12回転目
翌日、約1ヶ月の仮拠点だった亀に別れを告げて陸地に降り立った。
で、降り立ったは良いがどっちに行けばいいか分からない。
まあ、何だ。
当面の目標ははっきりしてる。
それはずばり………………………。
服を手に入れること!!!!!!!
……うん、俺ってば今服着てません。
全裸です。マッパ。裸族。
原始人以下って奴です。
なので一先ず服が欲しい!
人にも会いたい!
情報が欲しい!
でもそれ以上に服下さい!!!!
いくらなんでも全裸で初対面の人と会話っつーのは恥ずかしい。
後、俺、今人外。
色々とハードル高過ぎるわ!!
なので先ずは人の居る所を探しつつ服探し!
の、つもりなんだけどよぉ……。
現在全力疾走中です。何故かって?
後ろから熊が追いかけて来てるんだよぉ!!!!
「だー!来んな!来んな!来んな!!」
目を血走らせた熊が追って来るぅ!!
森を歩いてたらアスファルトが見えたもんだからコレ幸いと道沿いに歩いてたのが仇になった!!
ひぃぃ!!追いつかれるー!
俺みてーな鱗付きの奴なんざ食っても旨くねぇぞー!
あ!足攣りそう!!ふくらはぎピクピクしてる!!
あ”~~~~!!!!
ガチン!!
「へっ??」
足元から聞こえた変な音に視点を下にやったら、足からタイヤ生えてました。
「何か知らんけど回転じゃー!回れーーーー!!」
タイヤを回すつもりで足に力を込めると、何か身体の中にあるナニカが回転し始めた、と思えば急にタイヤが回転を始めアスファルトを物凄い勢いで走り始める。
「のわ~~~っ!!」
みるみる内に熊を引き離し、逃げ切る事に成功した。
精神的にも肉体的にも疲れて息を荒げる。
ガードレールにもたれかかって息を整えていると、足から生えていたタイヤがガチャガチャと音を立てて足に収まっていく。
本気で俺の身体はどうなったんだ。