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流刑の覇王  作者: 卯月よひら
第二章 賢王リアムの話
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14話 血の外交

 練習場を出ると辺りはすっかり暗くなっていたよ。


 昼間とは変わって、光輝くネオンにリアムは口を開けっ放しだったんだ。


「別の世界に来たみたい」


 田舎丸出しにガレオは笑いが止まらなかったよ。バヤールがいたら、ずっと笑っていただろうね。


 飲み屋は駅近くの中心街のそばらしくて、そこは昼のごとくネオンが光っていたんだ。


「目がチカチカする。夜なのに夜じゃないみたい」


 プラット村の夜は街灯がポツンポツンとあるくらいで、外は暗かったからね。


 街中には大きなスクリーンがあって、企業が商品の映像を流しているけれど、中には国の放送もあったよ。


「悪の帝国から家族や友を守ろう!」


 男性の演説が流れたら、今度は可愛らしい動物たちが出てきて、武器を持って帝国兵と戦っていたんだ。


 モニターから目を離すと、昼間は全てが目新しくて気づかなかったけれど、至るところに兵士募集や帝国と戦えという文字やポスターが貼られていたんだ。


 ポスターには国民に人気のある俳優さんや歌手とかが使われていたりしていたけれど、リアムはまったく顔も名前も知らなかったけれどね。


「リアム。行くぞ」


 映像を眺めていたリアムは目が覚めたように瞬きをしてから、ガレオたちについていったよ。


「テレビ観てると帝国が全部悪いと思ってくるね」


「そういうように国が仕組んでるんだ。敵はいい奴より悪い奴の方が戦いやすいだろう?」


「ガレオは帝国は悪者だと思ってる?」


「そうだろうよ。宣戦布告してきたのはあっちだしな」


 クレマンが国の批判を口にしたり、帝国のことを良く思ってもみんな言わないと言っていたのを思い出したよ。


 だからリアムは深くは聞かなかったんだ。


 リアムはリューリッシュに行けば自由があると信じていたけれど、思ったより自由ではないみたい。


 飲み屋に行くとバヤールとジョゼフは、すっかり出来上がっていたよ。


「よ!田舎少年。待ってたぞ」


「魔法具は使えたのか?」

 

「うん。結構良かったよ。二人は魔法…具はどんなのを持ってるの?」


 うっかり魔法を使えるかと聞こうとしてしまったんだ。


 セザールが隠す人もいるというからね。


 ジョゼフがビールを飲み干してから、おかわりを頼むついでにリアムたちのも頼んでくれたよ。


「俺は全然才能なくてさ。魔法具はいくつかあるが、大したものはない。バヤールは魔法使えるが、マジでウけるぞ」


「言うなよ~」


 はははと笑って、ゆらゆらバヤールは身体を揺らしているよ。大分飲んでるみたいだね。


「バヤールは雷の使い手で、強い静電気って感じだな。魔法を増大させる魔法具を使っている」


 さらりとガレオが言ってしまったよ。


 みんな信頼しているから話しているみたい。


 バヤールがジョッキをガンとテーブルに置いて、鞄からなにやら出したよ。


「ついに俺も魔石の魔法具を買ったんだ!いいだろう」


「あら、よかったわね。ずっと欲しいと言ってたじゃない」


 アルマンは自分のことのように喜んでいたよ。バヤールは魔法具の腕輪をみんなに見せびらかして、特にリアムに自慢していたよ。


「コアなしの魔石の魔法具なんだ!すっげえ高くて、ずーっと金を貯めててやっと買えたんだ。

 これで俺も一人前の傭兵だ」


 コツコツ貯めた自分の給料で、ブランドの高級腕時計を買ったような感じかな?


