理不尽vs理不尽 20
「おもしれぇっ!!」
レイブンは、グワっと笑った。
「ハメ技……ねぇ……」
ドラナは、獰猛な笑みを浮かべた。
「ほーお」
ガロンの空気が、重くなった。
“みんな、怖いっ!! 怖いんだけどっ!!”
リリスは、一人、慄いていた。
「ジュールが試行錯誤していた、対戦士のハメ技。完成形は……いったい、どんなヤツでしょうね?」
ニヤリ。魔王の笑みと呼ばれる、とても悪い笑みである。
「ジュール。大地母神様は、なんて?」
「ぎ、技術的には問題なし……だそうです」
ジュールが、答えた。展開の速さに、全く追いつけていない。
「昼食を食べたら、中庭で試射と行きましょう」
バルナスは、レイブンを睨みつけた。
「魔法使いの怖さを、思い知らせてやりますっ!!」
「受けて立つっ!!」
レイブンも睨み返した。
「審判は、引き受けよう」
ガロンが、エールの小樽を飲み干した。
「レイブンの隣りに立ちたいぜっ!!」
ドラナの言葉に、バルナスが悲鳴をあげた。
「絶対にムリですっ!! ジュールが、死んでしまいますっ!! 頼むから、止めて下さいっ!!」
思いっきり頭を下げた。
その場は、爆笑に包まれた。
「魔王様、かっこわるいぞー」
レイブンが、ちゃかす。
「しかたないでしょう!! レイブンとドラナ姉さんのコンビって、ベテラン騎士の部隊ぶつけても、勝てませんよっ!!」
バルナスは、必死だ。
「言えておるな」
ガロンは、うんうんと頷いていた。
「また……。観戦か……」
ドラナは、萎れていた。
「バルナスって……。ワリと、おばか?」
リリスが真剣な顔で、ジュールに尋ねた。
「プッツン切れると……。周囲が見えなくなる傾向は……あります」
「ジュール? キミに言われるのは、心外だよっ!!」
爆笑、再び。
「あ!!」
ジュールが、何かに気が付いた。
「試射の時に、神様が3柱……具現化して、見学したいそうですっ!!」
「!!!」
嫌な沈黙が、周囲を包んだ。
「神様が、3柱?!」
バルナスが、ひっくり返った悲鳴を上げた。
「どなたが?!」
ガロンの頬は、引きつっていた。
「大地母神様。戦の神様。知識の神様……です」
「!!!」
しばらく、誰も口を開けなかった。
「大地母神様は……。なんとなく分かるかな?」
バルナスが、恐る恐る口を開いた。
「ジュールの……晴れ姿を、見たいんだよ、ね?」
「そう仰っていました」
ジュールが大きく頷いた。




