54回転目
上の階でドタバタやってたのが収まり暫くすると扉が開いた。そこに立ってたのはさっきのメイドの女の子と、背が高い……2メートル超えてるんじゃないの? 本気で背が高い男だった。
「やー、どうもどうもサボさんの紹介ですって? いらっしゃい」
「宜しくお願いします」
「ああ、緊張しないで良いよ。んで何でこうなったの?」
男性にこれまでの経緯を話すと待つように言われ男性は部屋を出て行った。何でも2階にデバイスを置いてきたらしい。
取りあえず今の内にサボさんに渡された布袋をメイドの子に渡しておくか。
「あの……コレをサボさんから預かったんだけど」
「あらら、ありがとうございます。えーっと、ああ注文してた奴も入ってますね」
「それにしても……背の大きな人ですね」
メイドの子は隅に置かれたテーブルに布袋を置いてから此方へ向き直る。
「あー、家の御主人は背が高いので知られてますからね。おかげで家も大きめでこのサイズです」
「それはまた……大変ですね、掃除とか」
「確かに大変ですけどね、今じゃこの町だとデバイスも普及してきたお陰で大分マシなんですけどね。こんな感じで」
そう言ってメイドさんは左手の腕輪を弄ると床のチリや埃がメイドさんの足先辺りに独りでに集まっていく。
俺はまじまじとソレを見ながらコレを回転で再現出来ないかな、なんて思案してると大男の方が戻って来た。
「お待たせお待たせ。んじゃーちゃっちゃと何の毒か解析してみようねー」
男が手元に持ったデバイス……銃身の無いグリップの様な奴を弄ると、ベットに寝ているキャシーの周りにPCのブラウザに似たウィンドウが幾つも展開していく。
男はソレ等を覗きながら手元のデバイスを操作しウィンドウをあっちこっちと移動させて情報を整理、毒の症状を確認しているようだ。
10分もしない内に男は俺の目の前にウィンドウを展開する。
「そこのお姉さんが受けた毒ってコイツのじゃなーい?」
ソコに表示されていたのは大クモの画像だった。ただ……
「こいつで違い無いと思います。色はもうちょっと派手で、大きさは全然違うけど」
画像で表示されてるクモの大きさはどうやら人の掌に乗る程度で色の差異はそこまでじゃない。
男は興味深そうな顔で俺の前にあったウィンドウを手元に引き寄せて思案する。
「ふーむ、こいつは大体180年位前に発見された固体で発見当初は珍しいとされてたんだ。何せ化合物を食べるクモって有名になったからね」
「化合物?」
「そうそう、化学繊維って言えば分かるかな?早い話が人間の服をメインにしてたのさ」
何だそれ、エロゲか。
「ただしこの話には続きがあってね。ある企業がこのクモを育成、品種改良してゴミ処理に使おうと思ったんだけど企業自体が経営破綻で計画はご破算。それで終わってたら良かったんだけど当時実験に使われてたクモが逃げ出し野生化。野に放たれたクモは逞しく生き巨大化。どこでどうなったか知らないけど化合物だけじゃ生き延びれなかったんだろうねぇ、何時の間にか家畜や人、所謂肉食に成り果て巨大化を果たし、現在じゃ3メートルを超える固体も珍しくも無い非常に厄介な害虫が出来上がったって訳」




