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適当男の転生軍師 2  作者: TUBOT
テルシオとの戦い
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その頃のフェリエたちは

「まーた……人に流されてしまいますか……あの人は……」

「私が言う事ではないが……あいつ、将来悪い女に騙されそうだな……」

「同感だねー」

 フェリエとネリフスとデイナの三人は、デイナが受信する、虫からの映像を見ながら言い合った。

「ロドム様は、もし危険になったら一人で逃げだすと思いますか?」

 シィも言う。答えは完全に分かっている。ロドムの事を知っていれば答えはおのずとわかるだろう。

「思いませんわ」

「思わないねー」

「思えないな……」

 それぞれの口調でシィの言葉に答える。その三人の意見にはシィも同意である。

「助けに行きたいですが……」

 シィはそう言うが、全員首を横にフルフルと振った。移動の魔法を持っているのはロドムだけ。あんな遠くに行くとなれば、人の足では一日かかるし、レイティエルに頼んで運んでもらっても一時間はかかる。

 ロドムに言って、ワームホールをつかって自分達を迎えに行ってもらうしかない。

「私はレイティエルに運んでもらいますわ」

 フェリエは言う。

「泣き落としに弱いですが、あの人が『助けてくれ』なんて言い出すとは思えません。こっちから助けに行かないと……」

 フェリエが窓を開けると、窓の外に一羽のハトがいた。フェリエが窓から外に飛び出すと、そのハトは人間の姿になって、フェリエの手を取り、フェリエは天使に手を取られて飛んでいった。

「私も使い魔がほしいな……」

 デイナが言うが、シィはそれに合わせる。

「あなたや私が使い魔を持ったとしてもロクなものが付きませんよ。人間型の使い魔を持つなんて、結構すごいことなんですよ」

 フェリエやロドムの使い魔を見て忘れていたが、人間型や、天使型の使い魔を持てるのは限られた一部の魔術師だけだ。

「私達はロドム様を説得しましょう?」

 シィは言う。虫を使って、ロドムにかたりかけようとした。


『ロドム様……私達をそちらに呼んでください……』

 後ろの方からそう声がしたのに、まったく驚かなかったが、緊張で張りつめているクロスボウを持った若者たちは、周囲を見回す。

 敵が近くにいるとでも勘違いしているのだろう。

「この虫だよ。うちの知り合いに虫魔法を使えるのがいてね……」

『はじめまして』

 俺の紹介に合わせてデイナは言う。

「女の子の声だ……」

 おっと……若い女がいないこの寒村では、女の子の声を聴くだけでも刺激が強すぎるのかな……?

『ロドム様、今下品な事を考えましたか?』

 シィの声だ。それで俺はビクリと体を震わせる。

「確かに下品だね。どうなって敵を皆殺しにするか? を考えているよ」

『そういう意味ではないのですがね……』

 顔も見えないはずなのに、なんでそんな事がわかるんだ……? シィは俺の事をよく知っているようだ。

 さて、まじめに考えるか……

「とにかくここは移動しよう。さっきの声をかぎつけてきた班がすぐにここにやってくるよ」

 さっき大声で「俺達の勝ちだ!」なんて言っていた。その声は絶対に聞こえてる……

「デイナがいるならちょうどいい。敵の動きを教えて」

 敵の位置を知る事は、戦闘では大きなアドバンテージになる。これなら、万が一にも勝ち目がない彼らも、千が一くらいには勝機も見えるかもしれない。

 さっき、十人の敵を倒すのにも、村に送られてきた矢の半分を使った。このままでは矢は完全に尽きる。もともと、こんな大規模の相手と戦うなんて想定していなかったからな……

 なら矢の回収をしないといけない。

 敵に刺さっているものや、的から外れて、その辺の木に刺さっている矢を回収して、再利用しないと、確実に矢が足りなくなる。

 で、敵の位置はどうかというと……

「敵は少し遠くの場所に集まっていますね……そこで、班同士で話し合っています。聞いてみますね」

 俺はなんとなく想像をしてみた。

 敵は俺達を戦闘の訓練も積んでいない村人であると舐めている……軍隊は、勝ちの決まった戦いでは、『誰が手柄を取るか?』を考えるものだ。

 これは勝機が出てきたかもしれない。

 全員で一斉に襲えば確実に勝てる戦いだ。だが、彼らは、村人たちを皆殺しにしたという手柄を独占したいのだ。

『どの班から突入をするか? っていう話をしながら、コイントスをしていますよ』

「やっぱり……」

 手柄は誰がとるか? その話しあいをしているのだ。コイントスで村人たちに突入をする順番を決めているのだろう。

「これなら勝機が……」

 俺は思う。ナメてかかってくる敵ほど、組しやすいやつはいない。

「急いで矢を回収するんだ! 第二波がくるぞ!」

 適当にこの状況に合わせて言う。こんなものを第二波なんていわない。これは、波状攻撃なんて呼べる代物ではないのだ。だが、敵の攻撃は恐ろしいものであるように、村人にむけて言わないと、小さな勝利で浮かれている村の若者たちは緊張が解けてしまうだろう。


 敵の第二波がくる……

 俺は道の向こうから、草を踏みしめる足音が聞こえてくるのを聞いた。敵が見えるようになったら撃つ。それだけだ。難しい支持なんて、彼らが実行できるとは思えない。

「撃て!」

 形式的に俺は言う。

 さっきの勝ちで、幾分調子に乗った村人たちに不安を感じながらも、そう指示を出した。

 敵は矢を受けて次々に倒れていく。

「まるで、虐殺ですね……なんか悪いことをしている気分に……」

「若造。そんな事を気にしているとこっちがやられるぞ。勝っている戦いってのはこういうもんだ」

 村人の言葉に、サボナが答える。

 あんた何もしてないだろう? 黙っててくんない?

 俺は心の中でそう考えるが、サボナはこの村ではそこそこ人気と信頼をとっているようだ。サボナの言葉に、うんうんと頷く村人を、俺は黙って白い目で見た。

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