理不尽vs理不尽 24
「なんだか……。物凄いことに……なってない?」
「です……ね」
バルナスとジュールは、途方に暮れた。
「お! 大地母神様と、知識の神様のご神体が、到着したぞ!! 道あけろっ!!」
レイブンの大声を受けて、祭壇まで道が出来た。
「ここ、通れって?」
「みたい……です」
バルナスとジュールは、顔を見合わせた。
「行こうか」
「はいっ」
2人は手を繋いで、花道を通り始めた。周囲との温度差が……物凄い。
ご神体(笑)が、各祭壇の中央に置かれた。中央の祭壇を正面から見て、右側には……ジュールの聖印。
大地母神のご神体である。
中央の祭壇を正面から見て、左側には……バルナスの薬学辞典。
知識の神のご神体である。薬学辞典は……ご神体として考えると、違和感しかない。誰も指摘できないが。
バルナスとジュールは、中央の祭壇から見て左側(大地母神サイド)の、テーブルについた。
「バルナス。ジュールちゃん。おひるごはん、食べられてないでしょ? 少しだけど、食べておいて」
リリスが甲斐甲斐しく、2人の世話をする。ガロンは、そんなリリスの様子を微笑みながら見つめていた。
「リリス。ありがと」
「ありがとうございます」
2人は、簡単な食事に手を伸ばした。リリスがワインを小樽に注ぐ。
「ドラナ姉さんは?」
「レイブン側」
正面のレイブンサイドを見てみると……。
「レイブン! あーん……だっ!!」
「あーん」
ドラナがレイブンに、給餌していた。ドラナの耳は、真っ赤になっている。
「あそこまでいくの……。色々と大変だったのよ? レイブンの暴走がすごくて……。見てるこっちが、照れるぐらいだったんだから!!」
説明しているリリスの頬が、ほんのり赤い。
「あ、あはは……」
「ドラナお姉さま。完全に開き直っています……」
“レイブン! どんだけ暴走したの?! ここは、寝室じゃないんだけど?”
2人の心の声は、完璧にシンクロしていた。
「メスライオンが、灰色熊に……給餌?」
「ダメだっ!! なにが起きてるのか、オレには、理解できねえっ!!」
「酒だっ! 酒もってこいっ!!」
神官戦士たちは、大騒ぎだ。
「エールは、一杯2ガメルだよっ!!」
「ワインは、一杯3ガメルっ!!」
食堂のおばちゃんたちは、ちゃっかり小遣い稼ぎに走っていた。
“ヤケ酒でしょ? タダで、提供するワケ……ないじゃない!!”
“ツケは……。利かないよー。くすっ”
「ちょっと待て!! カネ取るのかよ?」
抗議の声は……。おばちゃんたちの笑みを見た瞬間、尻すぼみになった。逆らってはいけない存在というのが、世の中には存在するのだ。




