表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/45

避けられないモノと、目覚め

「いらっしゃい!よく来てくれたね!」


手を振りながらこちらに声をかけてくる。


「私の名前はリシュ。カンビオのリーダーだよ!」


明るく、はっきりとよく通る声だ。


「それで今回話したいことなんだけど。」


と、ここまで言った時だった。

俺の『試見』が自動で発動した。こうなるようにしたのは俺の、もしくは近しい者の命の危機。

五秒後、俺は焼け死んでいた。

フィエリテがカバーに入る瞬間すらない。

四秒後までは普通にしている。五秒後一瞬で死ぬ。

右に避ける。追ってくる。左も同じく。

ならば前はどうだろう。リシュと名乗った少女が掴み掛ってくる。彼女ごと焼け死ぬ。

かがんでもダメ、飛んでもダメ。後退すると死ぬまでが早くなった。敵は後ろだ。

万事休すか。どうあがいても死ぬ未来以外が試せない。

一番死から遠ざかったのは以外にも後ろに飛ぶことだった。

敵との距離を詰めるはずだが、これなら二秒生きられる。その間にフィエリテだけでもどうにか生かさなければならない。

敵の所在は不明、能力も細かくはわからない。五秒後の喉は声など出せようもない。

勝負はこの五秒間にある。フィエリテを生かせ。逃がせ。仲間と合流させて帰還させろ。


足りない時間の中で俺は叫んだ。


「俺が死ぬ前に逃げろ」


と。

最低の叫びだ。もっと言い方があっただろうになあ、と自分の言葉ながらに思う。

しかし、フィエリテは優秀な人物だった。

言葉の意味を悟り、俺の言葉とほぼ同時に影から飛び出す。

そしてそのまま逃げずに俺を蹴り飛ばした。

俺を焼くはずの業火はフィエリテを包み、一瞬にして死をもたらした。

そして俺は。

俺は。俺は何をしたんだろうか。

少し考えればわかるはずだった。

フィエリテが自分のことを優先しないことなんて。

俺が選んだ道は俺が助かる道だった。

彼女の優しさに付けこんで。それに気づかない様にいかにも自己犠牲のようなセリフを吐いて。

彼女は生かそう、違う。あの状況でフィエリテが出てくることは敵から見れば的が増えるだけ。そのまま俺が射程外に出たとするのなら狙われるのは当然彼女だ。

そしてなぜ、俺は彼女の死を試見できなかった?

出来ないのではない、しなかっただけだと理解する。

自分の命可愛さに自分の命を最優先にした試見をしている。

だからあんな発言ができる。

彼女が死んだその瞬間に次の試見が発動した。

命を賭してつないでもらった命だ、生きなければならない。

だが、自分が生きるためだけに特化している俺の脳は最善にして最低の方法を発案する。

死ぬか、それが嫌ならあの死体を盾にして逃げ延びろ、と。

分かり切っていた。一番の屑は俺じゃないか。

試見なんてする意味もない。

俺の命はそこで途絶えた。



長い旅が待っていると聞いたことがある。

死んだあとは天国か地獄に行くのだと。

審判を受け、その罪状に合わせて刑罰を受けるとか。

俺はきっと最悪の判決だろう。生まれ変われるものか。永劫苦しみ続けろと。

そう考えていながら助かる道を考える自分がいた。

本当にどうしようもなくて、いっそ死んでしまいたいと思ったがすでに死んでいた。

嫌悪感とともに歩く。自分という存在が嫌で嫌で仕方がないのに絶対に離れられない。別々になることなんてできやしない。

顔も見たくないし声も聴きたくない。塵にでもなって消えてしまえ。

でも何でこんなに思考する時間があるんだろうか。

答えは簡単、試見していたのだ。

命に縋りつき、途絶えたように感じても尚。

今、俺は焼かれた直後なんだろう。

死ぬまでの一,二秒を限界まで先延ばしにしている。

なんて無様なんだろう。自分の死くらい、自分で受け入れろ。

最後にやっと、俺は自分の試見を解いた。

炎に包まれた俺の身体は一瞬で命の輝きを失った。

死の直前、誰かが俺に手を振っていた。

誰だったのか。わかりようもない。

そして俺の身体は完全に機能を停止した。




『…ってわけなんだ。内容分かったかな、ルナ?』


声がした。

誰の声だ、決まっている。俺の声だ。

何を話している?今あったことだ。

…何故、俺は生きているんだ?

