理不尽vs理不尽 13
「確認と、相談があります」
「ちっと待ってろ」
戦の神が左手を振った。周囲の時間が止まる。
「時間停止?! なんていう、神力の無駄使いを……」
「さすがに、煩すぎるだろ?」
戦の神は、ニカッと笑った。
“羆が……笑ったようにしか、見えません……。怖くはないのが、不思議ですね……”
大地母神は、門までの距離を横目で確認した。
“この脳筋……。間合いを無視して、飛び込んでくるから、嫌なんですよね……”
内心で溜息をつきながら、目の前の戦場を眺めた。
「これって……」
大地母神は、記憶を浚った。
「レムリカ渓谷……ですか?」
「正解だっ!!」
戦の神は、嬉しそうだ。
「オレの使徒の娘が、昨夜、ここの説法をしててな。久しぶりに、出してみたんだ」
「戦場の再現だけは……無駄に細かいですね……」
大地母神は、小さな毒を吐いた。
「褒めても、何にも出ないぜ!!」
「褒めていませんからっ!!」
大地母神は、小さく笑った。命の危機が無い分、彼女にも余裕がある。
「笑うと、カワイイなっ!!」
戦の神は、思わず大地母神の頭を撫でていた。
「戦の神。私とあなたは、恋人同士でも、夫婦でも、ありませんよ?」
「カワイイから、撫でた。それだけだぜ?」
「よく、お聞きなさい」
大地母神の声が、少し低くなった。
「神の世でも、ただの不埒者ですよっ! 」
「ごめん……」
“この脳筋……。憎めないのが、危険なんですよね……”
大地母神は、警戒心を剥ぎ取られている。とても危険な兆候だ。
「でも、これって……。史実とは、違いますよね?」
「ああ。オレが戦場に居ないからな」
2柱は、戦場を見た。時間停止されているので、血しぶきも、切られて飛んでいる腕も、良く見える。




