接敵
今日も今日とて、私たちは任務をしていた。そうこれは紅月生としてではなく、ブライトとして。
私とフランそして最弱の彼の三人でシャドーの拠点を制圧していた。ここはそこまで大きくないので、正直に言ってしまえば余裕だった。まあでも相手は全員能力者でランクで言えばC程度はある。それでもランクB以上でもない限りは大丈夫なのだ。
そうして今も能力者たちを蹴散らしているところだ。
「まあこれでここの拠点も終わりかしらね」
その戦闘が終わり、土煙が舞う中。
「…..っ!?」
その煙の中から異質な雰囲気を感じ取った私たちは
「フラン!」
「わかってるよお姉様!それよりあいつを安全なところに移動させないと!!」
「じゃあ俺は遠くで眺めるわー」
と呑気にいうそいつに
「さっさと隠れてなさい!!」
そしてそいつは姿を現し、その口を開いた。
「ここ最近各地の拠点が襲撃にあっているって報告があったんだが、お前たちか」
またすぐさま口角をあげて、
「一度手合わせしてもらおうか。三下」
「ねぇお姉様、こいつムカつくから粉々にして良い?」
「待ちなさいフラン、明らかに他の奴らとはわけが違うオーラよ。まずはじっくり相手の能力を…..」
そこまで言いかけて
「お姉様!!」
「え?」
一瞬の瞬きのうち私の視界から対象は消えていて、
「接敵して呑気に作戦会議すんなよ、そんなんだから…..死ぬんだよ」
気づけばそのシャドーは私の間合いの範囲にいて、私はおもわっず目を瞑った。
「バァン」
そんな音と相反して私の体にはなんの異常もなかった。
恐る恐る目を開けると、そこには…..
「…..フラン?」
私の最愛の妹が倒れていた。
「腹部から血が…..どうして私を庇ったのよ!」
「お姉様が大好きだから…..好きな人には傷ついてほしくないから」
振り絞るようにそう言って、その体から力が抜けていった。
…目を開けてよ!!なんでどうして…
「あーあ。標的は外れたけど、結果オーライかな」
……..こいつだけは
「絶対殺す」
「やってみろよ」
ふっと嘲笑していうので
『私があんたを破壊してやる』
そうして私は心の中でその言葉を唱える。
スペルカード
神槍
『スピア・ザ・グングニル』
スペルカード。能力のその先のステージ。いわゆる必殺技である。
『スピア・ザ・グングニル』は変幻自在の槍を顕現する。
私の手は震えていた。目の前にいる相手への殺意で今にも自我を忘れてしまいそうな…..
でも今は、今だけはどうでもいい。よくも私の妹を。
そうして私は地を蹴ってそいつの背後に回り、その全力の一撃を放った。
だけど、
「良い動きだ。だが戦闘経験が足りていないのか、まだまだ未熟だな」
私の全力は片手で受け止められてしまっていた。
「嘘..」
驚愕していた。というかするしかないのだ。今の私じゃこいつの足元にも及ばないと全身で理解した。
そうしてそいつは私の首を掴み上げ…..
「もっと楽しませてくれると思ったんだけどなー僕の見当違いだったね」
それだけ言って拳を固め、振りかぶっていて
「らしくないよ!」
「バァン」
「おっ!?いいね」
「あが….」
気づけば誰かの攻撃によって。私はその手から解放されたわけなのだけれど、
「お姉様がそんなボコボコにやられるなんてお姉様のプライドが許さない!カリスマあふれるお姉様は私の憧れだよ」
「どうしてフラン….」
「お姉様感情的になりすぎてるけど、私たち吸血鬼だからね!?ある程度の傷だったらすぐ治るじゃん!」
…..妹をやられたあまり忘れていたが、そう言えばそうだったわね。
「だからさ!見せつけちゃお!最強の姉妹を」
自信満々に言うフランの言葉に私は苦笑しながら、
「えぇ流れを変えるわよ」
「うーん金髪の攻撃はなかなかよかったね」
「あなたが弱いんじゃないの?今からサンドバックにするから!」
「とりあえず」
そこで槍を顕現させて
「私も負けてられないわね」
うーん。あの二人が戦っているあの男…..結構実力者だな
まあそれでも、あいつらならやってくれるだろう。
「さてさて」
俺は少し胸を高揚させて
「頑張れよレミリア、フラン」
それにいざとなれば、俺が助けてやるからよ…..とそう内心呟くのであった。




