9 もうひと頑張りね
高いところというと、丘かなあ、とエカリーの案内のもと、一行はさらに森に入っていく。道らしい道があるわけではなく、いかにも獣道といった風情だが、エカリーは難なく歩を進めていく。緩やかであるが上り路になっているため、ハルカは早々に息が上がってしまった。やはり慣れない道というのは余計な体力を消耗するようだ。
もうちょっとだよ、と全く息を乱さないエカリーに頷きを送りつつ、杖に縋りつくようによたよたと歩く。
「高いところに行って、どうするの? エカリーちゃんによると、高いと言っても全域を見渡せるようなところじゃないって話だけど」
黒猫も黒猫で、悪路などものともせず余裕の様子だ。
「高さは、ある程度あれば、どうとでもなるわ。とりあえず、周囲を見る必要があるの」
「そう? 周囲ね……ハルカが飛べれば話は早いのに」
黒猫の言葉に軽く睨みを投げるが、追及はしない。否定できないので。
「さっきの……花畑? だった場所。あそこは何か違ったの?」
「違う、わけじゃ、ないけど。でも、末端、だと思う。……だから、……ハァ……中心を、探すの」
中心ねえ……と黒猫は首を傾げる。ハルカは、一体どれくらいの広さを想定しているのだろう。さっきの花畑……枯草畑か? でも結構広かったと思うのだが。
「着いたよー!」
エカリーが振り返って、木立の向こうから手を振った。気が付けば結構先を行ってしまっていて、多少見上げるくらいの高低差がついてしまっている。ハルカはため息をついた。
「……もうひと頑張りね」
自分に言い聞かせるように言って、ハルカは重い足を一歩一歩上げていく。




