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流刑の覇王  作者: 卯月よひら
第二章 賢王リアムの話
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19話 ランバート王国最北端の地

 朝食を取ってから電車に乗り、リューリッシュ駅を出発したよ。


 ランバート王国で一番北に位置する領へ向かったんだ。


 中央(ケントルム)と隣接し、その境界には魔物が跋扈(ばっこ)する深い森が広がっていたんだ。


 昔はその森に足を踏み入れたら、死が訪れると言われるほどで、未踏の地でもあったよ。


 アナベルは森があったため他の地域と隔てられていたけれど、近現代になり、魔力砲や魔法具の発明で魔物を退けられるようになって、人々はこの森に入れるようになったんだ。


「だけど、いまだにこの森は昔の名残で、妙な名前がつけられているんだ。リアム知ってるか?」


 すっかりお兄さん顔のバヤールが、リアムに聞いてきたよ。


「シレンティウムの森だっけ?恐ろしい魔物がたくさんいて、獣も声を潜めるから呼ばれるようになったって」

 

「シレンティウム?由来はあってるが、静寂(シランス)の森と呼ばれてるんだ」


「ふーん?アナベルの言い方かな?そういえば、昔騎馬族が入って来ないように中央(ケントルム)人が築いた壁があるって聞いたけど」


「あら、リアムちゃん。物知りね」


「エドおじちゃんに教えてもらったんだ。どこにあるの?」


 アルマンが地図を出してくれたよ。


「目的地はここ、シランス領。森のさらに奥の、中央(ケントルム)に接している辺りよ。ここまでいけたら、あたしたちの勝ちね」


「敵とは森の中で衝突する。木もはえているから、連中も火力の強い大型兵器は使えないだろう。ゲリラ戦になる」


 ガレオがランバート軍が進む予想ルートをなぞったよ。


「ランバート軍では帝国を倒せない。だから少しでも押し返して諦めさせる作戦」


 リアムは帝国が諦めなかったらとは言わなかったよ。


 ランバート王国が大国に勝つのは奇跡に近かったんだ。


「勝って、壁を見に行きましょうね」


 アルマンが前向きなことを言ってくれるから、リアムは暗い考えにならずにすんだよ。


「そうだ、ガレオ!ヒューゴ様に会いに行くでしょう?」


「突撃するんなよ?また兵ともみ合うのはよしてくれ」


「大丈夫!今度はちゃあーんと約束取りつけてるわ。ヒューゴ様もリアムちゃんに会いたいって」


「ヒューゴ様?」


 アルマンが様をつけてるから貴族かなと思ったよ。急にふふと笑って、うっとりしていたんだ。


「ヒューゴ様はとても男前なの~!」


「アル姐、男前だけだとリアムにはわからないぞ。

 ヒューゴ様はシランス領の領主だ。気さくな方で傭兵の俺らも気にかけてくれる。

 エドさんとシャルルを年の離れた兄弟のように可愛がっていた。

 さては、リアムをダシにしてヒューゴ様に会おうとしたな」


「あら、やだ。ばれちゃった」


 ジョゼフとバヤールは、ヒューゴって人に会ったことないらしいよ。


「ガレオたちは貴族の人と会ったことあるんだね。王様はある?」


「さすがにないな。会いたいとも思わない」


 ガレオは小声で言うと、地声が大きいバヤールも声を潜めたよ。


「かなりルドってるらしいぜ」


「ルドって…?」


 リアムが聞き返すとジョゼフが教えてくれたよ。


「昔レナータで暴君ルドっていう人がいて、そこからと独裁者とか自分勝手っていう意味で使われる。バヤールはよく知ってるな」


「レナータ出身の傭兵仲間から聞いた。レナータだとルドという名前の奴はいないらしいぜ。つけられたら絶対いじめられるだろうし。

 あ、でも暴君ルドがヴァリエンテの神になったとかそういう話があるから、ヴァリエンテの連中にルドるとかいうなよ?言った瞬間に銃弾飛んで来るからさ」


 リアムはいろんな話を聞きながら、電車で一時間ほどで、シランス領についたんだ。


 傭兵組合に到着の連絡を入れてから、シランス領にある行きつけのお店をアルマンとガレオが案内してくれたよ。


 ランバートによくある街の雰囲気だったけれど、アナベルやエルスターに見られる木造建築は少なく、レンガや石で作られるレナータや中央(ケントルム)の建築様式が多かったんだ。


