6 和平とロゴ ~~戦争は終わらぬ~~
開いて頂いてありがとうございました。
前回、誤字のご指摘下さった方ありがとうございました!
申し訳ありません、今回も推敲する間もなく投稿致します。
ポワティエ周辺の掠奪を終えて、ロゴの一行はロワール河を越え、雑草が丘に向かっていた。
ポワティエは、シギベルト王の所有地であったが、その周辺にはキルペリク王の臣下である領主が住んでいた。フランク人であるシゲールとガロ・ローマ人であるバシリウスであるが、いずれも熱心なキルペリク派ともいうべき立場をとっており、今回ロゴと共に掠奪行に参加したのだった。
掠奪は大成功に終り、ポワティエ大公軍の貧弱な迎撃も一蹴し、三人の領主は笑顔で別れてロゴも帰途についていたのだった。
100名近い働き盛りの捕虜を得て、ロワール河を渡り、ナントで預けた。ゴームルやユーローがいたので、適宜割り振って働かせるように指示した。配下が有能なので楽なものだ。
ゴームルから、雑草が丘が、ドワーフによって襲撃されたという報告を受けたが、撃退されたということなので詳しいことは館に戻ってテウデリクから聞くことにした。
いい日和だ。凱旋日和だ。のんびりと馬を進めていく。
「ジャケ、今回の戦は、よい戦だったな。」
「うんうん。なかなか良かった。」
「そうだ、ネイ、お前も凄く立派だったぞ。素晴らしい闘いぶりだった!」
ロゴはネイを褒め称えた。
「はいっ!」
ネイも喜んで答える。
「そうだな。ネイはテウデリク殿の指導が良かったんだな。立派な手柄を立てた。」
ジャケも相槌を打つ。
ネイは迎撃に出てきたグンドヴァルドゥスの軍勢を迎え撃ち、一騎駈けしてグンドヴァルドゥスの長男を見事討ち取ったのだ。
ネイは身体が軽いから、馬が速い。力が強いから大人と変わらない。馬の速度を利用するから体重の軽さが打撃の弱さに繋がらないから有利なのだ。それに身体が小さいから的として狙いにくく、敵からすると攻めにくいのだ。
先日の北隣りの領主、ギリエンとの闘いでも敵の騎馬武者を討ち取っている。戦国風に言うと、1戦ごとに兜首を挙げていることになるから、これは絶賛に値する。
「あと、その甲冑な。」
「ああ、これか。」
ロゴは自分の胸を軽く叩いた。
「テウが使っている鍛冶屋が作ってくれたんだが、これ、めちゃくちゃいい奴だわ。軽いし頑丈だし。身体も動かしやすいわ。」
「俺にも回してくれよ。」
「テウに言ってくれ。誰に優先して回すか、あいつが決めてるんだ。」
「分かった! 俺とテウデリクはエロ友達だからな! 頼めば聞いてくれるさ!!」
ジャケはテウデリクと自分はエロ友達だと思っているのだ。
「そんなに早く回ってこないかもしれないぞ。今、矢じりまで、これで作ってるんだ。」
ロゴは答えた。
「おっと、俺はここで。」
ジャケは別れを告げて自分の村の方に向かった。ジャケの直属の従士たちも分かれていく。
・・・
「おっ!」
ロゴは雑草が丘の近くまで来たところで、驚きの声を上げた。
何か見慣れない建物が自分の館があった場所に建っている。
「なんだあれは。俺のか?」
今までの柵で囲まれた頂上部分にひっかかるように建っていた木造三階建ての館がない。その代わりに煉瓦製の城壁、少し高く作られた城門、物見櫓があり、更に奥に小高い小山があって、その上に立派な洋館風の三階建ての館が建っていた。
「そういえば、テウの奴、『ちょっといじりますよ』って言っていたな。」
