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負けそうな日々

宿代もない、知り合いは一人もいない、その日ごとのご飯にもなかなかありつけない。

無い尽くしはいきなり行き詰ってしまっていた。

そんな時だった。

何国目だったろう。彼と出会ったのは。


「俺はエリン。お前は誰だ?」


ある国の、戦争に巻き込まれて行くあてのない子供たちの集まり。私はふと気になって見に行っていたのだ。

その集団のリーダーをしていた、エリンに出会った。


「私は…名前もないし、行くあてもない。なんならお金もご飯もない、そんなか弱い女の子ってとこかな。」


「そっか!じゃあこれからは大丈夫だな!俺達で助け合えばどうとでもなる!」


相談も合意も何もなく、私はその集団での生活に加わることになった。

ずっと歩き通しで疲れてたし、落ち着いていられる場所が欲しかったんだと思う。

実際、あの頃の思い出はなかなか多い。

近くの川から水を引いて野菜を育てようとしてみたり、狩りに行って皆のご飯を集めたり。

時にはここの子供たちを親として引き取ってくれる人を探したりもした。

時には、戦争の跡地か使えそうなものを取ってきたり。銃を修理して狩りに利用したりもしていた。

長い間使いっぱなしだったせいか、魔法の制御も上手くいくようになって、いつぞやの孤児院のようなことも起こらなかったし、それなりに幸せだった…と思う。

でも、そういうものは長くは続かないってのが常で。


「私が引き取りに来たのは君だ、エリン君。」


いつかこんな日が来るだろうと皆分かっていた。

エリンを、引き取りにくる大人が来た。こうなった時には絶対に引き留めない、快く送り出そう、そう皆で話し合って決めていた。

エリンは当然反対した。だが、その講義は


『黙ってついてこい、それで十分だ』


という、圧のある一言に全て押しつぶされた。

そこから先は酷いものだった。

これまでまとまって動いていた子供たちは、風に吹かれたように散り散りにどこかへ行ってしまう。

口を揃えて言う言葉は『親が見つかったんだ。』のみ。

おかしい、そんなはずはない。こんなに都合よく見つかり続けるものか。

彼らの後をつけると、絶対に大きな屋敷にたどり着いた。エリンが引き取られた、あの家に。

入り口の門から本館までは距離もあり、忍び込むだけの隙間もない。

なぜか誰も出入りしないその屋敷に忍び込むことは、誰の目に映ることが無くてもできなかった。

もう、残っていたのは自分だけだった。


「やっぱり、私はいらない子なのかなぁ…?」


自分の生まれた家でもそう。

孤児院でも、これまでたどってきたどんな国でも。

魔法をコントロールしても、忘れられなくても結局は一人になってしまう。

自分の存在は、本当にここにあるんだろうか。

覗き込んだ姿見には、自分の姿は映っていなかった。

視線を外して自分直接見れば、確かにここに私の身体はある。

あるのに、映らない。また、私の魔法はこうやって居場所を奪っていくのか。


「あーあ、つまらない人生だったなぁ」


もっとこう、友達作って、いろんなことを経験して、いつかは恋人なんかも作ったりできるのかもしれない、なんてこの場所では少しだけ夢見てしまった。


「結局これだもんなぁ」


もう一度見てみるけど、やっぱり私の姿は映らない。

もう誰にも見てもらえないんだな。本当に、誰にも。

そう自覚して、これまで耐え続けた涙がどっと溢れそうになる。

でも、きっと泣いたらそこで終わりだ。私の心がそこで負けてしまう。

落とした涙で出来たシミなら通りがかった人とかが分かってくれるかな。

どこかにメッセージでも書いてみようかな。

案は浮かぶ。実行する勇気がない。

これでダメだったら、次の行動に私は移れるんだろうか。次こそ本当に、自分でも自分が視えなくなるんじゃないか。

そうなったらもう、死んでも誰にも見えないんじゃないか。

そう考えるだけで、恐ろしさで吐きそうになる。

彼らは、あの屋敷に行くときに何も持っていかなかった。

食料も、水もある。まだ、耐えられる。


「どうにかしなきゃ。まだ負けてない、負けてないぞ。」


頬をぱん、と叩いて自分を鼓舞する。やれることはきっとある。見えるように、きっとなってやる。



そう、意気込んで始めたいろんな方法は、ことごとく玉砕していた。

街中で叫んでも。何かメッセージを残しても。肩をゆすっても、叩いても、いっそ殴っても。


「なんで殴られたことにも気づかないんだ…どうなってるんだ」


疲れ果てて横になる。もういっそやめてしまおうかなんて何度も考えた。


「まだ、まだ何かできるはず。」


次の手を考えながら就寝する。次の日も、何も起こらない。その繰り返し。

その日々の中で、やっと。


「君、大丈夫?」


やっと、声をかけてくれる人が来た。

まだ大きくもない、男の子。後ろに見えるのは、保護者の人かな。


「君、私が、見えるの?」


震える声で、私はいつぶりかの『返事』をした。

もうちょっとだけ続くんじゃ!

って感じで次で過去終わる…はずです!

本編が暗い分こっちは明るく書かないと釣り合いが取れなくなってしまう…

リィズの過去がいろんな辛さのオンパレードになってしまっていてもう、なんか…ごめんね、リィズ。

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