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第25話 二十年前の夕暮れ

* * *


二十年前。

封印派と解放派が、まだ同じ拠点の長椅子を使っていた頃の話だ。

対立など、想像すらできなかった時代だった。


「来縁《らいえん》、またそこで寝てるのか」


夕暮れ時の拠点の長椅子に大の字になって転がっていた来縁に、

封印派の宝璽《ほうじ》が呆れたように声を掛ける。

不器用なほど真面目な青年が、そこにいた。


「寝てないよ。考え事をしていた」

「天井を見ながらか」

「天井は思考を邪魔しないから好きなんだ」


来縁《らいえん》はのそりと身を起こし、黒々とした髪をくしゃりと掻き回した。飄々とした笑みは今と変わらない。

ただ、その笑みの底にある重さが、この頃はまだずっと薄かった。


「ねえ、今夜ご飯にしようよ。三人で♪」


突然、莢《さや》が身を乗り出した


「どこに?」

「どこでもいい。来縁《らいえん》の行きつけでいいから」

「ワシの行きつけは宝璽《ほうじ》が嫌がるやつばかりだけど」

「うるさい」

「ほら、もう嫌がってる!大丈夫。片桐くんの所だから」



莢《さや》がまた笑った。宝璽《ほうじ》が盛大に舌打ちをした。来縁《らいえん》が肩をすくめた。


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