理不尽vs理不尽 14
“知識の神への生贄を、戦の神が捕らえたのが……レムリカ渓谷、でしたね”
大地母神は、嫌な符号の一致に、戦慄した。
“偶然は……ありえないですから……。この脳筋、なにを企んでます?!”
「睨むなよ。オレは、なんとなく、この戦場を出しただけだぜ?」
「そういうことに……しておきましょう……」
しばらく戦場を眺めていた大地母神だが、戦の神の袖を軽く引いてみた。
「首が、疲れます。座ってもらえます?」
「いいぜっ!」
戦の神が、ドカッと座った。
“この脳筋……。この姿勢からでも、オッパイに飛び込んでくるから、油断できないんですよね”
「で? 確認と、相談?」
「はい。まずは、確認なんですが……」
大地母神は、ジュールから持ち掛けられた……冗談みたいな魔法運用についての説明を始めた。
「ちっとまて! 待ってくれっ!!」
戦の神が、両手を開いて大地母神を止めた。
「話が細かすぎて、よく分からなくなった。サイズ1/20の気合い弾の魔法。 それを、両手の指先に待機。ここまでは、いい。だけど、その先は……なんだ?」
「指は10本なので、10個余ります。余った10個は、指の第一関節の、外側に待機……です」
「なんで、そんなことを?」
「関節の外側は、弾のストックです」
大地母神は、自分でも無茶なことを言っている自覚があった。
「ストックだ?」
戦の神は、自分の右手を見た。人差し指の先端と、第一関節の外側に、1/20サイズの気合い弾の魔法を浮かべる。
「指先から発射。関節は、ストック?」
「!!」
戦の神の瞳に、理解の色が浮かんだ。
「撃ったそばから、指先に移動させて……。弾幕が途切れないようにするってか?!」
「そうです」
「しかも、4連射なんだよな? 1発分を1/20にして4連射するから……」
「80連射……ですね」
「狂ってやがる!! そんな運用したら、戦士が形無しじゃねぇかっ!!」
「そうなんですよぉ……」
大地母神は、涙目だった。
「私……どうしたら?」
戦士殺し。そんな凶悪なシロモノを作ってしまって、良いものか……。大地母神は葛藤していた。
「やっちまえ!」
「ふえっ?」
がしっ。戦の神が大地母神の肩を掴んだ。
「このヘンタイ運用、ジュールとかいう姉ちゃんしか、やれないんだろ?」
「そうですけど?」
「それなら、問題ない! 理不尽な魔法使いが一人、増えるだけだ」
「でも、戦士にとっては……」
「ほっとけ!!」
「はいい?!」
大地母神の眼が、真ん丸に開かれた。
「戦士舐めんな! そのうち、なんとかするっ!!」
「本気で言ってます?!」
「あたりめぇだろっ!!」
戦の神が吠えた。
“あはは……。この脳筋、面白ければ、なんでもアリ……ですか?”
大地母神の肩から、力が抜けた。




