↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
理不尽vs理不尽  作者: くらま
2.大地母神、走る。
9/39

理不尽vs理不尽 09

「商売の女神(サエリツ)を、護衛に連れて…… 」

 そこまで考えた所で……。


「行けませんね。あのお姉さんに、借りをつくるのは……。怖すぎます」

 ぶるるっ。大地母神(ニスシャ)は、自らの身体を両腕で抱きしめた。商売の女神(サエリツ)、どんだけっ?!



「ふうー」

 大地母神(ニスシャ)は、深呼吸した。意識を飛ばし、知識の神(エスサフィン)の神域をノックした。




「知識の神(エスサフィン)。確認と、相談があります」

「大地母神(ニスシャ)ではないか……。珍しいな……」

 大地母神(ニスシャ)の前には、荘厳な建物が建っていた。大図書館のイメージらしい。


「入ってよいぞ」

 大きな両開きの扉が、ひとりでに開いた。大地母神(ニスシャ)は、ゆっくりと扉を潜った。




 周囲は、背の高い無数の本棚に囲まれていた。上を見ても、上端が見えない。本棚の中央に巨大な読書机があり、机の上は羊皮紙の束と、重ねられた本で埋まっていた。

 机には、壮年の男性が座っていた。背が高く、ひょろひょろで、ギョロ目の男性である。知識の神(エスサフィン)だ。


 周囲には彼が収集した無数の記録がうごめき、本棚を出入りしていた。また、彼自身も知識を溜め込む「器官」のような怪しさを放っている。



「で? 確認と、相談?」

 知識の神(エスサフィン)は、挨拶等は飛ばして本題に入った。


「はい。まずは、前例を確認したいです」

 大地母神(ニスシャ)は、ジュールから持ち掛けられた……冗談みたいな魔法運用についての説明を始めた。

 知識の神(エスサフィン)の右手が、物凄い勢いで、手元の羊皮紙に書き込みをしていく。周囲の本棚から、何冊もの本が飛び出し、勝手にページが開かれる。


「面白いっ!! 面白いぞっ!!」

 知識の神(エスサフィン)のギョロ目が、怪しく光った。大地母神(ニスシャ)は……数歩後ずさった。


“分かってはいましたが……。怖いですっ!!”

 大地母神(ニスシャ)は、右手を自然に下ろし、短刀(ダガー)の柄を握りしめていた。


“抜きたくは……無いのですが?!”

 大地母神(ニスシャ)の頬を、冷や汗が流れ落ちた。知識の神(エスサフィン)は、大地母神(ニスシャ)の様子に気が付いていない。物凄い勢いで……ページを捲っていた。




 緊張の時間は……長く続いた。




「前例は……無い」

 知識の神(エスサフィン)は、端的に答えた。


「相談とは?」

 知識の神(エスサフィン)が、大地母神(ニスシャ)を見た。睨みつけているようにしか、見えなかった。




「今回の魔法運用……知識として、記録しないで頂きたいのです」


「なんだとっ?!」

 知識の神(エスサフィン)の冷たいプレッシャーを受けて、大地母神(ニスシャ)は反射的に短刀(ダガー)を抜いていた。逆手で抜き、顔の高さで構える。




「落ち着いてください!!」

“怖すぎて、反射的に抜いてしまいましたっ!! これ……。収拾、つきます?!”


「落ち着けるワケが、ないだろうっ!!」

“バカか、お前はっ!!”

 2柱の、全力の怒鳴り合い。


 神域が、大きく歪んだ。ギシッ。本棚が、嫌な音を立てた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。