48回転目
行き成り目の前に自分の倍はある大きさのクモが降りてきた事で少なからず動揺した俺だったが、キャシーの反応は早かった。
肩掛けのベルトで背中に背負っていたショットガンを直ぐ様持ち、狙いをつける等せずに方向だけ合わせたら発射。
クモが降りてきて1秒も経ってない時点で攻撃を開始していた。
クモ達もコレは予想していなかったのか、威嚇行動をしている面に散弾を叩き込まれる形となった。
その銃声で我に返り、俺も攻勢に出る。
ずっと回転させっぱなしだったナイフ2本を近場のクモへ射出。
縦回転のナイフはクモの顔に当たるがその硬い皮膚に阻まれて弾かれる。その一方で横回転で射出したナイフは上手い事開いた口に入り込み、中身を貫く様に刺さり一頻り暴れると絶命した様子。
これ幸いと残りのナイフ5本も同様に横回転させて空中へ待機、射出のタイミングを計っているが……キャシーの処理速度がめっちゃ早い。
俺が1匹倒し、ナイフを浮かべて牽制してる間に既に3匹倒して、残り2体。
このまま行けると思っていたら急に影が出来、俺が上を確認するとそこに見えたのはクモのドアップだった。
思わずナイフを全て叩き込み貫き殺す。が、これがいけなかった。
降って来たクモを避けきれず下敷きにされてしまう、そして俺の牽制が無くなった所為でキャシーに対して2匹のクモが同時に襲い掛かっていく。
この時、俺は過去のどんな時よりも集中した。
昔聞きかじったスポーツ選手が極限まで集中する事で一瞬が非常に長く感じられるというアレ。
音は遠く、まるで冬の雪が降る田舎道に一人ぽつんと居る時の様に。
やけに自分の鼓動が五月蝿く感じられた。
今の自分はクモが体の上に圧し掛かっていてキャシーに背後から飛び掛るクモをどうにかする事が出来ない。
ゆっくりと、だが確実にその牙がキャシーに対して伸びていく様を見ながら自分の鼓動が早まるのを感じる。
まずい、まずい、非常にまずい。
その思いばかりが先行して打開策が浮かばない。
やがてクモの牙がキャシーに届き組み敷かれる。
それを見て、俺は何よりも怒りを覚え一つの思考に囚われた。
『ソレ』は俺のだ。
事が終わってから思い返してみれば何というか黒歴史的なものだったがその時はソレが必要だったのかもしれない。
この時から俺は自分の異能『モノを回転させる』という事を本当の意味で使い始める事になる。




