理不尽vs理不尽 02
“ ”は……。キャラクターの心の声です。
そんな彼らの賑やかな日常から、この物語は始まる……。
ある朝……。
魔術師バルナスと、神官戦士ジュールが借りている部屋。その部屋の中は…………。淫靡な匂いと、これ以上は無いほどの、甘い空気が充満していた。
肝心の2人は……。ベッドの上で動かずに重なり合っていた。毛布こそ掛けられているが、とても淫靡である。
バルナスは……。賢者の学院(※)の魔術師である。階級は、導師補。
身長:175cm。体重:63kg。
年齢はレイブン(戦士。詳細は後述)よりは少し下のようだ。肌の色は白色で、髪の毛は黒色の癖毛。切れ長の眼の中に光る金色の瞳が、神秘的な雰囲気を見せていた。
ジュールは……。大地母神神殿の、孤児院出身の女性であり、バルナスのメイド兼直衛(※)である。
身長:155cm。体重:50kg。癒し系のおっとり美人である。
年齢は若い。成人してからすぐのようだ。肌の色は白色で、茶色の髪は背中の真ん中ぐらいまであるだろう。茶色の大きな瞳には慈愛の光が宿っていた。
「ジュール……」
「バルナス……様……」
バルナスとジュールの視線が絡み合う。金色の瞳と、茶色の瞳の中には、お互いの蕩けた顔が映っている。
「キス……しよ……」
「は……い……」
唇を重ねるだけのキス。2人にとっては、このうえなく甘い時間。
「ちゅっ……」
「バルナス……さまぁ……」
甘い時間を味わいながら、お互いの理性が、戻ってきているのを残念に思っていた。
「昨夜の作戦会議だけど……」
「とても……。有意義……でした……ね」
2人とも、耳まで真っ赤になっていた。いったい、何を思い出しているのやら。
甘い吐息を交わしながら始まるのは……。なぜか、凶悪な魔法の仕様決めだった。 ベッドの上でする話では……。断じてない。
「確か……。大地母神様に、気合い弾の魔法を4連射したい……って、お願いして……」
“神聖魔法……。ズルいよなぁ。僕の場合……。連射は、定義付けが大変なのに……”
バルナスの言葉に、ジュールが答えた。
「気合い弾の魔法を……1/20に分割して、御力をお貸し頂き……」
“1/20にすると、連射性能が……跳ね上がりますっ!!”
バルナスが、食い気味に被せてきた。
「全ての指先に、気合い弾の魔法を準備して?!」
“指先が砲口になるんだよね?!”
ジュールは、ニコニコしている。
「親指から……。連射……でしたね?」
“気合い弾の魔法は、大地母神様にお借りした御力を、単音節の神聖語を発動トリガーとして発射する魔法です。
全ての指先に対して……発動トリガーを、考えないといけませんね”
見つめ合う。2人の瞳には隠し切れないワクワク感が光っていた。
※賢者の学院とは……。
この世界では一番の権威を誇る教育機関であり、魔術師と賢者の育成を行っている。もともとは、とかく世間から嫌われる存在である魔術師の保護とお互いの学問の振興のために造られた組織である。
本部はサロストという東方一の大都市にあり、世界中の大都市に支部が設けられている組織なのだ。
バルナスは、研究室にこもるよりも現場に出て知識を得るほうが性にあっているという、インドア派が多い魔術師のなかでは、ある意味での変わり者である。 講義の無い日は、自らの趣味と実益を兼ねて冒険者として活動しているのだ。
※ジュールが、バルナスのメイド兼直衛になれた理由とは……。
孤児だったジュールは、子供の頃のバルナスに一目ぼれされ、メイドとして引き取られたのだ。彼女がバルナスに引き取られた経緯は、ここでは割愛する。
ジュールはもともと神の声を聞くことが出来たが、彼女に神官の資格があるということは彼女以外にはバルナスしか知らなかった故、バルナスのメイドに簡単になれたのだ。
(神殿にとって重要な働き手である神官は、普通は神殿が手放さない)
神官の資格はバルナスがフィールドワークに出るようになってから賜った。神聖魔法が使えることを神殿で示し、神官の証の神官衣と聖印を賜ったのだ。
神殿からは当然のように神殿に戻ることを提示されたが、これを固辞したのだ。




