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見えなかった街、見えてくる真実

ジェイドとリィズは急いでヴェールの元に戻ろうとする。

来た道を戻る、ただそれだけの行動のはず。

なのに、それができない。どうやっても、元の道に戻ってしまう。


「これは、明らかにおかしいのです」


「だよな…風景すら全然変わらないのはあり得ないだろうし」


二人で走っていた足を止める。このまま走っても徒労に終わることは想像に難くない。


「…二人とも、どうしたの?」


声をかけてきたのはフィエリテだった。少なくとも、その見た目は。


「フィエリテ…だよな?」


「ちょっと、どうしたのその険しい顔………なにあれ」


背後にある死体にフィエリテも気づく。


「説明の前に、フィエリテさんかどうかの確認をさせてほしいのです」


そう言ってリィズはフィエリテの耳元で何かを囁く。

それを受けてフィエリテもリィズの耳元で何かを言っている。


「大丈夫なのです。本人なのです」


やけに自信満々に言い切る。


「何を言って確認したのかくらい聞かせてくれよ」


「あー、それはね。以前から頼まれてた……むぐぐ」


必死の形相でフィエリテの口を塞ぐリィズ。


「ふぉはへ?ふぉんふぉうっふぉいふぇふぉ?(ほらね?本当っぽいでしょ?)」


口を塞がれながら何か言っている。


「何言ってるかわからんがとりあえず偽物じゃなさそうなのは分かった。この状況にどう対応するかが先決だろ」


「それもそうなのです」


ぱっ、と手を放して周りを見るリィズ。


「でも、あの死体。見たところずっとここにあったわけだよね」


「そうだろうな。でも俺らを含めて誰も気づいている様子はなかった」


「ってことは、あの状況を隠していた誰かが居るってことだよね。まあ、力関係を考えるにヴェールさんだけだろうけど」


フィエリテもジェイドやリィズと同じ結論に至っていた。


「まあ、この状況なら大体同じ結論に至ると思うのです」


この国において彼女以上に魔法に精通している者はいないだろう。そのヴェールが何も言わなかったのだから彼女がこの状況の元凶であるのはほぼ明白ということだ。


「で、いざ話を聞きに行こうとしたらば全く辿り着けなくなったということ」


「はぁー、なるほどね。それで二人してお疲れなんだ」


ふんふん、と周りを見ながらフィエリテも自分たちの状況を理解していく。


「そういえば、フィエリテは何してたんだ?」


「買い物。とはいっても何買うかも決めずにぷらぷらしてたら二人が見えたってだけだったんだけどまさかこんな状況とは」


「まあ、ここで立ち話してても状況は変わらないのです。とりあえず進んでみるのですよ」


リィズの言葉でまた歩き始める一行。歩けども一切変わらなかった街並みは、ものの数分で違う光景に変わっていった。

崩れた街並み、横たわる死体、抉れた道。


「…何、これ」


「こんな場所、一回も見たこともないのです」


「これじゃまるで、つい最近大規模な戦闘があったみたいな…」


敵襲はあった。だが、ここまでの被害が出ているとは聞いていないし見てもいない。


「戦闘が、じゃない。戦争が、あったんだよ」


前方から歩いてくるのはヴェールとレッドだった。


「戦闘が行われた形跡は間違いない。だが、ここ以外の市街地に戦闘音すら漏らさずにこれほどの戦闘をすることが可能なのか。そして、この光景を今まで見せずに今になって見せた理由はなんだ?俺たちは少なくとも協力関係、同盟関係にあったはずではなかったのか?」


ジェイドが矢継ぎ早に質問を重ねていく


「まあ待てよ。ヴェールちゃんが一つずつちゃんと説明すっからさ」


レッドが槍を向けながらジェイドを制する。


「こんな場所で威圧しない。こっちの話が強制力を持っちゃうでしょ」


「あー、すまん。だがそこなジェイド一行は少しじっとして話を聞くがいい」


まるでこの状況が普段通りかのようにいたって普通の会話をしているが、足元には死体がいくつも転がっている。


「こんなことになっててわけわかんないと思うけど、ごめんなさい。これが現実。あなたたちに見せていたのはウェーデルの綺麗な部分だけ。何度も信仰された外側の部分は立ち入れない様にしてたの」


「なんでそんなことを…」


ジェイドが再度質問をしようとするが、『じっとして話を…』の言葉に従って今は口を噤む。


「今回こうして見せたのは現状をしっかり理解してもらうため。私やレッド達の力でこの国の防衛は成り立っているけれど、国内での戦闘は避けられないし、数分対処が遅れればそのまま市民や、私達の死につながるかもしれない。まあ私は死なないけどね。あなたたちオラリオン奪還を試みる人たちにはこの国が一つの希望、言い換えれば戦力になると踏んできたんだろうということは心を読むまでもなくすぐにわかったし、可能な限り協力は惜しまない。でもそれはあなたたちとの利害の一致である部分が大きいし、互いに利用し合う状態になる。正直そんな風にはなりたくないし言ってしまえば面倒臭いから嫌。だからもうこの際、そこそこ力の付いてきたジェイド君たちにこの状況を知って貰ってこの場で結論を出してもらおうと思ってる。良いかな」 


良いか、と聞かれればジェイドは『NO』と答えたかった。この場ですぐに結論を出していいような議題ではないということもそうだがこの状況は見方によっては自分たちが質問されていると同時に人質にされているようなものだからだ。こんな状況では向こうに有利な答えを出さなければならないに決まっている。

ヴェールとレッド。この二人を相手に勝つことはもちろん逃げ切ることすら不可能に近いことは今さら試すまでもなく、仮に自分たちが逃げられたとしてもヒラソルさんたちは絶対に逃げられない。


「…わかった。俺たちが知るべきことを話してくれ」


最終的にジェイドは何度も『試見』した結果、この答えに行きつく。

何度、どう逃げても逃げきれない。殺されこそしないが絶対に全員が捕まってから話を聞かされていた。そもそもこの場所から元の市街に戻ることすらできなかった。

彼らに残された選択肢は、どちらにせよ一つしかなかったのだ。

一月に一回レベルの更新に落ち込んでしまっていることを再度お詫びしつつ…

ようやっとストーリーも進んできたかなと。

ここから先もまだまだ続きますが、もちろんエンドシーンは作ってあるのでそこに向けて書き上げていくだけ!!

書き上げる『だけ』が難しいんですけどねぇ

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