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力の先に在る物

「おっ、終わったかな~?」


部屋に入ってくるのはヴェール。さっきのルナの話が間違いないのなら、彼女には何か、俺達も…彼女本人すら知らない秘密があることになる。

何にせよ、それを知ったことを悟られるわけにはいかない


「ああ、今丁度終わったところだ。」


「いきなり部屋がめっちゃ光るから『あー、これはルナちゃんが帰ったってことかな?』と思って

ね」


「大正解。なんかヴェールのことは少し苦手みたいでさ」


「私はああいう可愛い感じの声だけで容姿が想像できるんだけどね!実際に会って匂いとか嗅いでおきたかったなぁ…残念」


「そういうところが避けられる要因だと思うのです」


「そっか…やっぱり可愛い子は皆に平等であるべきだもんね」


「そうじゃないのです」


「違うの?でも実際どんな子なのか気になるんだよなぁ…会えない?」


「合わないのはきっとそういうところなのですよ」


リィズが呆れながら答える


「そっかぁ、まあ、いずれ会えるだろうしその時までの楽しみにしておこうかな」


「で、今回の授業、これだけってわけじゃ無いんだろ?」


「ああそっか、途中だったね。魔法とは何なのか、魔力って何ぞやと」


「それはさっき大体聞いた。魔法は未来の可能性の先取りであって、無から有は生み出せない。魔力は簡単に言えば憧れの大きさ、転じて魔法を使う際の強さだ」


「おお、ちゃんと理解してるね。なら、あとは何が聞きたい?」


何が聞きたいのか、と聞かれてどう伝えるべきかジェイドは少し迷う。


「何、と言われると断言しづらいが、俺はヴェール、お前がどういう存在なのかをきちんと知っておきたい」


「どういう存在か、ときたかー。それについては何回か言ってるけど、私はもう魔法なんだ。身体も、中身も」


「だから、それがどういうことなのかって話だよ。どうして、どうやってそうなったんだ?」


「まあ、誤魔化し続けるのは無理だよね。ちょっとだけ真面目な話になるけどいいかな」


「元から真面目に話してるから問題ない」


「私もなのです」


「じゃあまず、なんでこうならないといけなかったのか。簡単。私は、レッドを助けるために子の手を選んだ。あの頃の私は本当に非力でね。彼に助けてもらってばかりだったんだ」


「レッドを…?」


「うん。彼は昔から強くてね。いっつも私を守ってくれてたんだ。同い年なのにお兄さんみたいな感じですごく頼りになるんだよ?今の力関係だと想像できないだろうけど」


昔話をするようにヴェールは続ける


「でも、彼も今ほど強かったわけじゃなくてね。二人で国外に散歩に行ったときに密猟者に捕まった時があったんだ。で、しかもそこには用心棒のつよーいお方までいると来きたもんだ。彼も全く抵抗

できないレベルでやられちゃったんだ」


「あの…」


リィズが何か聞こうとするが、それを手で制しながら話を進める。


「密猟、とはいっても人間の売買もやってるような奴等でね。このウルトラスーパー美少女を放っておきはしなかったんだ。あっという間に捕まったね私は。で、その先で見たのが縛られた上に大人数で殴られ続けるレッドだったわけ。怖い、とかより先に怒ったよ。なんてことするんだってね。でもその時私にあったのは精々が『継承(インヘリット)』と、それで自分の親から貰ってた『上書き(リライト)』の二つだけ。もう私は何やったらいいかわかんなくて、どう使ったらいいかも分からなかった。一瞬でも早く、一握りでも大きな力を得る方法。普通はそんな方法は無いんだけどね」


「つまりあれか。自分自身を魔法に上書きしたのか」


「ご明察。魔法を縛っても意味ないし、魔法は魔法のことを一番よくわかってるからね。すぐに使え

たよ。その状況を切り抜けるために一番効率的にね」


「結局、そいつらはどうなったんだ?」


「思考の上書き。誰かを襲おうとなんてせずに延々と人助けをするように書き換えた。そしたら一月

と経たずに死んでたけどね」


「死んでた?どうして…」


「自分より相手の事を、ってずっとしてたら自分の飯すら食べなくなったみたいで。そのまま餓死し

てる死体が私たちを連れ込んだ小屋で見つかった。最後までお互いを助けようとして、ね。食べ物もある、住まいもある。でも、相手に与えようとするだけになったんだ」


二人は、その情景を想像する。

お互いに生き残れる状態でも、それを相手に渡すことを強要されている状態。

そして、お互いにそれを受け取ることができない。

そして、そのままに死んでいく。


「あれを見て、私は魔法の使い方を間違えたんだと理解したよ。同時に、その恐ろしさも」


「俺たちに伝えたいのはその恐ろしさだってことか」


「まあ、それもあるね。」


「も、ってことは他にもあるんだな」


「うん。私とはある意味正反対のルナちゃん。彼女も同じように危険なんだってことをわかってほしい」


「ルナが、危険…か」


「どうしても、魔法というものは人間の近くにあるだけでその人を惑わせてしまう。その力も、利便

性も全て」


「ルナは、危険なんかじゃない。絶対に」


「わかってる。でも、その力に頼らないであげてね。彼女の為にも」


「………ああ、肝に銘じておく」


ヴェールの過去、ルナの過去。どちらももう二度と引き起こすわけにはいかない。

魔法に頼らない解決、それを見つけるために何が必要なのか。

それを彼はもう一度考えなければならない

大変遅くなりましたことをお詫びいたします!

一月経ってしまいました!

すみませんでしたー!!!

これからもう少しまともな更新をする…今年の豊富です。(n敗)

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