 その街の建物が所々壊れたり、焼けていたんだ。


「何があったの?」


 もう帝国が攻めてきたんじゃないかってリアムは心配したんだ。


「雷だ。毎年秋になるとよく落ちて、街が燃えるんだ。壊れた建物はそのせいだ。

 木材は豊富にあるが、木の家はあっという間に燃え広がるから一時は建てるのを禁止されていたらしい。

 魔法具の避雷針で被害は少なくなったらしいが、昔は何度も街が燃えてなくなったって聞いた」


 ガレオが教えてくれたよ。


「なんでそんな危ないところに住むの?」


「ここは温暖で夏と冬の寒暖差がない。雷を除けば住みやすい。

 寒い帝国から移住する奴も多くて、ランバートが建国する前まではここは帝国の領地だった。大昔に皇女が嫁いできたかなにかで、シランス家は帝国の皇族の血も引いている。

 ヒューゴ様は立地も立場も帝国とランバートの間に立って色々苦労しているらしい」


 アルマンもヒューゴの人柄について教えてくれたよ。


「今回も帝国と交渉がうまくいかなくって残念だって言っていたわね。お前たちを戦地に送る結果になってしまってすまないですって。あたしたちはお仕事だから気にしないでいいのに、とてもお優しい方なの」


 お店につくと外観が焼けていたよ。


「ありゃ。ここもやられたか」


 ガレオが近所に住む人に聞くと、雷が近くに落ちてお店が全焼してしまったんだって。


 通りを二つ挟んだところに、新しいお店を出したらしいと聞いて行ってみたよ。


 小さなお店に人が並んでいたよ。人気みたいだね。


「災難だったな」


 お店に入るとガレオは店主に声をかけたよ。


「去年の秋の終わりに落ちたんだ。無事に乗り切れたと思った矢先だったぜ。

 まあシランスに住むなら仕方ねぇさ。幸い客も従業員も無事だった。器具や材料は燃えちまったが、売り上げは持って逃げられたから、早く店をだせた」


 シランス名物の森の魔物の肉を注文したよ。どの魔物になるかはそのときに獲れた魔物次第らしいから、当たり外れはあるらしいよ。


 それがロシアンルーレット的なギャンブル性もあって、あえてどの魔物の肉を出すか決めていないお店の方が人気だったよ。


「新入りか?」


 店主が直々に注文を取りに来て、リアムを見たよ。


「ああ。新入りのリアムだ」


「もしかしてこいつか?シャルルの息子って」


 シランスまで噂が流れててリアムは苦笑したよ。店主がくいっと顔でカウンターに座ってる男の人を示したよ。


「レオが言っていた」


 名前を呼ばれたせいか、男が振り返ったよ。


 黒髪に細い眼、歳はリアムと同じくらいか幼く見えたよ。


「ガレオとアル姐じゃないか!お前ら遅いぞ」


「遅いっておととい集合場所の連絡が来たから普通だ。レオはいつ来たんだ?」


「五日前。集合場所はシランスになるのわかりきってるだろう?」


 どこで油を売ってるんだという顔をしていたよ。リアムに眼を向けるとパッと駆け寄ってきたんだ。


「ランバートの英雄の息子じゃないか!やっぱりお前も来たんだな。俺はレオ。ヴァリエンテ出身だ。よろしく。俺の国は英雄は尊敬されるんだ。だからお前の親父のことも有名さ」


「俺はリアム。よろしくね。ヴァリエンテって、帝国の一部だったと思うけど?」


「そうだ。でもうちの王様はランバートとの戦いは一方的になるから、皇帝に戦争はやめるように言っていたんだ。俺らの神も弱い者いじめは認めないだろうよ。

 だから俺はランバートにつく」


 そういう理由で命をかけるとは、リアムも驚いたよ。


「俺らはお礼を言った方がいいのかな?」


「礼?そんなのはいらないぜ。俺は俺の思うようにここに来ただけだ。ま、故郷よりもこっちの方が色々うまいものあるしな!

