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剣と、拳と。

 何で戦うのか。

そう聞かれれば、彼の武器は剣。あの巨体を崩すために、まず足から落としに行こうとした。


だが、それでは間違っているのだろうか。


「俺は、この剣で戦う」


「……はい、そうです。正確には剣だけではありませんが、先程の状況なら剣で戦うと言って差し支えないでしょう。ならば、その剣でどこを狙って、そう切り崩すのか。そこが問題です。」


「俺はまず足元から切り崩そうとした。だが、その選択では反撃にあうことが視えたから距離を取って体勢を立て直そうとしたんだ」


「そこです!なんでそこで下がるんですか!遠距離の武器を何か持っているわけでもない。対して相手は魔法で形作られた岩人形。そこで距離を取ってしまっては相手にどんな武器があっても、極論相手がこちらを安全圏から狙撃してきてもどうしようもないんですよ?」


一気にまくし立てられてジェイドも少したじろぐ。


「確かに普通の戦闘においては一旦距離を置くのも正解の一つです。ですが、こと魔法を絡ませた戦

いにおいては距離を取る選択で命を落とすことも多々あることを重々お忘れなきようお願いします。…………あなたに何かあるとリィズ様が悲しみますので」


言葉の後ろの方はとてつもなく小さな声で絞り出すように言っていたので聞き取りづらかったが、ジェイドの耳にもギリギリ届いていた。


「ああ、分かった。だが、俺の今の実力では近づいても良くて反撃、悪くて絶命といったところだと思う。今の俺は、あれとどう戦えばいい?」


この質問に、リムは一回ヴェールの方を向いてから、


「それを今から教えます。構えて、私の攻撃を避けてください」


と答えた。

剣を構えると、すごくゆっくりなパンチをリムが繰り出してくる。


「……?」


一歩下がって避けると、元々身体があった部分をいきなり拳が通り過ぎた。

風圧で剣が飛ばされるのではないかと思うほどの速度と威力。


「少しずつ速度を速めるまでを短くしていきます。万一当たれば大怪我では済まないのでお気をつけて。」


リムの眼は『本気』の二文字が燃えているようにすら見えた。

冷や汗をかきながら必死でパンチを避けていく。

ゆっくり迫る拳を本気で避ける様は傍から見れば滑稽だが、本人は命がけだった。


「はっ、ふっ……次はこっち…!」


次第にスピードが遅い時間も少なくなっていく。

一時間後にはもう、パンチのラッシュを避け続けるような風景になっていた。


「はい、ではここまででいったん休憩です。ジェイド様は元々才能が有りますのでここまでは何の苦労もなくできると思っていました。そこ『は』流石です」


リムの言葉には明確にトゲがあるが、ジェイドはそれも甘んじて受け入れる。


「まったく、もっと早くリムに教えを乞うべきだったかと後悔してるよ」


「やめてください。そんなことされたら私がリィズ様の近くに居辛くなります。リィズ様はああ見えて独占欲も人一倍強いお方ですので……」


そこまで言って、リムははっと後ろを振り返る。


「……とにかく。本来ならギエルさん辺りから教わっているべきことですからね」


「俺のために、すまない。ここからはどうするんだ?」


「簡単です。スピードには無理やり慣れてもらいましたので、あとは実践です」


リムの視線の先では、ヴェールが泥の人形を作ってニヤついている。


「お、やるんだね?こいつの一撃を食らったら間違いなく泥だらけ、その上そこそこに居たいけどまあ死ぬことは無いって寸法さ!」


「では行きますよ。さっさと片付けましょう」


言葉と同時にリムが走り出す。

自分がやるものだと思っていたジェイドは一瞬呆気に取られてしまうが


「何やってるんですか!さっさと行動してください!ぐず!のろまー!」


リムの微妙に子供じみた悪口をうけながらジェイドは前線に向かった。

予約投稿が順調に行っているのでここまでは各日投稿できているはず!

問題はここからです。水曜日からもきちんと更新できていたらいいなあ!

ジェイド君は『何』で戦うのか。

彼が戦っているのは『剣』を使って、だけなんでしょうか。

さてさて。それではまた次回!

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