ロゴは思い出した。
「いじりすぎだろ、これ。」
少し雨漏りがしていたので、それを直してくれるのだろうとなんとなく思っていたのだ。ここまでやるとは全く予想していなかった。
茫然としながら丘を登って行くと、まだまだ改装は進行中だった。
「父者、お帰りなさいませ。」テウデリクが挨拶をした。
「おう、テウ、これは凄いな。」
「はっ。」
本当は色々報告したいのだが、まずは戦陣の労を労うのが先だ。
ひとしきりポワティエでの戦の話を聞き、ネイの手柄を褒めた。
それから、ドワーフの襲撃について報告した。
「おう、シギベルト王は、ブリトン王国に金を贈って参戦させたのか。そいつは酷いな。フランクに対する裏切りに等しいことだぜ。」
「そうですな。それより、今回の襲撃で、この城に問題点があることが分かりました。」
やっと説明したいことに入った。
設計と現場指揮をしていたヴェルナーに説明させる。
「城壁は幅を広げて上に立てるようにします。幅は半トワーズ強(1メートル)にして、胸壁を上に積み上げます。そうすることで、壕の近くまで来た敵兵を攻撃しやすくします。もちろん登って越えることも難しくなります。」
「ふむ。」
「物見櫓は張り出させて、死角をなくします。もっともバランスが悪いので子供しか上ることができなくなります。」
「ほう。」
「ロゴ様のお許しが出れば、村の者にも弓の訓練をさせたいと思っております。城壁に並べれば、鉄壁です。」
「お、いいぜ。」
「城壁内には二階建ての建物を立て、地下室も作りました。地下室には食料を貯蔵しています。」
「酒も入れておいてくれよ。」
「貯水槽を作りましたが、水はやはり問題があります。裏手から密かに水道管を引いておこうと思っていますが、敵に発見されたら水が止まります。」
「じゃあ酒だな。やむを得ないわ。」
「父者、そういうわけで、ガーリナにシギベルト王がブリトン王国に通じていることを告発する文章を書かせています。酒宴が終われば、ご確認下さい。」
「よし。」
○ ○ ○ ○ ○
雑草が丘から北に数里行ったあたりで、一人のドワーフが傷を癒していた。
(ひでえ城だった。あれは無理だ。)
丘を登るのは当然としても、壁がある城など聞いたことがない。都市の城壁は別だ。それ以外の領主の館は、柵で仕切られているというのが普通なのだ。
壕まであった。壕の底面は凸凹していて足場が悪く、しかも上から槍を投げられて、一気に損害が出たのだ。
(そしてあの弓だ。)
吐き捨てるように思い出す。
最初は幼児が身丈に合わぬ弓を持っていて滑稽に見えたものだ。到底届かないだろうと思われる距離からいきなり射って来たのだが、どんぴしゃり、首領が真っ先にやられた。それからもあちこちから正確に射られたために、壕に取りつくときには、既に主立った者は動けなくなっていたのだ。
(あれは絶対に選んで撃っていた。)
要となる戦士が狙い撃ちされていたのだ。
あとで考えると、作為的にやられていたと気づいた。
矢を狙って撃つなど、信じられないほどの技術だ。
(そしてこの矢はなんだ。)
血で固まった拳をなんとか開いて、折れた矢の先を見つめる。
これは奇妙な矢だった。飛んできて、当たる直前に急に重くなったように見えたのだ。
人間には見えないだろう。物作りの技術に秀でたドワーフだからこそ気が付いたのだ。
(これは普通の矢ではない。)
(まてよ、打撃の直前に重くなる?)