 お、胸にあるのはお守りか?」


 ころころ変わる話と表情にリアムは圧倒されていたよ。


「うん。もらったんだ」


「へえ。でもそいつは、ニセモノだぜ?」


「知ってる。気持ちが大切だと思うから」


「そうだな。気持ちは大切だ。ニセモノっていって悪かった。隣いいか?」


 といいながら、長椅子に座っていたアルマンとリアムの間に身体をねじ込んできたよ。


「ちょっと!あたしはリアムちゃんの隣がいいの!」


「バヤールじゃないのかよ。あ、リアム。お守りは女からもらったのか?」


「ん?そうだけど」


 レオが言った女は恋人という意味だったんだけど、リアムは気づいていないみたいだよ。


 レオはニヤニヤしながら、リアムの肩に腕を回したよ。


「いい女なのか?」


「優しい人だよ。お母さん思いの」


「そっかそっか」


 といって運ばれてきた料理にフォークをのばしたよ。この料理はリアムたちの分なんだけどね。


「ヴァリエンテの王様はランバートの味方なの?」


「味方ではない。中立と言った方がいいかな。あんまりにもランバートの方が分が悪いから、行きたいやつはランバートに加勢しろってな。俺は長いことランバートで仕事してるっていうこともあるし、こっちに来た」


「長いこと?」


 バヤールはブッと吹き出したよ。


「リアムはレオのこと年下だと思ってるぜ」


「いや、そこまでは…」


「へーきへーき。若く見られるの慣れてるから。俺はジョゼフとバヤールより上だ」


 ジョゼフは二十六歳で、バヤールは二十五歳だよ。


 ということは二十七歳以上ってことだね。


 リアムの驚いた顔にレオはご満悦だったよ。


 人懐こい性格だから、ランバート民に敵と罵られずに済んでいるみたい。


 リアムはレオもお守りをつけているのを見つけたよ。


「お守りの言葉も言われたんだけど、レオたちも言うの?」


「お守りの言葉はないが、これを作るときに神に祈る。今では自分で作る奴は少ないが、光の神に願うときは言ったりするな」


「光の神?光の王のこと?帝国に現れたという」


「光の王ともいうな。俺らの神は光の王で、帝国にも現れた。神は俺らに帝国人と仲良くしろと言ったから、仲良くしてきた。皇帝は神の血を引くが神ではない。だから俺らはいいなりにはならないのさ」


