49回転目
「このクソグモがぁっ!!!!!」
感情に任せて叫び続ける。
重いクモの死骸に怒りを覚えながら動かせない自分の体にそれ以上の怒りを感じ、ソレを口からひねり出すようにクモを罵る。
少しでもキャシーに近づこうと、地面に爪を立ててガリガリと引っかきながらクモと地面の間から逃れようともがく。
その間もあのクソグモは着々とキャシーに毒をぶち込んでやがる。
それが気に食わない。
俺の目の前で、俺のに手を出した。
冷静に考えればなんとも自己中心的な考えだが怒りでぷっつんしている俺はそんな事を思う事なく、ただただ怒りのボルテージが上がっていく。
俺がもがいている間にクモの奴は毒を流し終えたのか、8本の足の内の前足2本でキャシーを弄り始める。
キャシーはクモに抵抗が出来ないのか、それとも意識が無いのか。床に転がりぐったりと身体を投げ出していて俺の場所からは顔が見えない。
クモ野郎は以外というか前足2本が人間の手に当たる場所なのだろう、四本の爪をつかいキャシーの上着を背中側から切り裂いて衣類を剥いで行く。
キャシーの背中が顕わになりクモがその背中に追い討ちの牙を突き立てようとした所で俺の怒りが許容値を超えた。
何を叫んだのか自分でも覚えていないが何かを叫んでいたのはボンヤリと覚えている。
そして何時の間にか手の中に有った物に回転をかけてクモ相手に投げつけた。
俺の回転の力ってのは割と便利なモノだ。
モノを浮かせられる、重たい物でも持ち運べる、少し離れてる……そう、3メートル範囲内の物位なら手元に引き寄せる事も出来る。
逆に出来ない事は一度手元で回転させないと『射出』する事が出来ない事、それに一度放つと多少の軌道修正は出来るが、大幅に道を変える事が出来ない事。
の、はずだった。
俺が投げたモノは歯車だった。
それも綺麗な色じゃなく、くすんだ赤茶色……多分『銅の歯車』
歯車は俺の意思に従う様にクモの8本ある足の内、俺から見て右側の4本を斬り飛ばす。
そして本来ならそのまま直進する所を急旋回してもう片方の足も全て斬り飛ばす。
纏わり付くような軌道を描きながら歯車はクモを傷付けていく。
傷ついたクモは牙を噛みあわせ、不快な音を鳴らす。
どの位歯車は飛び回ったのか……怒りで短い時間が非常に長く感じられた俺だったが、クモが絶命した事により落ち着きが戻ってくる。
あの歯車が何だったか気にもなったがそれ以上にキャシーが心配で、クモから這い出してキャシーの元へ駆け寄る。
噛まれた場所を見ると紫色に変色し腫れてるのが分かる。
多分毒だろうと、一先ず其処に口を付けて吸いだせるか試みるが……やはり吸い出せそうに無い。
直ぐに此処を出よう、そしてキャシーと乗ってきたバイクを飛ばしてホープで医者に見せようと背負おうとした所でソイツが来た。




