理不尽vs理不尽 26
「これに懲りたら……。面白半分で、ひとの地雷を踏みぬくのを、少し止めればいいよ」
“ちっ!! ここで謝っちゃうかぁ……。もう少し粘れよっ!!”
バルナスの雰囲気が、元に戻った。
「優秀な戦士は……。引き際を弁えていると、言いますよ?」
“どうやら、この子を……物理的に寝かさなくても、よさそうですね。安心しました……”
「わかったよぉー」
“ジュールちゃんだけじゃなくて、バルナスもヤバい人だっ!! 独占欲が強すぎて、怖すぎるっ!!
似たもの夫婦?”
リリスの警戒が緩んだ瞬間。バルナスとジュールに捕まってしまった。
バルナスが前面に抱きつき、ジュールが背中側に抱きついている。
「ふえっ?」
リリスは、間抜けな声を上げた。
「よしよし。リリスは、いい子だねー」
「かわいいですっ」
バルナスとジュールが、リリスを構い倒す。頭を撫で、背中を撫で、お腹を撫でる。
リリスを正面から抱きしめて背中側を重点的に撫で回すバルナスと異なり、背後から抱きついたジュールの手は、遠慮なくリリスの前面を撫でまわしていた。同性故の遠慮の無さである。
「髪型がっ! がんばってセットしたのにー!!」
“どこに地雷があるか、わからないから……下手に抵抗できないっ!!
ジュールちゃん。えっちな意図は無いんだろうけど……。さっきの話の後だと、あたしが意識しちゃう!!
ひゃんっ!!”
リリスは、鋼の自制心を発揮し、自らの口から……ヘンな声が出ないようにしていた。
“ヘンな声出したら……。位置的にバルナスに思いっきり見られるよね?”
リリスは、おずおずとバルナスを見上げた。目が合う。ニッコリと笑われた。リリスの目には、慈愛の微笑みに見えた。
“こいつに、そんな姿を見られたら……。あたしの精神と人生が、終了しちゃうっ!!”
バルナスなら、煽る。力いっぱい、リリスを煽る。
それだけではなく……。面白おかしく、周囲に吹聴する未来しか……見えない。
“でもこれ……。耐えられるの?”
それが分かってるなら、もう少し自重しなさい。
照れて儚い抵抗を見せるリリスの姿は、バルナスとジュールに刺さった。
“カワイイな。この性悪猫”
“リリスちゃん。カワイイですっ!”
バルナスとジュールの目は……。ランランと光っていた。知性派の2人とは、思えないような熱量だ。
最終的に……。リリスは……口から半分魂が出るまで、構い倒された。
息も絶え絶えになったリリスは、椅子に力なく腰かけていた。
「リリス。カワイイね」
「ですね。レイブン様と、ドラナお姉さまが、構い倒すのが、とてもよく分かります」
リリスを解放したバルナスとジュールは、にこやかに悪だくみをしていた。
「たまに……。あの2人から、借りたいよね」
「ですねっ」
「いやぁー! 恥ずかしいのにー!!」
性悪猫の悲鳴は、虚しく響いた。完璧に、自業自得である。