聞いたことがある。特殊な金属で、剣などに使われることがあるが、切れ味が鋭くなり、重さが瞬時に切り替わるという。しかし、極めて貴重な金属だから、王が持つ剣にしか使われない。矢じりに使うなどという贅沢な使い方がされるはずがない。
青ざめながら、ぺっぺっと唾を吐いて矢じりを拭った。血と泥を取り除いて金属の表面を見るが、確かに普通の鉄とは異なるようにも見える。
耳を当ててみた。目を瞑って気持ちを落ち着かせてみる。
金属の声が聞こえる。ドワーフにのみできる技だ。言葉が聞こえるわけではない。金属に耳を付けて心を静かにしていると、金属から何かが伝わってくるのだ。普通の鉄は、「てつてつてつてつ」というような印象が伝わってくる。良質の鉄は、「かたいかたいかたいかたい」というような感じだ。
この矢じりは、「キーン」という印象というのだろうか。
「わっ」
突然、ドワーフは耳から矢じりを離して飛び退った。
いきなり攻撃的なイメージをぶつけられたのだ。
はっきりとした殺害の意図があった。戦闘のために作られた金属だ。しかし信じられない。このような貴重な金属を、使い捨てになりかねない矢じりに使うなど。
なんとしてでも、これを持ち帰りブリトン王に報告しなければならぬ。
真銀だ。
○ ○ ○ ○ ○
ヒューゴはタンポポを大量に摘んで小川の傍に座っていた。
タンポポの根を粉末にして、それを圧縮して丸薬にするのだ。
本来なら屋外でできるような作業ではないが、それを文明魔法が可能にしていた。
まず小川でタンポポを綺麗に洗って、小刀で葉と根の部分を切り落とす。葉は後で処理するから置いておいて、根の部分を一纏めにして、呪文を唱えた。
神聖魔法上級編に書かれていた水を操作する魔法だ。微量ではあるが、水分を物から抜き取ることができる。書写した若き日のグレゴリウス大司教は、「何ノ役ニ立ツカ分カラヌ。オソラク神カラ悪魔ガ魔法ヲ盗ンダ時ニ、混入シタクダラヌ魔法デアロウ。」と余白に書き付けてあった。
ある物を完璧に乾燥させるというのは、使いようによっては物凄い技術なわけだが、グレゴリウスはその有用性に全く思い至らなかったらしい。
根が完全に乾燥したら、薬研に入れて砕いていく。ある程度砕けたら、乳鉢に入れて磨り潰していく。1,2刻で、両手の平に一杯ほどの粉末が出来た。
次に圧縮器を出す。丸薬の大きさをした窪みがたくさんあって、その上から筒がピストンのように降りてくる仕組みになっている。ぐりぐりとねじ回しを回すことによって、強い力で圧縮できるようになっている。
全ての窪みに粉を一杯に入れ、取っ手を回していく。万力のような要領だ。これだけだと少し丸薬に力を掛けたら粉々になってしまいそうだ。
「そうだ。」
忘れるところだった。
このときに魔力を注ぎ込むと良いのではないかと思っていたのだ。
「雷」
と呟く。頭の中で正確な呪文を唱えると、右手で握った取っ手を通って、ビリビリとした感覚が圧縮器を包んだ。これで丸薬にも魔力が含まれるのではないだろうか。
そこで、パンの欠片を鍋でふやかして作っていたデンプン質を刷毛に付け、丸薬に塗っていく。充分塗り終えたら再度乾燥の魔法を掛けた。
「よし、できたぞ。」
表面がかちかちに固まっている。これで効果があるはずなのだが、試したくても試す相手がいない。ヒューゴも別に冷え症で困っているわけでもないから、使っても意味がないのだ。
(鑑定方法があれば良いのだが。)と思いながら、どんどん作っていった。
もう一つ改善したいことがある。
魔物の血を入れると、あらゆる薬の効果が上昇するらしいのだ。
考えてみれば、西ローマ帝国の滅亡とともに文明魔法が滅び、その劣化コピーである神聖魔法が使われるようになった。そうすると文明魔法が消費していた魔力がだぶついたため、魔物が発生するようになったと考えられている。もっとも、それは、ドワーフの間で伝承されていることであって、グレゴリウスの蔵書にはそのような記述はないからヒューゴには分からない。
しかし、魔物が文明魔法の魔力を使って発生していることを考えれば、その血に魔力を増進させる効果があることは明らかだろう。
粉末を半分くらい残しておいた。これは魔物の血を得たときに再度挑戦してみようと思っている。タンポポの葉も残してある。これはお茶にして飲んでみるつもりなのだ。