その疑問は口をついて声になっていた。

目の前に居る少女、ルナは少し残面そうな、でも嬉しそうな顔をしてこちらを向く。

俺の記憶にある、ただただ元気なだけの少女の姿はそこにはなかった。

そして、こちらの顔を覗き込んで


「そっか、気付いたんだね。」


とどこか満足げに、でも少し寂しそうに言った。


「いや、まだ何があったのか完全には分からない…けど、間違いなく俺は死んだんだ。」


そう、死んだのだ。フィエリテに守られながら、その命をつなぐことを諦めた。


「俺みたいな屑は…居ないほうがいい。」


率直な感想だ。なぜ生きているのかは分からないが、今の俺が生きるよりフィエリテに生きていてほしかった。


「そんなことは軽々しく言うもんじゃない。君はいつだって守られているんだから。」


ルナ、なのだろうか。ひどく大人びて感じる。


「じゃあ、順を追って説明するよ。」


「…頼む。」


「まず、ジェイド含めてまだ誰も死んでないよ。そこは安心して。」


ルナの口からはいきなり信じられない言葉が出てきた。


「死んで…ない?」


「うん。でも、いずれジェイドが体験した未来が待ってる。」


ルナは淡々と話す。


「私は元々とても強い魔力の塊。魔法そのもののような存在なの。だからジェイドの魔法の力を借り


て疑似的に未来を経験できるようにした。これはジェイド、君の提案だったんだよ。」

全く記憶にない。本当に俺がそんなことを言ったのだろうか。


「君は今回の戦いが始まる前に近しい人たちを『試見』したんだ。その結果は全員に市が待っているというものだった。君はそれを食い止めるために協力を求めてきたの。」


覚えてないかもしれないけどね、とルナは付け足す。


「…全く、欠片も覚えていないんだ。」


「かも、しれないね。あまりに多くの体験をし過ぎたんだよ。記憶の超過とでも言おうか。」


今は一旦元の世界で記憶を安定させるべきだ、とルナは言う。

俺はその言葉に従うしかなかった。今回の行動が俺の意志によるとしても、当の本人が全く覚えていないのだから。


「っ…いってえ…」


身体を動かそうとするが、鉛のように重かった。

かろうじて目を開けると時間は明け方であることが日の刺し方でわかる。

そして俺は医務室のベットに寝かされていて、俺の右手をリィズが握っていた。

彼女は俺の顔を泣きそうな顔で見降ろし、目が合うや否やぼろぼろと泣き出した。

その声を聴いて部屋に一番に入ってきたのはフィエリテだった。


「こんなに心配させて…!」


彼女も泣きながら言ってくる。状況を察するにどうやら俺はずっと寝たきりになっていたようで、ずっと横に居てくれたのがこの二人…ということだろう。

俺は信頼しているはずの仲間にも事情を説明してなかったってことだ。

事情を話そうとするが、声が出ない。

俺の身体は動かないが、涙と嗚咽は勝手に溢れていた。

本当に、生きていた。ルナのあの言葉は間違いじゃなかったんだ。


「なんでジェイドが泣いてるのですか!どれだけ私たちが心配したと思ってるのです!」


「全くです!リィズ様が一体どれだけ心配したと思ってるんですか!のんきにお前が眠っている間の

仕事を代わりに全てこなした上にお前の看病までやってたんですよ⁉」


「ちょっと待つのです!なんでそこまでリムが知ってるのですか!誰がやったか分からない様にそーっと置いておいたのですよ!」


「従者…いえ。パートナー、として当然です!」


「はいはい、じゃあ今の時刻を観ようね?」


俺からだと時計は見えないが、明け方なのはわかっている。こんなに騒いでたら何事かと思われることだろう。


