に弾と火薬を詰めて押し込む。昔、歴史の授業で火縄銃について習っただろうが、あんな感じだ。
一発撃つたびにそんな作業をせっせとしていたら、その間に刺し殺される。
しかも有効射程は五メートル。
五メートルの距離だぞ。弓でも持ってりゃ初心者でも百発百中の距離だ。なら弓使えって話だろう?
有効射程ってのは弾の飛距離の話ではない。敵を確実に狙える距離の事だ。
つまり、おもいっきりまっすぐ飛ばない。弾は、半分以上が上にそれたり地面に潜ったりする。
飛距離だけだったら、弓以上にあるのだが……
とにかく、初期の銃ってのはそんな残念武器なのだ。
正直、今すぐ持っている武器を弓に持ち替えてほしいところである。
だけど、今になって弓なんて渡したら町人全員顔を青くして逃げ出していくだろうしな……
今から逃げたところで、絶対逃げ切れない。もう彼らを守るためには銃で戦ってもらうしかないのだ。
「小細工は考えたが、上手くいくかどうか……?」
町人達の士気を削がず敵に恐怖を与える作戦を考えた。そして、上手くいかなかったら誰にもバレずに逃げ出す方法もな。
さすがに今回まで背水の陣のつもりで戦うようなバカなマネはしないさ……
危険になったらさっさと逃げださせてもらう。それが、この作戦に協力をする事を了承させたとき、デイナと交わした約束でもあるしな。
一本の街道が伸びる地平線の先に槍を持った人の姿が一人、また一人と現れた。
その数はどんどんと増していき、ここから見ると、まるで虫が地面を覆い尽くしている姿を連想させる。
あれ、一つ一つが人間であるなんて、まったく信じられないような光景だ。
「うわー……十万の敵ってこんな感じになるんだ……」
俺は緊張感ない感じで言った。
まあ、。十万の軍勢というのを見たのはこれが初めてではない。見たことは何回もある。本当に何回見てもこんなもんにどうやって勝てってんだ? って感じるものだ。




