理不尽vs理不尽 28
バルナスとジュールが、リリスの頭を撫でた。この2人、微妙にズレている……。
「ほ、褒めても何も出ないわよっ!!」
“このプッツン夫婦……。触るな危険なのに、妙に優しい! 距離感が……掴めないわ!!”
リリスは混乱している。その頰は、ほんのり赤かった。
「首が。首が取れちゃうっ!!」
リリスは、敢えて軽い口調で抗議してみた。精一杯の強がりである。
「取れないよ?」
「私たちは、レイブン様とドラナお姉さまのお二人ほど、理不尽ではありませんよ?」
バルナスとジュール。この2人は……。自分たちの危険性には、とことんまで無自覚だった。
「え? 頼むから、危険性を自覚してよ!! あんたら2人……。とんでもないのよっ!?」
リリスの叫びに、バルナスとジュールが、そろって首を傾げた。
《今日は、とんでもない魔法の試射が行われると聞いて、具現化したぜっ!!》
戦の神が、大音声で宣う。
「とんでもない……魔法?」
観戦者が、バルナスとジュールの方を一斉に見た。
「ひっ!!」
ジュールは、バルナスの背中に隠れた。
「ジュールが怖がるから!! すごい目で、こっちを見るなっ!!」
バルナスは、びびっていた。
「みんな、気を付けて!! この2人が切れたら、魔法でぶん殴られるわよっ!!」
リリスの大声に、観戦者の顔に冷や汗が浮かんだ。
「に、睨んでないぞっ!!」
観戦者が、数歩下がった。物理的な距離が開いたので、プレッシャーが目に見えて下がっていく。
「お前ら……。なにをやってるんだ?」
ぼやいたドラナに対し、全員が、こう思った。
“お前が……言うなっ!!”