「むぅ、今は黙るのですが後でリムには個人的に話があるのです。」


「はい!ぜひ話しましょう!こんな寝こけ男ほっといて『二人で』話しましょう!」


「やっぱりジェイドにも同席願いたいのです。」


「じゃあ私も一緒に行こうかなー」


何だこの話の流れは。俺一切喋ってないのにどんどん進んでくぞ。


「あ、ジェイドさん目が覚めたんですね。よかったー」


そう言いながら部屋に入ってくるのはヒラソルさんだ、手にしているのは記憶に残っている、あの紙に見える。


「丁度このタイミングで目が覚める、ってのも変な感じがするんですけどね。何より目が覚めてくれたようで良かったです。」


ヒラソルさんの後ろにはエテルノさんも居た。


「このタイミングって、何かあったのですか?」


リィズが二人に聞く。俺はその内容を知っているがまだ体が思うように動かない。

「グランツとカンビオ、互いのリーダー同士での対談の場を設けたいという旨の文が送られてきた。」

やはり、そういう話になるのか。どうすればいいのか、未だに答えが分からない。

だが、俺の命に代えても仲間は守り切ってみせる。

同じ間違いはもうしない。あんな後悔、二度としてなるものか。


「リーダー同士、ってことはこのねぼすけが行かなきゃいけないんですね。面倒な。」


リムの言葉からすっごいトゲを感じる。当たり前の話ではあるが。

だが俺に嫌味を言うたびにリィズが何かメモってるからそろそろやめたほうが良い気がするぞ…と、心の中で思っとく。


「とにかく、ジェイドの目覚めがタイミングよすぎるのが気持ち悪いけどやってもらうほかにない。この対談、断るわけにはいかないんだ。」


…断れない理由が、書いてあるみたいだ。


「断れない理由って?」


フィエリテが聞くが、エテルノさんは渋い顔をした。


「申し訳ないが、言うわけにはいかないんだ。言えない理由がある。」


「言えない理由?」


この瞬間、俺の頭の中にはこれまで忘れていた…というよりも。

目をそらしていたこれまでの自分の姿が浮かんでいた。

問題は誰かに任せるわけにはいかない。自分でやらないと不測の事態が起こりかねない。

グランツのみならず、諸国との交渉は俺を通して行ってもらう。

情報の流出は絶対にあってはならない。たとえ誰であろうとも、何も語らないでいること。

こんな、独裁者ムーブでよくやってこれたものだ。

間違いなく、エテルノさんはこの俺との約束を守ろうとしてくれているだけだ。

自分勝手な、俺のエゴの塊を聞き入れてくれている。

ここで変えなきゃいけない。

まずはこの俺のこれまでの在り方だ。そこから変えていかなければならない。

きっと俺があの世界で見たのは俺の理想の一端なのだろう。

仕事に追われず、仲間との仲も良く、戦争の只中とは思えないほどに平和な時間。

同時に、どうあがいても避けられないこの対談。

俺はきっと死ぬ。でも、絶対にこの俺以外を助けきる道を探し出してみせる。


「「「「「……………」」」」」


気付くと、全員の視線がこちらに向いていた。

皆怪訝な顔でこちらを見つめている。

そしてリィズが一言。


「全部口に出てるのです。」 


ほう。

今のは。

思考ではなく、発言であったと。

いきなり寝込んでやっと起きたと思ったらその体勢のままこんなことを呟きだしたと。

しかも一人で、いきなり。

今なら水風呂をマグマに変えられそうだ。

勢いのままに布団を被ってしまう。


「ジェイド君どうしたんですかね?」


「分からないけど、何か変わろうと努力してるみたいだよ?」


