理不尽vs理不尽 04
《 》は、神様のセリフです。
“バルナス様。カワイイですっ……。私の胸を見て、ドキドキしています……”
ジュールはご満悦である。
“身体のラインが出る服なんて……。僕以外の前では、着ないでよね?!”
バルナスも、カワイイ独占欲を発揮していた。この、似たもの夫婦め!
夫婦とは言ったものの……。この2人はまだ結婚していない。
バルナスが賢者の学院の導士となり、冒険者に飽きたら……結婚するつもりらしい。
(周囲からは……。完全に夫婦として認識されている)
ベッドの上の裏返された毛皮(防水シーツの代わり※)を、物干し紐に干したところで、バルナスが口を開いた。
「大地母神様に……。お伺いを、してくれる?」
「はいっ!!」
ジュールは、胸の前で手を組んだ。目を閉じる。
心のなかで大地母神に祈った。
“大地母神様。気合い弾の魔法 について、相談したいことが……ございます”
《気合い弾の魔法 について?》
ジュールの心の中に、清らかな声が響いた。大地母神の声である。
“はい。まずは……。気合い弾の魔法を4連射したいです。
4発分の御力を……連続で、お借りできますか?”
《4連射ですね? 大丈夫ですよ》
ジュールは次のお伺いを行った。
“気合い弾の魔法を……1/20に分割していただくことは、可能ですか?”
《1/20ですか?! ずいぶん小さいですね》
大地母神はびっくりした様子だった。すぐに、答えを伝えてきた。
《可能ですよ》
ジュールは、内心の動揺を必死に抑えながら、次のお伺いを行った。
“1/20に分割した気合い弾の魔法を、両手の指先に……お借りすることは、可能ですか?”
《可能ですが……》
大地母神は訝し気な様子で続けた。
《両手の指だと、10本ですよね? 準備した気合い弾の魔法は、20個ですが?》
ごくり。ジュールはこう続けた。
“私……。いまだかつてない連射が、したいのです……”
《いまだかつてない、連射?!》
しばらく、大地母神は絶句していた。
《少し、少し待ちなさい!!》
大地母神の口調が、思いっきり崩れた。
《1/20に分割して……。両手の指先に準備。指先は、10本しか無いので……。10個余りますよね?》
“余ります。余った10発は……指の第一関節の、外側に……待機させて頂きたいです”
《???》
“指先から発射したら、関節の外側から指先に移動して頂けますか? そうしますと……途切れずに連射できると、思います”
《!!! 次の弾を常に準備しておいて、途切れずに連射するってこと?!》
“はいっ!”
《一度切ります!! 前例があるか、確認してきますっ!!》
大地母神の気配が、消えた。
ジュールが、ゆっくりと目をあけた。
「どうだった?!」
バルナスが勢い込んで尋ねた。
「前例があるか……確認されに、行かれました」
「前例かあ……」
“無いだろうなあ……”
“無い……でしょうね……”
2人は顔を見合わせると、小さな苦笑を浮かべた。
「とりあえず……。朝食かな?」
「はい! お腹がすきましたね!」
2人は手を繋ぐと、食堂に向かった。
※:寝具について。
この世界の寝具は……。木で出来たベッドの上に、マットレスを敷いたものである。マットレスというのが……麻で作られた袋状のシーツの中に、藁を詰めたもの。
そのまま寝転がると、かさかさ煩い。また、シーツを貫通して藁が刺さる。
そのままでは不快なので、マットレスの上に毛皮を敷くのが一般的。毛皮は……一般的には有料オプションである。(少し高級な宿では、毛皮が無料となる。もっと高級な宿だと、藁の代わりに干し草とハーブが詰められる)
通常であれば、毛の面を上側(身体側)に敷くのだが、特別な場合は……裏返し(皮面が身体側)となる。
特別な場合とは……性行為のことである。
通常の毛皮の場合、裏面(皮面)が鞣されている。
鞣す理由は……。
1. 腐敗を防ぐ (防腐効果) 。
2. 柔軟性と強靭さを出す 。
3. 耐熱性と耐水性を高める 。
ここで重要なのは「3. 耐熱性と耐水性を高める」の部分である。性行為による様々な水分が、マットレスにしみ込むのを防ぐ……という、防水シーツの役割を担うのだ。(皮面にこぼれた水分は、拭き取るだけでOKである)




