56回転目
週末に面接やらなんやらで気力を消耗してました。
そして今日は寒波で大雪。
読者の方は体調管理にお気をつけ下さい。
さて、草むらに身を潜めてバンパイアが去るのを待っているのだが一つ心配している事がある。
それは生き残った方が必要素材である睾丸を食べてしまわないかという事だ。
昔は動物のナニは薬になるって信じられてたからな、オットセイの奴とか割と有名だったし。
そんな事を思案しているとバンパイアの食事が終わったのかゆっくり立ち上がりお腹を擦ってる……良かった、下半身はまるまる残ってそうだ。
目的のモノが残ってる、そう思って油断したのが間違いだった。
深呼吸を一度して再び前を向いた時、足に体重が掛かり足元の小さな石を踏み砕いた。小さな音だが前方のバンパイアはそれをしっかり聞き取ったらしい。
音がなった途端に顔を此方へ向ける。
その顔に知性は無く、ただただ獲物を狙う動物の様に本能だけが残った目をしていた。
近づいてくるソレを見て俺は逃げ出した。
(ヤバイヤバイ、アレはぜったいやばい!)
怪我をするとかそういったモノじゃなく『ヤバイ』と感じた。直感を信じて逃げ出してしまったが例のタマを諦めた訳じゃない。
恐らく俺を追いかけてきているバンパイアを一度振り切ってからタマを回収して逃げる!
等と考えていたが……何で進行方向にデュラハンが居るんだよ!しかもコッチに気が付いてるし!!
(不本意だけどヤルしかな……い……? あれ?)
腰につけてるはずのホルスターが無い、アレにナイフを突っ込んで持ち歩いてたんだけど?
…………思い出した。メイドさんに渡した布袋に入れたんだったー!
(町で武器携帯するなって言われたばっかりに!!くっそ!ここで死んだらあの衛兵の奴の枕元に立ってやる!!マズイ、非常ーにマズイ!!)
何か!何かないか?!武器武器武器!!
周りを見渡すもソコは薄暗いただの森。武器になりそうな物は無く前後からは敵が近づく音が聞こえてくる。
そして唐突に思い出すのはクモの下敷きになった時の事、あの時も武器が無くどうしようも無い状態だったのに何時の間にか掌大の銅の歯車を持っていた。
二匹の魔物から逃げつつあの時の事を思い出す。
どうやって歯車は出てきた?
一個目は気が付けば握っていた、二個目は大グモと対峙している時に手の平から生えてきた。
この時共通している事は敵が居た事。ピンチだった事。
だったら今のこの状況も当てはまるはず。
そう思い歯車よ出て来いと思っていると背中に衝撃を受ける。
「うべっ」
目前にあった木に体を撃ちつけ変な声が漏れる。
後ろを振り返るとバンパイアがにやにやしながらこちらを見下し、バンパイアの後方に頭を片手に構えたデュラハンが歩いてくる。
お前等争ったりしねーのかよと突っ込みたい。出来れば三つ巴になって逃げる機会が訪れてくれないだろうか。




