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適当男の転生軍師 2  作者: TUBOT
テルシオとの戦い
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戦うという展開

 昔、東南アジアの独立戦争では、太平洋戦争時に東南アジア各地に残った日本兵は、戦うすでを持たない現地の民兵達に、戦い方を教えた。

 森の中に籠り、竹槍をしかけた落とし穴を作った。

 火で燻し、炭化させて硬度を上げた竹槍を撃ち飛ばして、戦闘ヘリを撃ち落としたりした。

 今回もそうだ。見たこともないような新型の武器を手に入れた村人は、いままで自分達に辛酸をなめさせ続けてきた、騎士達に対して、一矢報いてやろうと考えたのだ。

 元軍師であるこの男も、その意思に同意した。

 久々に感じる、戦いの空気。強力な武器を手に入れた軍師は、その力を使ってみたいと考えたのだ。

 本来、騎士達に報復をしようなどと考えるのはやめるべきだ。だが、若者の熱意と、昔軍師をしていた頃の血が騒ぎ、戦おうと考えてしまったのだ。

 騎士を殺したら、報復をされるだろうことは、目に見えている事である。だが、老い先短い身でこの村に骨をうずめる気であった、老齢の軍師自身は、自分は戦いの中で死んでも構わないと考えたのだ。

 だから若者たちに、無謀な事をやらせたのだ。

 村の広場に、敵が並んでいるのを見て、その軍師は、自分の死を覚悟したのだ。

「みんな……生き残りたければ今すぐできる限り遠くに逃げろ。ワシのような老人は捨て置け……」

 昔は数万の軍を率いていた自分も、今では杖をついて歩く老人。

 村に潜んだ二人の若者は、何者かに連れ去られてしまったが、おそらく生きてはいまい。

『若者が死に急ぎおって……』

 とも一瞬考えたが、彼らをたきつけたのは自分だと考えると、そんな事を考える権利は自分にはないと思い、黙って首を振る。

「馬の脚には勝てない! 俺達はいずれ捕まる……だったら……あいつらと刺し違えても……」

 この場は、今村人がそろっている。山の頂上に向かう時の休憩所として作られた、この小さな広場には、村人全員が集まっていた。

「刺し違える事などできんよ……彼らは運よく騎士を二人殺せたようだが……」

 もう生きてはいない。

 そもそも、偵察にやってきた警戒心のない騎士を運よく殺せただけだ。

 しっかりと装備と心の準備をしている相手と相対したら、絶対に勝ち目はない。

「そう! 君らに敵と刺し違えるなんて無理だ」

 そこに俺が参上する。


 ワームホールを使いその中から現れた俺の事を、元軍師の男はジトリとした目で見た。

「あの新聞の、ロドム=エーリッヒか……新聞の絵とはだいぶ違うようだが……」

「その話は後にしてくれ……」

 その話はされたくない。元軍師の言葉を止め、俺はこの場に集まった住人達を見る。

「若い娘がいないな……」

 って……そんな事はどうでもいい事。おそらくこの村を支配する領主に召し抱えられたのだろう。

「その話はここではご法度だ……」

 軍師の老人はギロリと睨みながら俺の言葉を止めた。

 杖をついて歩くのも億劫そうなこの男は、老人とは思えないような眼光でこちらの事を見た。軍師だったこの老人が戦いにあてられて、昔の血が騒いでいるのか? まあ、余計な事を言ったのは俺だ。

「うおっほん……」

 小さく咳払いをして、話をつづけた。

 俺は、このワームホースでここの住人達を安全な場所に送るつもりだ。 

 ついさっき、空っぽになり、やっと回復してきたおりになって、また魔力が空っぽになるほどの魔法を使うなんて、本来なら正気の沙汰ではない。

 こんなに体を酷使していたら、本当に将来が楽しみである。こんな事はこれかぎりにしたい。

「まず、名前を聞こうか? ご老人」

「クソガキが……ナメた口を利くな」

「あぁ……? テメェがアホやった尻拭いをしてやろうってやってきたんだ。ナメた口をきくと、そっちが死ぬぜ」

 この俺の言葉は半分演技である……

 だってそうだろう? 若い人間をたきつけて騎士を殺させた。そのために、この村の人間全員が危険に立たされたのだ。

 このじいさんはその事を悪いと思っているのだろうか?

「ロドム様……」

 俺の後ろから、服の袖をひっぱったシィが不安げに言う。

「このご老体は自分の立場が分かってない。こっちは協力をしようとしているんだから、その事に感謝の一つでも……」

「感謝だと? ナメた口をきくと……」

「やかましい。年寄りの冷や水ってやつだぞ」

 俺はその老人の言葉を遮った。いちいちそんな言葉に付き合う暇もない。早く本題に入らないといけない。

 老人は昔の軍人だ。こういう奴には口で言い負かすしかない。こっちが引いたら増長するだけだ。

 俺がここに連れてきた青年二人は、俺と老人の事を交互に見た。どっちの事を信じていいか? 迷っている感じだ。

「ボクはロドム=エーリッヒといいます。改めてお名前をお聞きしますよ。おじいちゃん」

 挑戦的な言葉だ。見も知らぬ子供に『おじいちゃん』なんて言われても腹が立つだけだろう。だが、相手も、もと軍師。多少頭が冷えてきたようで、返事をした。

「サボナ=フロデックだ……」

 短く答えた。

 それから本題に入る。

 この村の人々を守るにはどうすればいいか? ついさっきサボナが言ったとおり、できる限り遠くに逃げるのが一番だ。だが村人たちはそれでは納得していない感じだった。

「二人は騎士を殺せたんだぞ……俺達だって」

 こういうのを増長っていうんだよな。死人が出れば相手だっけ準備をする。そうやすやすと敵を殺せるわけもない。

「俺達は死んでもかまわない……俺達の覚悟をナメているんじゃない……若造」

 ガキから若造にクラスアップか……

 しかし、サボナの言葉は無責任であるように聞こえてならない。

 そりゃ、老い先短いサボナ自身だったらそうだろうよ……

「サボナさんは俺達に戦い方を教えてくれた! 俺達だって……」

 決定……こういうのを増長っていうんだ。この血気盛んな村人たちをどうやって説得するか? それが問題だ。

「お前なら、いつでも逃げられるだろう? あの魔法で……」

 ああ……ワームホールな……

 危なくなったら逃げていいから、俺もこの村人の無帽に協力をしろと言っているのか……

 アホじゃないのか? 勝てるわけねぇよ……

 足のある人は自力で逃げ足の悪い人は俺のワームホールでどこか遠くに送る。そのつもりだったのだが、話がこんなふうに進むとはよろしくない。

 村人達は全員で俺の事を見つめだした。

 なにこれ? 俺が協力すのが当然みたいな空気なの……?

「君らと心中する気はないよ。それでいいならね」

 しぶしぶと俺は言う。その時、サボナはニヤリと笑った。

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