理不尽vs理不尽 10
しばらく睨み合っていた2柱だったが……。
「理由を……聞こうか?」
“このままでは……。本棚が、壊れる……な”
知識の神のプレッシャーが、一気に下がった。
大地母神は、短刀を鞘に戻した。
“引いてくれて……。助かりました………”
「感謝します」
「理由!!」
「まず……。この魔法運用、制御が細かすぎて常人には不可能です」
「肯定」
「故に……。知識として記録に残すことが、危険過ぎます」
「危険?」
知識の神は、少し考えた。
「知識として残すと……。後世で、誰かの目に止まる?」
「はい。そうなったら……。優秀な神官を、何人も失うことになります」
「? なぜだ?」
「常人が試したら……。負担が大きすぎて、脳が焼き切れます」
「………。肯定」
知識の神は、とても悔しそうだった。
「あなたの使徒が、この知識を見つけたら……」
「間違いなく……試すだろう」
“そして……。廃人となる、か……”
「あなたの使徒……。これ以上減らすと、危険なのでは?」
「肯定……」
信者が減ると、神の力は減っていく。
「記録として残さず、記憶として、残して……頂けませんか?」
「………………」
知識の神は、悩んでいた。
「もちろん、タダでとは……言いません」
「なにっ?」
ぎろりっ。
「ジュールとバルナスの、今回の魔法改造に関する考察。これをあなたに提供します」
“ジュールの記憶を……。そのままコピーして提供すれば、解決ですね。
この方法なら、ジュールには全く負担がありませんしね。
できれば……。専門家の、バルナスの記憶が良いのですが。
彼は私の信者ではないので、チャンネルが……ありません。
とても……。残念ですね”
「魔法改造に関する考察?! とても魅力的だが、それも……記録には、残せないだろうがっ!!」
「でも、あなたの記憶には、残りますよね?」
「……いいだろう。ただし、一切の妥協は許さんっ!!! その魔法改造のプロセス、一言一句漏らさず報告しろ!」
「私の、誇りに賭けて」
“一番の難敵は……倒せましたね……”
大地母神は、内心で冷や汗を拭っていた。
“戦うことにならず……よかった……です……”
神同士が戦うと、何が起こるか分からない……。




