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適当男の転生軍師 2  作者: TUBOT
テルシオとの戦い
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その時の女の子達

「今度の話し合いは長いな……」

 デイナから送られてくる虫からの情報を見ながら俺はそう考えた。

 攻撃は、二回連続で失敗をしている。三度目は慎重になって、やってくるだろうか……?

「いつでもきやがれ……騎士さまよぉ……」

 村人の中からそう言ってくる声が聞こえる。

 やめてくんないかな……いつでも来られちゃ俺達は壊滅だぞ……

「騎士だ、貴族だとふだんから威張っちゃいるが……そんなもの、この弓一本でどうにでもなるもんだったんだよ」

 調子に乗りすぎ……とも思うが、その若者の言葉はこの国を根底から覆すかもしれない危険な思想だ。

 この国は貴族が平民を支配することで成り立っている。だがクロスボウのおかげで、平民が力をつけてしまうと、それがこの体制を壊してしまうのだ。

 その結果に訪れたのが国民皆兵の世。徴兵制が敷かれ、国の男子全員が兵として戦う事を義務づけられるようになるのだ。

 そして、貴族は戦う人という、概念がなくなる。

 となると、貴族の力がなくなる。貴族が力を無くすと、王族の力も弱まる。そして、革命がおこるようになる。

 あの、偉大なるマリーアントワネットの「パンがないならお菓子を食べればいいじゃない」という言葉が引き金になってフランス革命が起こったのがいい例だ。

 王族の力は弱まっていた。産業革命で、金を持った平民達が現れ、力を持ち、平民から税を徴収するのも難しくなり、貴族からも税を取ろうとその時の国王は考えた。

 それが、引き金になった。すでに力を持っていた平民たちは、その力で持って、革命を成功させる。

『物騒な事を考えているね、ロドム君……でも、今は勝つことを考えないと……』

 俺の頭の中を読めるデイナが言ってくる。だが後先の事を考えないというのも……

『王権について心配をするのはお前の役目ではない。お前は勝つことだけ考えていろ』

 ネリフスの奴も言ってきやがった……そんな事を言っておいて、後になったら『おまえは大変な事をしでかしたのだぞ』だとか言ってくるに決まっている。こんな事、前の世界で何度も経験済みだ。

 気を使って動いたら、『余計な事をするな』と言われ、何もしなかったら『何をぼさっとしてる! 少しは自分で考えて動け!』だとか言われる。社会ってのはそういうもんだ。

『余計な事は考えなくてもいいと言っているんだ』

 俺の愚痴を拾ったネリフスはイラだっていた。だが、ネリフスがいらだっていたところで、俺は怖くもなんともないが……

 わーったよ……後の事は後で考えるさ……

 敵の方も、話は決まったようで、相談をしていた敵達に動きがあった。まだ敵は八組いる。その中で、十人くらいが動く。おそらく次に攻撃を仕掛けてくる班だろう。

 その班は山を登っていった。

 高所から攻撃を仕掛けてくるつもりだろう。

 山の上の方には罠をこれでもかと仕掛けている。敵はその餌食になるだろう……


「あいつ……なんだかんだいって、いつも通り上手くやりそうだな」

 ネリフスは普段通りのロドムの事を見て安心したようだ。

「フェリエさんが間に合えばいいのですが……」

 逆にシイはロドムが心配になった。ここまでして守ろうとしている村人たちを、ロドムは見捨てられるのだろうか?

「ロドムは大丈夫なのか?」

 そこに女王が口を挟んできた。

「問題ありません、女王」

「不安です……」

 ネリフスとシイはそれぞれ真逆の返答を返した。

「どっちなのだ?」

 女王が聞いてくるが、双方は首を横に振った。

「彼には死んでもらいたくない……彼がいなければ、勝機を完全に失うのだ……」

 ロドムには危険な橋をわたってほしくないというのが、女王の本音だ。本当に危険になったら、ロドムのワームホールで逃げる事もできる。彼の詩は自分の死を意味しているのだ。

「だけど……あいつはカッコいいな……」

 女王は目を細め、遠くを見る目線であった。

「それについては、私も同意です」

 それは嘘偽りのないネリフスの本心なのだろうネリフスだってロドムの事を高く評価しているのだ。

「フェリエ様に聞かれていたら……どうなっていたか……」

 クスクス笑うシイ。ネリフスと女王は二人して顔を青ざめさせた。

 怒り狂ったフェリエが二人に向けてゴッドスピアを連射してくる姿が容易に想像できたのだ。

「ロドムはフェリエのものだ……異存はないよな……?」

「はい……私も死ぬ覚悟はできていますが……痴情のもつれで死ぬなんていうカッコ悪い死に方は、本意ではありません」

 そう言い合う二人を見て、シイはクスクス笑った。

「私はまだ依存がありますけどね、私もロドム様争奪戦から、降りたつもりはありませんよ」

 シイの勇気のある言葉に、二人はたじろいだ。

「命知らずな……」

 ネリフスは唸るようにしてそう声を出した。

「相性の問題がありますからね。私とフェリエ様が戦ったら、私が勝ちますし……フェリエ様は何も考えずに突っ込んでくるだけですから……」

 確かに、シィならフェリエの頭の中を読んで、優位に戦いを進める事もできるかもしれない。

「命知らずにしか見えない……」

「死んだら骨くらいは拾ってやるぞ……」

 ネリフスと女王の二人は、シイに向けてそう言い合っていた。

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