私が私であるために
ダグラスはとても優秀で、リーゼロッテとは違った意味で強い。
このクラスで、竜と誓約しているのはリーゼロッテとダグラスだけで、チラチラとほかのクラスメイトたちは卒業している。
誓約した誓獣の強さは、この国ではステータスだ。
「そういえば、シルヴァントに絡んでた子、居なくなったね」
「あぁ、ラウルか。確か少し前に卒業して、近衛兵候補として、寮に入ったと聞いた」
竜と誓約すれば自動的に竜騎士になる。
下位精霊なら1年程、上位精霊なら3年程、その人間にもよるが、長くアカデミーにいるのは竜や多属性の者くらいだろう。
一方、黒の六天竜と誓約しているシルヴァントは、その魔力量や素質から、魔法士に推薦されている。
そもそも希少な黒の魔力。
それが部隊として成立しないのは、火を見るより明らかだ。
「来年は竜騎士コースか。赤と緑なら、別クラスになるな」
「そうだね。リゼはすぐにでも隊長になるんじゃない?」
「確かにイグニールがいるからそうなりそうだけど、私の実力じゃないってことだろ?」
リーゼロッテは立ち上がると、ダグラスをその強い瞳で見つめた。
「いずれなるにしても、まずは積み重ねるさ!父上も母上も、そうやって騎士になったからな」
リーゼロッテの胸には母から譲り受けたブローチがあった。
リーゼロッテの媒介であり、特殊な金属で出来たドイッセル家の家宝。
「私が私であるために、剣を振るう。そうだろ」
「うん。それでこそ、リーゼロッテ・ドイッセルだ」
そんな2人に、イグニールは優しい目を向けた。
ダグラスはリーゼロッテにとって、申し分ない程の出来た婚約者だ。




