出発、旅路の一幕
「さて、じっとしてらんないし行きますかね」
オラリオンのある方向を指さしながらレッドが歩き始める。
「そうですね、早くいきましょうリィズ様」
「時間がないみたいですからねー」
「ヴェールちゃんの為にもやるしかないんだよな!」
歩き始めたレッドの横にはイータ、ロサ、リムがさも当然のように並んでいる。
「ちょ、なんで三人も一緒に居るのです⁉」
「そりゃ、ヴェールちゃんは『俺、ジェイド、リィズの三人でオラリオンに向かえ』とは言ってなかったしなぁ」
「そういうことなんだよな。決して嘘は言ってないんだよな」
「そうなのよねぇ~ヴェールちゃん、こういうところはイジワルだから」
「これはもうイジワルとかじゃなくてとんちとかそういうものじゃないですかね…」
「リィズ様が一人でどこかに行かない様に出来るとのことなら私は喜んで協力しますよ」
「……俺たちはなぞなぞ大会に来たわけじゃ無いんだけどなぁ」
ぼやきながらジェイドも歩き出す
「まあ、何となくこうなる気はしてたのです…主にリムは」
リィズもジェイドに並んでいく。
「んじゃま、ささっと終わらせますかね」
一国を相手にした戦いとは思えないほど弛緩した空気のまま一行はオラリオンを目指して出発した。
実際、オラリオンとウェーデルは距離がとんでもなく離れているわけでもない。
大きな障害さえなければ馬車で急いで一日~二日。ゆっくり歩いても一週間かからない程度の道のりである。
「さて、もう見えてきたわけだけど。ここまでなんの妨害も敵襲もないのはどうなんだろうね?」
辿り着くまでかかったのは五日間。その間一回たりともオラリオンからの人員に出会うことは無かった。
「それだけ自信のある守りだってことじゃないですかね?」
「どうであろうと、無用な戦闘を回避できるのはこっちとしてもありがたいんだよな」
「一番の障害が見えてるわけなのですがそこは何も言わないのですか…」
リィズが言っているのはオラリオン全体にかかっている魔法、『永眠』のことだ。
外から見る限り、黒いドームのようなものに国全体がおおわれている。
「こればっかりは見てるだけじゃわかんないからなぁ。まあ私がなんとかするよ」
ロサが道中話したことによれば、魔法にはそれぞれ特色があるからそれに合わせた色で自分たちの活動圏の分ずつ中和していく。内部で敵が自由に行動していると仮定するならば出来ないことではない、ということだとジェイドは聞いている。
「俺にはそういうのは向いてない…というか多分出来ないからなぁ」
「それを言ったら私も、あと多分リムも出来ないのです」
「痛いところを突きますねリィズ様。その通りです。できません」
ちょっとむくれた様子でリムが返事をする。
「こんなことやれるのはロサぐらいのもんだし気にしなくていいんぞ。あいつがおかしいんだ」
レッドの微妙なフォローに『言い方ってもんがあるんだよな』とイータが一発脛に蹴りを入れていた。
脛の痛みに悶えるレッドの耳元で『イーちゃんがこうしてくれなかったらもっと怖い目に遭ってましたからね~?』とささやいているのをリムは聞いてしまっていた。
(絶対にリィズ様とこの女性陣二人を一緒にするわけにはいきません…これならまだジェイド様と一緒になってリィズ様がニヤニヤしてる方がマシです!)
人知れず固い決意を結びながらリムはイータとロサから距離を取っていた。
「リム?なんでちょっと離れて歩くのです?」
「何でもありませんがどうせならリィズ様もこちら側を見てみてはどうでしょうか!ほら、景色も綺麗です!」
「……?何だかいつもと様子が違わないか?」
「なーんーでーもーあーりーまーせーん!」
こういう時ばかり勘のいいジェイドにイラつきながらリィズの横にひょいと戻って旅路を急いでいった。
朝4時更新の私時計ではまだ火曜日!セーフ!セーフです!
毎回こんな夜中の更新で申し訳ありません…
昼間の予約更新にしてもいいのですがその場合Twitterでのご報告が出来ないのであまりやりたくないんですよね。言ってしまえばワガママです。
そんなわけでオラリオンに向けて出立。ジェイドの故郷はどうなっているのか。
その辺は次回及びその続きで!では!




