表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三国志・王脩伝ー義に厚き漢ー  作者: 涼風隼人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
11/22

第11回 王脩、高密県の県令となる

 王脩が高密県に赴任する日がやってきた。

 

 書房の面々は主簿を拝命した黄文を筆頭に全員が見送りに出てきている。そしてもう一人。何と、早朝にも関わらず、孔融自ら見送りに出てきたのである。

 

 書房の面々は孔融に直接会うことは基本的に無いので、間近に孔融がいることだけで、名誉に感じた。

 

 孔融が言う。

 「ここから高密県は馬を飛ばせば、日の入りまでには到着することが出来るであろうが、気を付けて行くのだぞ。」

 

 「こんな朝早くより、お見送り頂き、心より感謝いたします。また、高密県県令といった重職をお与えいただいたこと、重ねて御礼申し上げます。」

 

 「高密県には多少問題がある、との報告も入ってきているが、淑治であれば大丈夫だと私は思っている。」

 

 「何事があろうとも、この淑治、何とか解決致します。」

 

 黄文が言う。

 「淑治殿とはこれまで共に過ごしてきたが、今後は別々になる・・・。淑治殿に負けない様、主簿の仕事に取り組もうと思っている。」

 

 「練達殿なら大丈夫でしょう。私を二年間も支えてくれたのだから。私はまた新たな挑戦となるが、全てを懸けて励もうと思っています。名残惜しいが、これにて。」

 

 王脩は全員に別れの拝礼をして、馬に乗った。

 

 王脩は軽快に馬を飛ばした。心地よい風を感じながら、こういった感覚はいつぶりだろうと振り返った。

 

 主簿になってから、兎にも角にも孔融に尽くすことに全身全霊をかけて臨んでいた。休みらしい休みも、ほとんど記憶にない。ずっと書房にいるか、正堂にいるかの暮らしだった。

 

 しかし、それが確実に民のためになっているというのは、孔融を慕う民が多かったことから、自分がやっていることに間違いはない、と思うことが出来た。

 

 今度は、自分自身が「統治者」になるのである。無論、孔融の傘の下での統治者ではあるが、ここでしくじれば自分だけではなく、抜擢した孔融の名声に傷をつけかねないのだ。

 

 「心して臨まねばならない。しかし、それは名声のためではなく、民のためだ。民の為に尽くせば、名声はおのずとついてくる。」

 

 この様に自分に言い聞かせながら馬を飛ばした。

 

 日の入りを迎えるまでに、無事に到着することが出来た。新しい県令が来る、それも若くして孔融に認められた者、という話で、役所の主だった者や、民たちが出迎えのために城門付近に集まっていた。

 

 すると、一人の男が近付いてきた。県令を支える「県丞」の者である。県丞が言う。

 「県令殿。お待ちしておりました。我が高密県のこと、よろしくお願い申し上げます。」

 

 「出迎えありがたく思う。これより県令に就かせて頂く、王淑治と申す。早速であるが、日が完全に沈む前に、城内を案内してもらえないだろうか?」


 「今からでございますか?実は、簡単ではありますが歓迎の宴の準備も既にできているのですが・・・。」

 

 「それはありがたい。しかし、少しでも早く自分の治める高密県のことを知りたいのだ。少しの時間でも構わないのでお願いしたい。」

 

 「かしこまりました。それでは、私の方でご案内させて頂きます。」

 

 王脩は県丞と馬を並べて、早速の巡察を行った。

 

 県丞は城内の重要な場所を中心に案内をした。

 

 王脩は聞く。

 「ところで、一つ聞きたい。孔融様が高密県には解決せねばならない問題があるとおっしゃっていたのだが、県丞殿はわかるか?」

 

 「問題・・・。それは、恐らく“孫一族”のことだと思います。」

 

 「孫一族・・・。詳しく教えてくれぬか。」

 

 「はい。孫一族は、いわば裏社会の顔役、の様な者たちです。罪を犯した者や、いかがわしい者たちを匿い、徒党を組んで粗暴なことをするなど、民たちは怖がり、非常に困っております。」

 

 「違法であるのは明らかであるのに、何故、誰も手を付けないのだ?」

 

 「我々役人だけでは太刀打ちできないほどの力を持っております。それ故、この様な情けない状態がずっと続いており、それを孔融様は問題がある、と言ったものだと思われます。」

 

 「大体のことはわかった。それでは、せっかくの歓待の宴を用意してくれたとのことで、ご馳走になろうか。孫一族の件に関しては、明日、速やかに対応の検討をしよう。」


  こうして、この日は宴でこれからともに働く者たちと歓談をしてゆっくりとした時間を過ごした。


 そして、翌日、県令として早速、孫一族への対応を開始するのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