表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
閃光の戦乙女はムキムキになりたい。夢は、分割払いです。  作者: 浦賀やまみち


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/7

第06話 あのバカが来た




「いくぜ!」

「2時方向下よりホーミングレーザー」



 どっちを向いても、火線が走っている中を突き進む。

 どっちを向いても、敵がいるのだから、撃てば当たる。


 俺のシュリケーンビームが火を噴きまくりだ。



「俺はいくぜ!」

「右舷にピンポイントバリアを展開。今です」



 セバスチャンのサポートに従い、艦を気持ち左に向ける。


 バリアとレーザーが干渉し、眩い光が走る。

 艦はそのレーザーに沿うように滑っていく。


 つまり、目の前に俺を狙ったアホが現れる。



「いっちゃうぜーーっ!」



 シュリケーンビームをフルオートで発射。

 アホは爆散した。



「あまり女性がいく、いくと言わないほうがよろしいのでは? はしたないですよ?」

「やかましいわ! 俺は男だ!」



 背中をぞくぞくした感覚が走る。

 たまらず、内股になった。



『あのエンブレムっ……。閃光だ!』

『閃光の戦乙女か! ツイてねえ!』



 敵艦隊の通信を傍受した。


 最も通信妨害が厚い前線を突破した証拠だ。

 逆に今は、味方の通信のほうが届かない。



「くふっ………。もっと褒めて良いんだぞ!

 あと、俺は男な! いつも戦神って呼べって言ってるだろうが! 死ね、アホ!」



 アホどもを適当に爆散させながら突き進む。

 そろそろ、目標の敵艦隊旗艦が見つかってもいい頃合いだ。



「少し冷静になりましょう。

 戦いに興じると、性的興奮を覚えるのは、マスターの悪い癖です」

「覚えてない!」

「腟分泌液の過多を確認」

「分析すんな! これ、汗だし!」



 俺の操縦を邪魔しないように、視界の端に幾つものウィンドウが現れては消える。

 その数が減ってゆき、最後に残った一つがポップアップされた。



「見つけました」

「でかした!」



 空間そのものを塞ぐような超巨大な白亜。



「帝国座天使級空母を確認」

「やべっ、皇族の艦じゃん! 報奨金がっぽりぃ~!」



 ビッグボーナス到来だ。

 俺がムキムキマッチョになる日が、ぐっと近づいた。


 艦を加速させる。

 アホどもが泡を食い、砲火を集中させてくるが、目もくれない。


 着弾寸前、艦を右へ、左へ、くるり、くるりとバレルロールさせる。

 紙一重で次々とかわし、天地が目まぐるしく変わる。



「直下、高速で接近する感あり」

「雑魚は放っとけ! 俺はいくぜ! いっちゃうぜーーっ!」



 俺の興奮は最高潮。

 ズキュンッ、ズキュンッ、と下腹から甘い痺れが駆け巡る。



「帝国大天使級高速戦艦」



 だが、唐突に背筋に冷たいものが走った。

 思わず足を大きく開き、下を覗き込む。


 宇宙の闇を駆ける、ド派手に輝く金ピカの戦艦が見えた。



「待って、聞きたくない」

「ガブリエル嬢です」

「えーーー……。もう帰ろっか」



 俺のテンションは、すんと鎮まった。




 ******




『はっはっはっ! それでこそ、我が華よ!』

「お願いだから、死んで? ストーカーって気づいてる?」



 離れては、ゼロ距離になり、また離れてはゼロ距離になる。

 俺の『斬艦刀』と、バカの『エクスカリバー』が幾度も斬り結ぶ。


 戦艦で近接戦、おかしいと思うよね。

 俺もそう思う。



『それのつれなさも可憐だ! お前は、私をどこまで狂わせる!』

「一人で狂ってろよ。あっ、元からか」



 人類は、惑星はおろか、星系さえ飲み込む破壊力を手にした。

 同時に、星系を覆うほどの巨大なバリアも生み出した。


 まさに、『矛盾』だ。

 それが最小単位に突き詰められた結果、戦艦同士の近接戦になった。


 意味が分からないよね。

 俺もそう思う。



『ああっ……。今が永遠に続いたらと思わざるを得ない!』

「早く帰れよ。うざいんだって」



 ハッキングで乗り込んできた、バカが乗る金ピカ艦の端末。

 ゴスロリ少女の『ガブリエル』とお茶会をしているセバスチャンが、こちらに視線を向けた。


 戦闘中、端末同士でお茶を飲むって、変だよね。

 俺もそう思う。



「さて、ガブリエル嬢。ここまでです」

「ああっ! セバスチャン様ったらつれないお方……。

 でも、そこが好き! 愛してます!」



 セバスチャンに突き飛ばされ、ガブリエルのホログラフィーにノイズが走って消える。


 時間稼ぎは終わった。

 バカに付き合っている暇はない。



「ブースト全開!」

「カウントダウンスタートします」



 叫ぶと同時に、歯を食いしばる。

 重力を誤魔化す『イナーシャルキャンセラー』を上回るGが、俺を襲う。


 アホどもの艦隊の姿が間延びして見える。



『はっはっはっ! かけっこだな! よかろう!』

『セバスチャン様ぁ~~~っ!』


 だが、悲しいかな、バカの艦も速い。

 そうでなかったら、この俺と互角には戦えない。



「28……。27……。26……。」

「ファイナルブースト!」

「7……。6……。5……。」



 身体が悲鳴をあげる。

 鼻から赤いオイルが溢れ、顔の横へ流れていく。


 ボーナスを真正面に捉えた。

 斬艦刀の出力を最大にする。



「斬艦刀、一文字斬りいいいいいいっ!」



 交差する。

 世界は、まだ動き出さない。



「ランダムワープ!」

「機関がもちませんが?」

「あのバカに追いつかれるよりマシだ! オーバーブースト!」

「承りました。私のお姫様」

「俺は男だ!」



 結果を待たず、俺たちは星の海へと飛び込んだ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