その夜は、ヒューゴは野宿した。兎などがいるからそれを捕まえて食べるのは造作もないことだったし、夜の寒さも空間快適魔法を使えば問題にならない。焚火を作り、安心して寝ることにした。
・・・
翌日、ヒューゴは北東に向かって歩き続けた。寂れた旧街道をずっと行くと、魔物の発生源があると聞いていた。
昼過ぎになって、噂のとおりの目印があった。
(確かに、犬の顔のような岩だな。)
トゥールの町にいること、旅商人に聞いたことがあったのだ。
ここから街道を外れてしばらく行くと、少し高い山がある。その山と周辺が魔物の棲息地帯なのだそうだ。
ヒューゴはすたすたと歩いて進んで行った。
・・・
ヒューゴの頭の高さよりも高い草が茂っている。何があって、何がいるのかさっぱり分からない。しかし、さっきから小川の流れる音がしていた。
(川があるのなら、水を飲みにくるだろう。)
そこを狩場にしようと思っているのだ。
少しずつ川に近づいて行きながら、ヒューゴはぴたりと足を止めた。
(何かいる。)
勘としかいいようがないが、何か危険な生物がいる予感がしたのだ。
野蛮魔法で身体が強化されているのを確認し、小剣を抜いた。
背負い袋をおろし、左腕に括り付ける。即席の盾替わりになるだろう。少し重いが、野蛮魔法を使っている限り、それほど重荷にはならない。
ヒューゴは少しずつ、妙な感覚がする方向に近づいて行った。
突然、草が、がさっと割れて、大きな熊が現れた。前足を地面に付けているのに、背中の一番高いところで1トワーズ半(約3メートル)はありそうだ。長さは、鼻先から短い尻尾までで、4トワーズ(約8メートル)くらいか。
「ガアアァーッ!!」
熊は威嚇してきた。立ち上がって、両手を上げて咆哮した。普通の獲物だと、恐怖の余り動けなくなるだろう。
もっとも熊は立ち上がってどうするつもりだろうか。前足ははるか上空にあって、ヒューゴには届かない。届かせるためには、前の姿勢に戻る必要があるだろう。もちろん牙も同様に届かない。立ち上がったためにヒューゴと熊の後ろ足との間には相当な距離があるから踏みつぶすこともできない。熊が前に蹴りを入れられるのであれば、危ないかもしれないが、そういう動きができそうにも思えない。
(普通の熊か? それとも魔物の熊だろうか?)
その疑問はすぐに解消した。
熊が、立ったままヒューゴの方を向いて、グワァッ! と声を上げたのだ。その瞬間、人間の手のひらくらいの刃物が口から飛び出した。
ヒューゴは慌てて飛びのいたが、刃物はざっくりと雑草を切って地面深くに突き刺さっている。
「そうか、魔物なんだな!!」
普通の熊も使いどころはたくさんある。
熊の胆は生薬になる。魔物の熊の胆も何かに使えるかもしれない。
「やった!」
喜んだが、それよりも前に、この魔物熊をなんとかしなければならない。
「グワアッ!」
再び刃が飛んできたが、ヒューゴは小剣でそれを弾き飛ばして、前に走り出した。
魔物熊は、「ガッ?」と慌てながら、前足を下ろしてきた。やはり足元が弱いから、格闘戦になるのなら、四本足を地面に付けなければ不便なのだろう。
ヒューゴは、走り込むように見せながら、突然斜め後ろに後退して、魔物熊の前足のすぐ脇に立った。すぐに飛び上がって、魔物熊の首筋に小剣を切りつけたが、毛皮が堅い上に飛びながらなので力が入らず、全く斬れなかった。
(こいつは厄介だな。)
ヒューゴは着地してすぐに魔物熊の後ろに向かって走りながら、次の一手を考える。熊は身体を捻って追って来た。
魔物熊の側面で、身を屈めて腹の下に入った。上に剣を突き立てて、思い切り切り裂く。
「ガァアアァァー!」
魔物熊が怒りの声を上げた。血がぼたぼたこぼれてヒューゴが血まみれになった。
(しまった、タンポポ薬が湿ってしまうかもしれない。やはり油紙か何かで包む必要があるな。)
この場では全く必要のない考えをちらりと頭に浮かべながら、ヒューゴはそのまま魔物熊の逆の側面に出た。
魔物熊は、驚くほどの素早さで方向を変え、器用に身体を曲げていたため、ヒューゴが腹の下から飛び出したときには、目の前に魔物熊の大きな口が迫っていた。
(やばっ!)
