俺は拘束される
「デイナ……なにこのフォーメーション……」
俺は部屋に戻ると、部屋に監禁でもされている気分になった。
俺の隣にはシィが座り、出入り口にはネリフスが仁王立ちして立っている。
ネリフスの顔に書いてある。
『ここからは出さん』
デイナは後ろから抱き付いてきて、逐一、虫が見ている映像を俺に流してくる。
ただ、俺に虫の見た映像を見せているという感じではなく、俺の事を拘束している感じだ。俺は椅子に押し付けられていてロクに立ち上がれない。
「そいうえば、あなたの前いた世界の事を、教えてくれませんか?」
「ほんと、その質問はおかしいよね……」
俺が前の世界の話をするのを聞くと『痛い』だの言ってまともに取り合わないのに、シィはいきなり聞いてきた。
「今日は調子に乗って好きなように話すといい。なぁに、今ならお前の妄言を、いくらでも聞いてやるぞ」
「何それ、絶対言いたくないんだけど……」
ネリフスも、嫌味たっぷりに言ってくる。
こういうタイプって嫌味を言うのが頭のいい証みたいに考えているんだよな……
こうやって人をバカにするのを、小粋なジョークを言ってでもいるような感覚で……
ネリフスとかできるだけ接点を持たないでいよう……と、考える前に、考える事があるだろう……なんで、こいつらは俺をここに拘束をしているのだろうか?
ネリフスとシィとデイナにとって都合がよい事を俺に隠している。でないとこの三人が協力をする事なんてありえない。
で……ついでに俺にとっては都合の悪いことと……
なんだろうか……?
俺は小首をかしげた考え出した。
「ほらほら、話をしてくださいよ。前の世界ってどんなところでした?」
「ボクが考えるとなにがまずいんだ?」
「それは……」
シィが、苦々し気にした。俺がこの件の原因を考えると、何がいけないのだろう? 俺が嫌がる事と言えば出世か? でなければ、ネリフスが止める理由が分からないが……
考え直してみるか……ネリフスにとって都合のいい事……
そう考えるが、どうも分からない。だが敵はまだ酒を飲んでいる。特に急ぐ状況でもない。
まあいいや……
とにかく、こっちは受けに回るしかない。敵の行動が分からないとこっちも対策を考えられない。俺は、敵を撃退することだけ考えていればいい。
「そうです、他の事にかまっているヒマはないです」
シィがそう言ってくるのは、気になるが、考えもなしに動く事もない。
「休める内に休んでおく」
俺はそう言い、自分の部屋に向かっていくことにした。
「配布がおわりましたね」
馬車の中でフェリエは言った。敵の進行が予想される村には、新聞は張り終えた。だが、これで終わりではない。
もっと他の村にも、この新聞を張って、ロドムの事教えないといけない。
こんな新聞がそこらじゅうの村にたてられたとんなれば、本気で全回集をしようとするだろう。
かなり美化をされたロドムの顔のイラストが描かれている。まあ、美化をして書くくらいでないといけない。こっちの指揮官が十歳の子供なんて事が分かれば、住民たちも不安に思うだろう。
「ロドム君も、十年すればこうなるかもしれないよね。彼はもともと美形だし、これで美化っていうのも……」
何かフォローをするようにして、ティーナが言う。
これをそこらじゅうに貼られたら、ロドムは怒り狂って回収をするだろうという事は、セリットもティーナにも分かる事だ。
「本当は、井戸に毒でも投げ込みたかったですが……」
フェリエは村々から食糧と水を奪い、敵の兵糧を攻める。
焦土作戦を行いたかった。だが、そこまですればロドムは完璧にフェリエに怒るだろう。
そこまでして、そこ住む人たちの生活を壊してはならない。
そうロドムに言われるのが目に見えている。
「それでは、地図に乗っている村に、張っていきましょう。最後の仕事です」
フェリエは馬を操る御者にそう言い、馬車を走らせていった。