「光の王はいたんだ?」


 レオはニッと笑って、リアムの肩を叩いたよ。


「もちろんさ!光の王の話を信じているのか?」


「うん。会ってみたい」


「俺もさ。リアムと気が合うな。ほら、肉が来たぞ。そのまま食べてもよし。塩でも特性のタレでも」


 リアムを取られてアルマンが歯をキリキリさせている様子が楽しいのか、レオはリアムにばっかり構うよ。


「あたしのリアムちゃんよ!」


「アル姐、諦めろよ。リアムには女がいるんだからさ」


「今ここにはいないし、リアムちゃんは恋人いないの。レオが邪魔よ!」


 リアムはお肉に夢中で、お店中に響く二人のやりとりを聞いていなかったよ。


「美味しいね!」


「リアムは将来大物になるかもしれないな」


 ガレオが呟くとジョゼフとバヤールも同じことを思っていたらしいよ。


 ごはんを食べ終わるとレオがリアムに見せたいものがあると、お店の裏の駐車スペースに連れてきたよ。


「見ろ!俺の愛車だ!これで何度も戦場や任務に行ったんだぞ」


 一台のバイクにレオはまたがってドヤ顔をしたよ。


 リアムはかっこいいとしきりに褒めてるけど、ガレオはレオが何度も人に自慢しているのを見てきたから飽き飽きしていたよ。


「レオ。今度の戦争は森の中に入る。バイクでは入れない場所もあるから徒歩で来るように指示があったはずだ」


「え…」


 ちゃんと指令を聞いてなかったみたい。


「俺はこいつと一緒じゃなきゃ戦えない!」


「嘘つけ。降りて戦ったことあるだろう」


 バヤールは一度だけ偉い人の護衛でレオと一緒に任務に行ったことがあるらしいよ。


 店主が預かっておくと親切にしてくれたよ。


 魔力砲などの銃が誕生して以来、平地の戦争は壕を作って身を隠して戦うのが主流だから、バイクにまたがって出撃という戦法はないと思うな。狙い撃ちされちゃうからね。


 ともあれ、現代のヴァリエンテの民は馬からバイクに代えて、大陸を駆け回っているらしいよ。


「仕方ない。歩くか」


「いや、街の中はバイクでもいいぞ?戦地は駄目なわけで」


 とぼとぼ歩いているレオがいたたまれなくなったのか、バヤールが励ましていたよ。


「わかった!そうだ、リアム。シランスの街は見たか?」


「あたしが案内するら、レオはバイクに乗ってどっかにいってなさいよ」


「面白いところ案内してやるぜ」


 レオはアルマンの巨体をひょいと避けてリアムの前に立ったよ。


「面白いところ?」


「お前はガチの中央(ケントルム)教の信者か?」


「違うよ」


「それなら、中央(ケントルム)教の水の神(オールア)教会に行こう。観光スポットして有名なんだぜ」


「そこはあたしがリアムちゃんを案内しようと思ったの!」


 アルマンを無視して、リアムより華奢なレオがぐいぐい腕を引っ張るよ。


 言われた水の神の教会は、いたって普通のレンガ造りの中央(ケントルム)教の教会だったよ。


 中も変わったところはなくて、レオが祭壇の上にある彫刻を指差したよ。


水の神(オールア)の彫刻だ。これが有名なんだぜ」



 想像していた像の輪郭がふっくらしたものではなく、厚い胸板に太い腕や脚だったよ。


 リアムは彫刻を見て首を傾げたよ。


水の神(オールア)は女神じゃなかったっけ?」


「普通はな。ここと帝国の一部の教会は男神となっている。昔災害に見舞われた村に水の神が現れて、村人を助けたそうだ。水の神は男だったらしく一部の水の神(オールア)教会は男神を祀るようになったんだってよ」


