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霧の中の刺客

その二人が話し始めた様子を確認して、ホワイトは街の中を音もたてずに駆け回っていた。

彼女たちには自分が見えていない。『霧消』はこういう時に本当に便利だな、と思う。

まだまだ自分の思う通りに制御できていないのが難点ではあるが。


「さて、ヴェールちゃんの仰せの通りに、っとね。」


以前の戦闘でも使った札。あれはヴェールから貰った武器である。

彼女の魔法の一部を紙を媒体として貸し出している形だ。威力自体の減衰はもちろん、彼女が貸し出している魔法を彼女自身がその間使えなくなるという制約はあるが。


「まあ、これはできるだけ使わないほうが良いかな。」


ヴェールちゃんの魔法に頼るのは嫌だなー、とも思うし、派手な戦闘は今回は避けなければならない。

今回はこっち側の担当になった彼、ヒラソルがきちんと心境の整理をできるように、とのことだったからである。大きな戦闘音は彼らの会話の邪魔になるだろう。


「でもなー、数が多いんだよな…」


気付いているだけでも十人はいる。決して弱くはないだろうが、自分であればどうということはないと思えるだけの自信はあった。

そして、ヒラソル達やここの敵まで全員にかかるように『霧消』を無理やり広げているので、彼らには一切お互いの、そして自分の存在が感知されていないはずだ。


「ちゃんと制御できているうちに終わらせなきゃ。」


そう呟いて、歩く。誰に聞こえることもないが。

目の前に見える黒装束の男たちの集団に向かって、真正面から歩いていく。陣形の確認、武器の確認等をしていざ前進、といった風に見えるが、そんなものは事前に済ませておかなきゃ。


「素人さんなのかな?」


もう、普通に聞こえてしまうような距離なのだが、濃い霧の中に隠れているように僕の姿は捉えられることが無く、分厚い壁に阻まれたように声が通ることは無い。

そのまま、刃渡り数センチほどの小刀で先頭の男の首を落とす。


「はっ………?」


何が起こったか分からない、といった風な空気の漏れる音とともに男の頭部は地に落ちる。

周りの集団も散開して警戒するが、誰一人として僕に気付かない。そう言えば、ギエルとの戦いのときにはこういう戦い方はしなかったな、やってたらもっと楽に勝ててたかなぁ、とか考えながら近場に居たもう一人の首を落とした。

そのまま三人、四人、五人。

統率を失って逃げ惑う男たちは半狂乱になりながら国を出ようとする。流石に逃がしたら怒られそうなので少し走って、一番出口に近かった男を殺した。

こんなに街を血まみれにする気はなかったんだけどな。あとで掃除しとかないと。

外に出るのもダメ、中に侵入もできない。そうなればもう彼らは自分たちを殺しに来ている『誰か』を殺すしかないわけで。まあその『誰か』って俺なんだけど。

闇雲に振ったナイフやら投擲物やらが当たるほど僕も弱くはないし、サクッと片付けて終わり。

最後の一人は生かして捕虜にしなきゃいけないんだった。

逃げられない様に後ろから縛り上げて、念のため足の健を切っておく。

いきなり縛り上げられて、その上足の健が切られてしまうのはどんな気分なんだろうか。


「やられた側しかわかんないよなぁ…」


とかぼやいていると、縛られた男が声を上げる。


「なんなんだお前は!どこから、いつの間にそこに居たんだ⁉」


どうやら『霧消』の効果が知らぬ間に切れていたようで。ああ、やっぱりこの魔法の制御は難しいなあと口には出さずにそっと思う。


「騒がないの。他の人に聞こえちゃうでしょ?」


意識があるのならさっさと自害でもすれば情報は流れないのに。声を上げるより先にやることがあるよね、と続けながら口に布を詰める。


「はい終わり。じゃあ、行こうか。」


縛った紐を引っ張って、捕虜になりながらもごもご言ってる男を引きずりながらホワイトはエテルノ達とは別の方向に向かって行った。


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