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第1話 赤い駅舎を背に幸せ探しが始まる

気に身を任せた者にしか見えぬ景色がある。

人生は、そういう風景で満ちている。

東京駅の丸の内南口に立った瞬間、胸の奥がざわついた。

今日の幸せ巡りは、ただの散歩では終わらない。

そんな予感が、朝の空気に混じっていた。

「……さて、今日はどこへ行こうか」

ひとりごとのつもりが、すぐに返事が返ってくる。

「それはこっちのセリフだよ、おじさん。

行き先を決めるのは“気の流れ”だって、いつも言ってるじゃん」

声の主は甥の健二。

オレの脳内に宿る、理屈っぽい相棒だ。

「気の流れねえ……そんなフワッとしたもんに人生任せて、

ここまで来ちゃったのかよ」

すると、もう一人の相棒・ワイズマンが静かに言った。

「しかし、それでよかったのだよ。

気に身を任せた者にしか見えぬ景色がある。

君の人生は、そういう風景で満ちているじゃないか」

赤レンガの駅舎を背に、オレは歩き出した。

都心を巡る旅が、いま始まる。

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