思いながらヒューゴは再び小剣を振るう。
ガキッ!
大きな音を立てて、小剣が折れた。
ヒューゴは小剣の残りの部分を魔物熊の口の中に突き入れた。
「ギャァァー!!!」
魔物熊は絶叫して、丸太のように太い前足を振り回したが、ヒューゴはそれをかろうじて避けることに成功した。
もっとも、ヒューゴの腕を少しかすってしまった。かすっただけなのに激痛が走り、血がほとばしり出る。相当鋭利な爪を持っているようだ。
「おい、俺の武器がないぞ。」
ヒューゴは魔物熊に話し掛けた。
もちろん文句を言ってどうこうしようというものでもない。余裕があるわけでもない。しかし、言葉にすることで、自分の心を安定させる効果はあるだろう。戦国時代から、ヒューゴは、いや明智光秀は、そうやっていくつもの危機を乗り越えてきたのだ。
(あとは時間稼ぎをするか。)
とも考えた。出血が酷いから、時間が経てば魔物熊は死ぬだろう。もっとも、どこかに走って逃げられたら、ずっと追跡しなければならないし、他の魔物に奪われるかもしれない。そもそも熊が死ぬ前にこっちが殺される可能性の方が高そうだ。
(文明魔法で何か使えるものはないだろうか。)
文明魔法は、水、風、雷、光の四種類しかない。少なくとも神聖魔法上級編まで読んだ限りでは、それしかなかった。上級の技になれば、高度な行為ができるようになるが、それでもこの四種類以外の操作はできないのだ。
「よし、光だ!」
ヒューゴは叫んで、走り回りながら呪文を頭の中で思い出す。上級魔法だ。
「光!」
叫んだ。魔物熊の目の前で大きな光の球が出現した。輝く光は、その眩しさで、一瞬魔物熊の視界を奪った。
「グワッ!!」
熊は咄嗟に叫んで、あらぬ方向に、再び刃を飛ばした。
「あ、そうか!」
ちゃんと相手が用意してくれているではないか。
ヒューゴは、さっき魔物熊が口から吐いて地面にめり込んだ刃を拾った。円盤型をしている。なかなか切れそうだ。
足音を殺しながら近づいた。魔物熊は、視界がまだ戻らないらしい。興奮の余り、ヒューゴのわずかな足音にも気が付かないようだし、口の中の血の匂いのために嗅覚も働かないようだ。
ヒューゴは、魔物熊の正面、少し下から
「えいやっ!!」と円盤を投げつけ、同時に、
「風!!」と叫びながら、頭の中で風を強化する呪文を唱えた。
刃の円盤は魔物熊の首にめり込み、切り裂いた。
「クハー・・・」
魔物熊はかすれた声を出した。
ヒューゴは少し離れたところに落ちていたもう一つの刃の円盤を拾ってきた。
駆け戻ってきたときには、魔物熊は既に横倒しになっていた。首周辺と腹のあたりに血だまりができている。
(しかしまだ死んでいない。)
どうやって始末すべきか。
この瞬間が、ある意味一番危険かもしれない。最後の力を振り絞って反撃してくるかもしれないのだ。
(そうだ。)
近くにあった大岩を持ち上げる。これを高く放り投げて、魔物熊の頭に落とせば、頭が砕けて死ぬだろう。
「そこまでだ!」
突然声がした。
ふと見上げると、少し離れたところで、騎馬の貴人が数名こちらを見ていた。
ご一読ありがとうございました!
次も少し時間が空きそうです。
引き続きお読み頂きますようお願いします。




