何で戦うのか
止まった岩人形の拳を戻しながらヴェールが話を切り出す。
「まず、未来視なんてトンデモな魔法貰ってるんだからちゃんとその使い方考える事。闇雲に視るだけじゃ何の解決にもならない。それに、視えるんだったらもっと大胆に動いていいでしょ。自分が対処できないって自分で分かり切ってるから思い切った行動に移れないの。自覚ある?」
一気にまくし立てられるが、本当のことであると分かるが故に反論ができない。
「悔しいけど、ある。俺じゃなくフィエリテとか、リムだったらもっと前に出ると思う」
自分がいかに魔法と、周りの人に助けられ続けていたかを再認識しながらジェイドは答える。
「そうね。そんなわけで、キミの為に今日は特別講師が居ます」
どんなわけだか分からないが、ヴェールの指さす方向を見る。
そこに居たのは、リムだった。
「はーーーーーっ!なっさけない!なんですかあのザマは!」
少し遠くから、苛立ちを隠そうともせずに叫んでくる。
「はい、近距離肉弾戦の特別講師リムちゃんでーす」
「不本意ではありますがこれもリィズ様のため。教えられることはきちんと教えます」
心底嫌そうな表情でリムはジェイドにそう言った。
「じゃあ、まずは彼女の戦いを見てみようか。見て盗むのもまた修行ってね」
ひょい、とあの岩人形を動かしだす。
その瞬間にはリムは岩人形の懐に入り込んでいた。
「いいですかジェイド様!こういうのは最初の一撃!固い相手を何度も攻撃するのは剣でも拳でも厳しいので……」
そこまで言って、拳に力を込める。魔法に精通していなくても分かるほどの膨大な魔力が拳に集まる。
「核を完全に、撃ち抜く!」
繰り出された拳は岩人形をたやすくぶち抜き、胴体に風穴を空けていた。
それでも尚動こうとする岩人形を拳でこん、と小突くとそのまま全身がバラバラになる。
「これでいいんです。戦場なら間違いなくヴェールさんを狙いに行くところですね」
「怖いよねこの子。一切躊躇がないもん。でも、強さは本物だよ。私も手を抜いたりしてないし。」
「当然です。手を抜いてたら何も得られませんし、このくらいはリィズ様の横に立つ者としてできなくてはなりません」
ヴェールからの称賛に喜ぶわけでもない、ジェイドが見たこともない程に『本気』のリムがそこに居た。
「手厳しいなぁ。で、どうだいジェイド君。何か掴めそう?」
「いや、それが全く……」
まずもって一撃の破壊力が違いすぎる。リムに出来る戦術がジェイドにも出来る、とは彼には到底思えなかった。
「何を無駄に難しく考えてるんですか。要するに無駄を省いて一撃で相手を無力化すればいいだけの話です。私の場合は拳。ならジェイド様の場合は何で戦いますか?」
何で、戦うのか。もちろん、リムのように素手で戦えるわけでもない。魔法は攻撃に使えるものではない。
やはり、答えはこの剣しかない様に思えた。
少しずつ小分けにすることで更新頻度、というか一気に予約投稿できる数を増やすという、ね。
なんかPSP辺りのDLCを思い出す更新をしています。
何気にリムちゃんがめちゃんこ強くなってますが彼女の魔法は『一点にしか効果がいかない自己強化』ですので!紹介がだいぶ前になってしまったので覚えてない方も多いかもしれませんので……
誰がどんな魔法を使うのか、みたいなのはまた登場するたびにきちんと書いていこうかなと思います。
ではまた次の更新で!