「へぇ。そうなんだ。ヴァリエンテにも中央(ケントルム)教会あるの?」


「あるぜ。水の神(オールア)はほとんどが男神だ。場所によっては水の神(オールア)の使いが男とされている。ヴァリエンテ教の光の神は、男で水も司っているからな。

 光りがなければ草木も育たないし人も困る。水もそうだ。ヴァリエンテの神はこの世の全てなんだ」


 ヴァリエンテ教は、中央(ケントルム)教のような多神教ではなく、一神教だよ。神様が一人ってこと。


「ふーん。そうなんだ。神様って色々いるんだね。同じ神様なのに場所によって性別とかも変わっちゃうんだ。面白いね」


「次は…」


 レオがまだ案内を続けようとするから、アルマンがキリキリしていたよ。


「そうだ、アル姐さん。領主様って人にいつ会うの?」


 アルマンのジェラシーを察したリアムがそれとなく聞いたよ。


「夕方よ。レオも来る?」


「領主?俺はいいや」


 堅苦しいのは苦手らしいよ。


 レオはゴニョゴニョ言い訳を言ってから、リアムたちと別れたよ。


 アルマンはレオを追い払えて嬉しそうに、リアムの隣に並んだんだ。


「お昼も食べたし、夕方まで何しようかしら。それといった観光するようなところはないし、市場を見に行ってみる?」


 レンガ造りのアーケードにお店がぎっしり並んでいたよ。


「リューリッシュが栄える前は、ここにアナベル中のモノが集まったそうよ。だから名残で世界市場(マルシェモンディアル)と呼ばれているわ」


 市場には果物や野菜、海でとれた魚や魔物のお肉も売っていたよ。食品エリアを抜けると服や雑貨、本屋など色々なお店があったんだ。


 見て回るうちにハサミの絵が描いてある看板に目が行ったよ。床屋さんみたいだね。


 リアムはくるりとカールした前髪に触れたんだ。


「髪伸びてきちゃったな。切っていい?」


「そのままでもいいんじゃない?可愛くて」


「そう思われるのが嫌なの」


 アルマンは今のリアムの髪型が似合ってると思ってて、髪を切ってしまうのがちょっと残念だったみたい。


 ガレオがよく行く、安くていいところを教えてくれたよ。


「俺も切っておくかな」


「あたしもヒューゴ様に会うし、ばっちり整えておかないと」


 とゾロゾロと床屋さんに入ったよ。


 リアムは後ろの髪を刈り上げて、前髪もなくすとさっぱりした気分になったよ。


「リアムちゃんはワンパク度が増したわね。それはそれでいいかも」


 鏡で確認しながらリアムはジョゼフィーヌが見たら何て言うのかなって気になったよ。


 ジョゼフとバヤールは、リアムたちが髪を切っている間に宿を探してくれたよ。


「ヤバい。全然空いてない」


 あまり広くない街に国中の傭兵たちが集まっているからね。


 宿がいっぱいになっちゃったみたいなんだ。


「軍用のテントがあるだろう。焦ることないぜ」


「出発は明日の朝だっけ?家にいてもよかったな」


 リューリッシュでアパートを借りいてるバヤールは、一時間で来られるシランスに前泊しなくてもよかったかもね。


「何言ってんだ。宣戦布告されたなら、今この時に召集かかってもおかしくないんだぞ?」


 そういいながら、ガレオは後輩たちと観光していたけどね。


 もう一度傭兵組合に行って、テントがあるか聞くと案内用紙をもらったよ。


「先に渡せっつーの。気が利かねぇな」


 ガレオが悪態をつきながらテントの場所を確認すると、領主の屋敷近くの広場だったよ。


「お屋敷行くついでに空いているか確認しましょう」


 アルマンが言うとみんなでテントのある広場に行ったよ。


 まだ空いていて、場所を確保したよ。


「領主様に会うから、ジーパンはまずいな」


 リアムはリューリッシュで買った戦闘着以外はジーパンしかなかったよ。


「服ないけど…」


「俺も持ってきてないぜ。アル姐、早く言えよ」


「えー昨日お返事来たし、あたしも持ってきてないわよ。使用人さんに頼んで借りるつもりだったし。ヒューゴ様も私服でいいって」


 借りれるか聞きにお屋敷まで行ったよ。ジョゼフとバヤールはお誘い受けていないからと、テントに残ったんだ。


 門番にヒューゴからの手紙を見せると中に通してくれたよ。


 使用人さんはアルマンの言う通り服を貸してくれたんだ。


 リアムは初めて背広を着てそわそわしていたよ。


「俺、着られてる感出てない?エドおじちゃんから作法を習ったけど、それでいいのかな?」


「ご挨拶できれば大丈夫よ」


 アルマンは笑顔を浮かべてるけれど、ガレオの顔が強ばっていたよ。


「ヒューゴ様だけならいいんだが、取り巻きがいるとな…」


 二十年近く傭兵をしてきた屈強な男、ガレオでも緊張するようだよ。


 リアムは待合室にある椅子やカーペットが豪華で貴族感満載なのが楽しくて、座らずにうろうろしていたよ。


 軍服を着た人が部屋に入ってきたよ。歳はジョゼフくらいで、ある人に似ていてリアムは目を見張ったんだ。


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