エテルノ&ヒラソルの大人コンビが何か言ってるけど今はとりあえず恥ずかしいので…


「お先失礼しましゅ…ご心配をおかけしました…」


消え入りそうな声でそう残して部屋を出ようとするが、目の前にはフィエリテに背中を押されて俺の前まで移動させられたリィズが居た。


「ほら、言いたいことあるんでしょ?言わなきゃ。」


というフィエリテの言葉で決心し、俺に向き直り、こう言った。


「話があるからちょっと来るのです。拒否権は一切ないのですよ。あと今ついて来ようとしているリムはもし来たら二度と口きかないのです。」


ちょっと借りるのです、と言うが早いかリィズは俺の腕をつかんで走り出した。

病み上がり…というかうまく動かなかった体はいつの間にかもうすっかり元のコンディションに戻っていた。

そして彼女の私室に連れ込まれ、鍵もかけられる。

彼女の第一声は地面を指さしながらの


「正座」 


の一言だった。

あまりの圧にそうする以外の選択肢が見当たらない。


「で、さっきのあの発言はどういう意味なのですか?」


彼女も俺の前に正座して話す。


「俺は、信じられないかもしれないけど未来を体験してきたんだ。」


「信じるのです。安心して話すのですよ。」


「それで、俺の体験した未来は今とは違う状況からスタートしてて…」


俺はあの世界で体験した事、見てきたこと、覚えている事。

そして、自分の命可愛さに自分だけが生き残る選択を取ったことを話した。

その結果、どうなったのかも。

その間、彼女は一つも疑わず、未来を体験してきたという俺の話を最後まで聞いてくれた。

そして、最後まで聞いた後にこう言った。


「その未来を回避するために、私たちを生き残らせたい…そういうことなのですか?」


どう、なのだろうか。

俺は確かにそう思っていた。でも、いざ言葉にされると

『未来を変えるための手段として仲間の生存を利用する』

という風に聞こえなくもない。第一、俺は全員に生き残ってもらうために未来を変えたいんだ。

だからこの質問の答えは


「目的と手段を逆にしたものが俺の望みだ」 


というのが正しいと思う。

その答えを聞いてリィズはその藍色の瞳に涙をためていた。


「違うのです!少しはこっちの気にもなってほしいのですよ!」


そのまま彼女は続ける。


「自分はどうあっても生き残りたい、から自分はどうなってもいいから他全員助けたい。だなんてあまりにも極端すぎなのです!皆で協力して、傷ついても補い合って、全員で最後の成果をつかみ取るという選択肢が何で出てこないのですか!ジェイドは皆で生き残る道をいつも探しているのです。それは私も、フィエリテも、リムだって知ってるのです。いつもぶっきらぼうな態度だったり一人でどっか行ってたりする時もあってその時は本当に心配になるのですが、全部ジェイドの考えがあったからやったことだって皆わかってるのですよ。」


俺は、一人で解決しようとしていたんだろうか。

相手は一国。到底どうにかできるとは思えない。

だが確かに俺は自分を捨てれば他の皆を生き残らせることができると思っていた。

自分の考えの浅さにいまさら気付く。

そしてリィズは


「ジェイドはフィエリテに命がけで助けられて、その時に助かったことを喜んだのですか?」


と、問いかけてくる。


「喜ぶことなんて、できなかった。俺の行動でフィエリテを殺してしまった罪悪感と自己嫌悪が一番に来ていたと思う。」


「それは私たちにも言えるのですよ。仮に、万が一、ジェイドが身を賭して私たちを救ってくれて。それを誰も止めずに、最終的に成功して。それで自分の命があることを喜ぶ人は少なくともここには居ないのです。」


