理不尽vs理不尽 31
「ヴァルハラの戦乙女?」
レイブンの問いに、ドラナが答えた。
「ヴァルハラ……戦の神様の神域の名前だ。昼間は、永遠の戦場。夜は、永遠の酒池肉林……と言われている」
「しゅ、酒池肉林?」
ごくっ。
「そこに……。反応するなっ!」
ドラナはレイブンに、思いっきり肘打ちを食らわせた。
「い、痛い!!」
「戦乙女は、ヴァルハラにいると言われている、戦の神様の眷属だよ。鎧に身を包んだ、美しい女戦士……らしい」
「おいおい……。それって……」
「戦乙女が……。酌をしてくれるってことさ」
酌をする=春を売る。ドラナは、少し不安げな様子でレイブンを見上げた。
「酒池肉林は……。魅力的だけど、オレは、ドラナとリリスが、いればいいなぁ」
「そ、そうかっ!」
ドラナはレイブンに抱き着いた。そのまま、力いっぱいキスをした。
《続いては、右手側。知識の神!!》
戦の神の言葉を受け、右手側の祭壇の中央が光った。光がおさまると……。半透明の人影が立っていた。背が高く、ギョロ目の男性のようだが、姿かたちは不明瞭だった。
《我が知識の神だ》
知識の神は、周囲を睨みつけた。
「ご降臨、感謝しますっ!!」
「感謝しますっ!!」
神官戦士たちが、一斉に頭を下げた。
《戦の神。招待、感謝する》
《どういたしましてっ!!》
《我は……。右側か……。ひたすら、アウェーだな》
知識の神は、苦笑を浮かべたようだ。
《手土産として……。肘から先の人体透視図を贈ろう。メインは骨。筋肉と腱と神経も記載はされているが、こちらは、あくまでもオマケだ。これを両手分。あとで羊皮紙とインクを持ってこい》
「!!!」
神官戦士たちの、目が輝いた。
「知識の神様!! 感謝しますっ!!」
「感謝しますっ!!」
「最高級の、最大サイズの、羊皮紙を……準備しろっ!!」
「わかったーっ!!」




