視える、出会い。
いつぶりだろうか、他人と話すのは。きちんと喋れているだろうか
「そりゃ、見えるに決まってんじゃん。」
当然、と言いたげな顔でこちらを見てくる。
「なんで?なんで私が見えたの?」
周りを見渡してから、ひっそりと彼は話す。
「うーんと、さ。俺の眼、魔法が使えるんだ。ちょっと先にあるかもしれない未来を見る魔法。」
「うん。」
こうして自分の言葉に返事をしてくれる、会話をしてくれる。それだけでたまらなく嬉しくて、ずっと我慢していた涙腺が決壊しそうだった。
「いつもは使っちゃダメ、って言われてるんだけど、どうしてもこの辺りが気になってさ。エテルノさんに許可貰って、一回だけ使ってみたの。あ、エテルノってのはあっちに居る大人の人ね。」
「うん、うん。」
首を縦に振りながら相槌をうつ。普通に話してくれているだけなのに、気を緩めれば泣いてしまいそうだ。
「で、見てみたらここで俺が君と話してる未来が見えたんだ。で、もう一回ここを見てみたら君が本当に居たってワケ。」
『未来が見える魔法』なんてとんでもないが、それよりも自分に気付いてくれる人が居たことが嬉しくて仕方なかった。
「でも、私の事は数日で忘れられちゃうんだ。見つけてくれて嬉しいけど、どうしようもないの。」
彼はきっと底なしに優しく育っている。だから、自分のような誰かもわからない、居るかも分からない人間のためにこうして自分で行動できるんだ。
「私と話していても、あなたの空白の時間が増えちゃうだけ。あっちのエテルノさんも心配しちゃうから、もう行ったほうが良いよ?」
私のせいで、彼を邪魔してはいけない。見つけてくれたのは嬉しいけど、これは私がなんとかしなきゃいけない問題なんだ。
「そっか…じゃあ、ちょっと待ってて!」
エテルノというらしい男の元に彼は駆けていく。そして、何かを話してこちらに戻って来た。
「一緒に来ていいって!」
その一言だけ言って、私の腕を引く。
「え?」
なんの反論も出来ない。いきなりすぎる。
それでも、
「でも、私他の人には見えないんだよ?」
と何とか言葉を返す。
それに対して答えたのは、彼ではなく、エテルノだった。
「それなんですが、もう見えてるんです。あなたがジェイド様と一緒にお話しされ始めた時から。」
そんな。
これまでどうやってもどうにもならなかったのに。
姿見を見れば、そこには確かに私の姿があった。
「でも、いつまたさっきみたいになるかわからないし!」
いきなりすぎてわけがわからない。思わず大きな声を出してしまった。
「そうなったら、また俺が見つけてやる!誰にも見つからないなんてもっとほんと、凄い魔法じゃん!」
自信にあふれた声でそう返してきたのはジェイド、と呼ばれた少年だった。
「でも、そんなの出来る保証もないし、いつそうなるかも…」
「出来る!だって今日ここで初めて会うのに見つけられたんだし。もう一緒に来れば仲間じゃん!見当たらない仲間も見つけられない王様なんていないだろ?」
なんて意味不明な理屈だろう。でも、不思議とそうできそうな感覚が、彼にはあった。
それに、こんな言葉が来るとは思っていなかった。
「わかった。じゃあ、次こうなったらすぐ見つけてね?」
大人ぶって上から答えてしまったが、もう泣きそうだ。自分を見ようとしてくれる、見つけてくれる人がいることがこんなにうれしいなんて。
「話は、決まったみたいですね。私はエテルノ。彼、ジェイドの…親代わり、みたいなものです。」
「あ、はい。よろしくお願いします、です。」
大人と話すのなんてそれこそ何年ぶりなんだ。緊張で言葉が詰まる。
「そう緊張しないで大丈夫。でもまずは身なりを何とかしないといけないですね。すぐ用意します。」
……なんて、こんなこともあったな、なんて。
でもやっぱり、この街は異常だ。エリンたちのように戦争の只中で生活しているわけじゃ無い。彼らは普通の国民に他ならない。
「少し、調べてみるのです。」
他の人たちを危険に晒すことは、これ以上やりたくない。
一人で、この違和感を探ることを私は心に決めた。
三話も使うなー!って声と、もっと和数使ってでもちゃんと書けダボがー!
って声が起こりそうな感じですが。
とにかく、これにて過去編は幕です。
また折を見てちょくちょく挟むかもしれないし、挟まないかもしれないし…
次回からは物語の中でも日をまたいで、話が進んでいきますよー!
…多分(保険)