確かにそうだ、間違いなくそうだと言える。

事実、エテルノさんとヒラソルさんは父の命と引き換えに生き残り、俺を育ててくれている。

その長い時間の中で一瞬たりとも彼らが生を軽んじたことは無い。

一瞬ごとを噛みしめるように生きているのを、俺は誰より近くで一番長く見てきているはずなのに。

そう考えているときに


「それに、自分が恋している人の命で自分が救われたい人なんて、この世に居ないのですよ」


と。

リィズはそう付け足した。


「でも、自分のせいだと思ってもそこで諦めないで次の瞬間にはどうやって覆すかを考えるのはやっぱりジェイドの凄いところなのです。そういうところは絶対になくしたりしたらダメなのですよ。」


最後に、とリィズは前置きをしてからまた話し始める。


「私のこの魔法、最初にジェイドが観た時の事覚えてるのですか?」


まだ出会って間もないころ。

そう、彼女との出会いは…エテルノさんの家の使用人の娘で…?

いや違うだろ。俺が産まれて数年でオラリオンはあの事件に巻き込まれてるし、何より俺はオラリオンに住んでない。出会う機会なんてあるはずがないんだ。


「違う、リィズ。リィズはエテルノさんの使用人の娘じゃない。」


「思い出してくれたのですね。良かったのです。さっき使用人の娘とか言われたときはどうしようかと思ったのですよ。」


「そう、俺が初めて会ったのはリィズが引き取られてきたときだ。」


「そうなのです。私は家を追い出されて、路頭に迷っていたところをエテルノさんとジェイドに救ってもらったのですよ。」


「そうだ。それで、最初にリィズは俺たちに魔法を見せたんだ。『私はこんな魔法しか使えません。何の役にも立たないのにそれでも良いんですか』って。」


「はいです。それにジェイドは『誰にも見つからないくらい透明になれるなんてかっこいい。もし透明になったまま誰も見つけられなかったら俺が見つけてみたい』って言ったのですよ。」


「俺、そんな風に言ってたっけ…そこまで覚えてなかった。でも、今は何があっても見つける。だって、見えてないと守れないもんな。」


「きっとそう言うと思っていたのです。なので私の『薄化』の魔法のとっておきの能力の一つを伝えておくのです。」


そう言って、彼女は俺にそっとキスをした。


「はい、これでとっておきの能力が見せられるのですよ。」


「こ、これで何が変わるんだ…?」


「実は今、『薄化』してるのですよ。」


「でも普通に見える…そういう能力なのか?」


「そうなのです。自分から契約した相手に限り、『薄化』を無効化することができるというものなのです。ちなみに契約の方法は別に口頭でも書面でもなんでもいいのですが、最初にやった方法が個人

ごとに固定されるようになっているのです。」


「ふむ。つまり俺はキスで契約されたから…」


「一回契約を切ってもう一度繋げるにはもう一度…その…しないといけないのです。それと、契約を切るのも繋げるのもこちらからしか出来ないのです。」


「言いたいことは言ったのでもう寝るのです。おやすみなのですよ。」


と言いながら彼女の姿が薄く、見えなくなっていく。


「契約もう切るのか…でもありがとう。やるべきことはわかった。」


部屋を出ようとすると鍵が勝手に開く。

目を凝らすとそこにリィズが居るのがぼんやり見えた。

ドアを開けて外に出た瞬間に俺は走る。

どこにって、自分の部屋にだ。

見えてしまったから。

真正面から走ってくるリムが。

今あれと鉢合わせたら間違いなく殺されかねない。

あの時は平静を保っていたが、そう。

どさくさに紛れて告白のような言葉を受け、そのままキスまでしてしまったのだ。

心臓の音が凄いがそれは恋愛感情なのかはたまた恐怖心か。

ともあれその日はさっさと部屋に逃げ込んで昼を待った。

ずっと『いるんでしょう?ゆっくり話を聞かせてくださいよぉ…』という声がドアの向こうから聞こえてくるのはすごく怖かったが、今の俺の思考キャパシティーはそっちに向くほどの余裕があるはずがなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