理不尽vs理不尽 19
4.神様をお迎えする、準備をしよう。
ジュールが、ゆっくりと目をあけた。
「バルナス様!!」
ジュールは、目の前にいたバルナスの胸に飛び込んでいく。
「おかえりっ!!」
バルナスは、力いっぱいジュールを抱きしめた。その両腕は、細かく震えていた。
「色々と、お話しすることがっ!!」
「あとでいいっ! あとでいいからっ!!」
ジュールは、バルナスの背中に腕を回した。
「そうですねっ!!」
2人の唇が重なった。その影は……しばらく離れなかった。
2人は、抱き合ったまま何度もキスを重ねていた。舌は入れず、唇だけを重ねる。
「おかえりっ!!」
「ただいま……ですっ!!」
「戻ってきた……。ジュールが、戻ってきた!!」
「私は、どこにも行きませんっ!
常に、バルナス様の御傍にいますっ!!」
見つめ合う。キス。部屋の空気が、どんどん甘くなっていく。
「あれ?」
「あら?」
2人とも、同時に正気に戻った。直前の行動を思い出し、一気に顔が真っ赤になった。
「おかえり?」
「ただいま?」
見つめ合い、笑いあった。その瞳には、安堵の色だけが光っていた。
「とりあえず、昼 食だねっ!!」
「はいっ!! お腹がすきましたっ!!」
2人は手を繋ぐと、食堂に向かった。
食堂。魔術師バルナスと神官戦士ジュールが、手を繋いで登場した。
「遅かったの? なにかあったか?」
先にテーブルについていた、ドワーフの神官戦士ガロンが気遣う。
「少しばかり……色々ありまして。体調不良の類いでは、ありません。ご心配をおかけしました」
バルナスは、小さく頭を下げた。隣で、ジュールも頭を下げている。
「それなら良かった。おばちゃん、こいつらのメシを頼むっ!!」
戦士レイブンが、食堂のおばちゃんたちに料理を頼んだ。
「さっさと座れ。ワインでいいか?」
神官戦士ドラナがワインの樽を持ち上げた。
「ドラナ。強引よ……」
性悪猫リリス(リリスは人間である。獣人ではない)が、バルナスとジュールに尋ねた。
「ワイン? エール? どっちにする?」
「ワインで」
「私も」
バルナスとジュールがテーブルについた。目の前の小樽をドラナに差し出す。
「食べないと、バテるぞ! たくさん食べろっ!!」
ドラナは、ニッコリと笑った。ワインをドバドバ注いでいく。
「はねたっ! 目に入ったら、どうするのよっ?!」
「ん? 舐めときゃ治るぞ?」
リリスとドラナの漫才が続く。
「あなた……。それでも神官?」
「自称な」
「自称とか、言うなっ!!」
レイブンが混ぜっ返した。
「気を使っていただかなくて、結構ですよ」
バルナスが、特大の砲弾を撃ち込んだ。
「対戦士の……。ハメ技が完成する……直前なんです」
「ば、バルナス様?!」
その場は、静寂に包まれた。




