女王の策謀
「しかし、どのようにしてその情報を知ったのだ? 君は国政には無関心だと思ったが?」
フェリエにいらぬ野望が芽生えているのではないかと警戒する女王。
「えっとですね」
そう言われるとフェリエはまた紙を取り出した。
誰かの入れ知恵か。ここまで自分の考えの先を読んでいるとするとなると、ロドムかそれに準じた知略の持ち主だ。
『シィですね』
女王の後ろからロドムの父が耳打ちをする。
その後、フェリエは紙に書かれた内容を読み上げた。
「デイナが仕事を無くして焦っています。自分にできるのは偵察くらいなので、うまく使う方法を見つけなければなりません。ですから、今回の騎士の野望を見抜いた事で、自分の有用性を女王に分かっていただき、これからのご信用を賜りたいと」
この力を女王のために使おうというのである。
そうするとフェリエは紙をしまった。
「ロドム様も御父上を必要以上に警戒しているご様子ですし、ロドム様がいない間に私達が近づいて関係を作ってしまおうと考えているのもあります」
フェリエは言う。
フェリエはロドムの内心を全く分かっていない。
ロドムは権力や地位など求めていない。責任感や野心なんて皆無。だから、地位を守ろうと考える父とは合わない。
地位をはく奪して城から追い出したら逆に喜ぶだろう。
『ですが、あいつにも弱点があります』
女王に耳打ちをするロドムの父。
それは仲間だ。フェリエをはじめとした仲間の事だけは大切にする。
仲間をこちらに抱き込めば、ロドムも身動きが取れなくなるだろうというのだ。
『あいつなら、無理と判断したら見切りつけて一人で逃亡しそうだが?』
『そのあたりは賭けです』
ロドムは物欲がなくあきらめが良すぎる。
フェリエであろうと、シィであろうと、完全に女王に丸め込まれて、自分の側に戻すことが不可能であると判断したら、見捨てて一人で逃げ出しそうだ。
そう女王は考える。
だが、ロドムの父の内心は知れない。
本当に賭けだと思っているのか、本当はロドムは逃げないと確信をしているのか、他に目的があるのか?
『私の仕事はあの曲者の相手だけではないぞ』
『それは私にお任せを』
怪しい事を言い出すロドムの父。
だが彼の策略は女王の不利益になる事ではないという事実だけははっきりしている。
『ロドムが帰ってくる間だけでも、城内偵察として使えればいいか』
女王はクセ者達にかこまれながらも、自分なりに磨いた感覚を使ってそう判断した。
「よろしい。密偵を増やして事件をとことん究明する。あと、デイナという使用人を呼べ。正式に私の直属にする」
フェリエはかしこまって首を垂れた。
彼女の表情で真意の確認はできない。
彼女は野心も野望もないから探るだけ無駄である。




