第2話 丸の内のビル群が成功の象徴としてそびえ立つ
成功イコール幸福って感じがするけど?
都心は、日本の歴史を象徴する場所が数多く点在している。
だが、オレらの目的は、名所旧跡、パワースポット、遊びの穴場を問わず、
幸せ探しの都心全域巡りなのである。
まず向かったのは、駅からほど近い皇居。
広大な濠と石垣に囲まれ、その向こうには鬱蒼とした森が広がる。
かつては江戸城として、日本の中心であり続けた場所だ。
健二:「さて、いよいよ旅が始まるど、幸福って何だろうね?
映画とか音楽の世界じゃ、成功イコール幸福って感じがするけど」
オレの耳に響く声は、自分自身の問いかけのようだ。
声の主は甥っ子の健二。オレの脳内に宿る霊的存在の一つだ。
彼は不登校の通信高校生で、物理、化学、生物、
地学や地理、歴史が得意である。
量子力学や脳科学などの知識を基に、
論理的な視点を提供する
甥っ子は現代的な視点や素朴な疑問を投げかけ、
読者の共感を呼ぶ若者である。
口は悪いが、どこか憎めない。
「気の流れねえ。そんなフワッとしたもんに人生任せて、
ここまで来ちゃったのかよ」
オレがつぶやくと、今度はワイズマンが、深い落ち着きのある声で答えた。
「しかし、それでよかったのだ。
気の波動に身を任せた者にしか見えぬ風景がある」
ワイズマンは、オレに宿る二つ目の霊的存在である。
彼は元・自動車会社の技術部長で、オレと同郷の知恵者。
人生の浮き沈みを経験した者だけが醸し出す、
滋味あふれる語り口でオレの心をほぐしてくれる。
ワイズマン:「この世には宿命的な気の波動が創る景色であふれている。
君の人生は、そういう景色でいっぱいじゃないかね?」
十人十色で、個人によりメルモの見えないものがある。
はたして、この広大な皇居の敷地、かつて天下を治めた権力の中枢で、
オレは何を見つけられるのだろう。
丸の内のビル群が、成功の象徴として空にそびえ立つ。
ガラスと鋼鉄の塊が、見る者に威圧感を与えつつも、どこか魅惑的に映る。
この場所で、かつては武士が、今はビジネスマンが、
それぞれの天下を目指して戦っている。
成功とは、いったい何なのだろう?
目に見える富や地位を手に入れることなのか、
それとも、もっと心の奥底にあるものなのか?
正直、今のオレには、その答えが分からない。
オレの人生は、常に成功とは無縁の道を進んできた。
中卒、医大の放校、司法試験の挫折、長年のサラ金暮らし。
世間一般の成功からは、あまりにもかけ離れている。




