26/50
第25話 二十年前の夕暮れ
* * *
二十年前。
封印派と解放派が、まだ同じ拠点の長椅子を使っていた頃の話だ。
対立など、想像すらできなかった時代だった。
「来縁、またそこで寝てるのか」
夕暮れ時の拠点の長椅子に大の字になって転がっていた来縁に、
封印派の宝璽が呆れたように声を掛ける。
不器用なほど真面目な青年が、そこにいた。
「寝てないよ。考え事をしていた」
「天井を見ながらか」
「天井は思考を邪魔しないから好きなんだ」
来縁はのそりと身を起こし、黒々とした髪をくしゃりと掻き回した。飄々とした笑みは今と変わらない。
ただ、その笑みの底にある重さが、この頃はまだずっと薄かった。
「ねえ、今夜ご飯にしようよ。三人で♪」
突然、莢が身を乗り出した
「どこに?」
「どこでもいい。来縁の行きつけでいいから」
「ワシの行きつけは宝璽が嫌がるやつばかりだけど」
「うるさい」
「ほら、もう嫌がってる!大丈夫。片桐くんの所だから」
莢がまた笑った。宝璽が盛大に舌打ちをした。来縁が肩をすくめた。