「どんな魔法具なの?」


 リアムが聞くとチッチッともったいつけたんだ。


「これは言えないな。答えは戦場で俺の活躍を見よ!」


「わかった。楽しみにしてるね」


 酔っぱらいの自慢話を真面目に聴くリアム君。


 あとどれくらいであしらうようになるかと、ガレオは思っていたよ。


「バヤールの買ったのは、防御と攻撃両方できるやつなんだ」


「おい、ジョゼフ。話すなよ」


「なんだよ。散々俺に話しておいて、隠すことないだろう?ねえ、店員さんも聞いただろう?」


「一発で敵を倒せる雷撃を打てるんでしょう?」


 注文した飲み物を運んできた店員さんが知ってるほど、ジョゼフに話したときの声が大きかったみたい。


「雷撃!かっこいいね。見てみたい」


 リアムが言うとバヤールは気が大きくなって、性能をペラペラ話していたよ。


「雷系の防御で、ちょっとの魔力で何発も打てるんだ。威力にリアムが見たらチビっちまうぞ」


「そんなに凄いんだ。今度見せてね」


「明日見せてやるよ!お前も魔法使えるんだろう?見せろよ」


「いいよ」


 アルマンはリアムが自由自在に魔法を操るから、バヤールの方が驚くだろうなって思っていたよ。


 バヤールがトイレにいくと、少し経ってからカウンターにいた男性のお客さんもトイレにいったのを、リアムは横目で見ていたよ。


「俺も行きたくなっちゃった」


「あら、トイレは一個しかないわよ」


「ん?待ってるからいいよ」


 リアムはトイレに行くとカウンターにいたお客さんがトイレに入ったよ。


 お客さんが銃を取り出そうとして、バヤールが鼻歌混じりに個室から出てきたところだったんだ。


「飲み過ぎたんじゃない?大丈夫?」


 リアムが言うと、お客さんはすっと銃を隠したよ。


「おう、リアム。大丈夫だって!」


 ヨタヨタしているから、仕方ないなとドアを開けて、バヤールと一緒にトイレを出たよ。


「あら、リアムちゃん。早いじゃない」


「バヤール飲み過ぎみたいだよ。帰った方がいいんじゃない?」


「俺はまだ飲みたいんだけど」


 ガレオは不満そうだけど、リアムは戻ってきたカウンターのお客さんをチラリと見たんだ。


 アルマンは察したのか、あたしも少し飲みたかっただけとお酒を飲み干したよ。


 リアムはカウンターのお客さんがお金を払って出ていったのを見届けてから、隣に座っていたガレオに小声で言ったよ。


「あの人、トイレでバヤールに向かって銃を出そうとした」


「…バヤールは俺が家まで送る。リアムは宿は?」


「あ、まだ…」


「リアムちゃん、あたしの家に来なさいよ」


「え、悪いからいいよ」


 リアムはアルマンの満面の笑みに、なぜか一瞬悪寒が走ったよ。それをジョゼフも気づいたみたい。


「俺の家に来いよ。ここから近いしよ」


「いいの?」


 アルマンの唇がへの字になったのを、ガレオは肩を震わせて笑いをこらえていたよ。


 ジョゼフの方がいいのかってアルマンはやきもちをやいたけれど、バヤールを狙った男のことが気になったみたいだから、気持ちを切り替えたよ。


 お店を出ると千鳥足のバヤールの肩をガレオが掴んでいて歩かせたよ。


 リアムは曲がり角で、チラリと背後を見たよ。ガレオに小声で伝えたんだ。


「ガレオ。ついてきてる」


「本当か?どこだ」


「はっきりとは見えないけど、ぼんやり形が」


「ぼんやり?なんだそれ?」


「魔法」


「そんな魔法あるのか?」


「可視化魔法の応用。このままバヤールの家にいくのはまずいよ。空き巣に入ったり、待ち伏せするかもしれないし」


「俺の家に行く」


 バヤールの家とは反対方向らしいよ。


 ガレオは曲がり角を何度か曲がると同じ男がついてきているのに気づいたよ。


「俺らでなんとかするから、ジョゼフとリアムは帰れ」


 ガレオが立ち止まって言うと、ジョゼフはお言葉に甘えることにしたよ。


「じゃあな」


「今日はありがとう」


「ねえ、リアムちゃん。あたしの家に来ない?」


 アルマンはまた誘ってきたよ。


「今日はジョゼフにお願いしたからまた今度ね」


「リアムちゃん。明日の予定は?あたしと一緒に銃の練習しましょうよ」


「いいよ。どこに行けばいい?」


「今日アップルパイ食べたお店覚えてる?そこの近くで美味しいランチやってるの!」


「今日のお店は…」


「リアムを連れていくから、おごってくれよ」


「いいわよ!」


 ジョゼフはちゃっかり明日のお昼代を浮かせることに成功したよ。


 お店にいた男がリアムたちを通り過ぎて、見えなくなってから、ガレオはバヤールを連れて小道の方へ歩いていったよ。


 三人を見送って、リアムはジョゼフの家に向かったんだ。


「これで大丈夫だろう。まあ、でかい声で自慢したバヤールが悪いわけだが」


「バヤールの何もないといいけど。怪我したらかわいそうだし」


「怪我した方がよかったかもな」


「え?」


 ジョゼフは人気のない道に入ると小声で話したよ。


「傭兵は正規兵とは違って、好きなときに条件のいい仕事を選ぶ。強制されて戦地に行くのは誰だって嫌さ。しかも今回は完全に負け戦。

 前の戦争で老兵や怪我人までも強制招集かかって非難が凄かったから、今回は除外される。

 別の任務中にわざと怪我をして、今回の戦争に外れようとする傭兵もいると聞いている」


「そういうことだったんだね」


 ジョゼフがバヤールのことを嫌って怪我した方がいいと言ったわけではないようだから、リアムは安心したよ。


 再び飲食店のある通りにいくと、ジョゼフがスーパーマーケットを指差したよ。


「あんまり食べてないだろう?飯買っていくか?」


「うん。お腹空いてて」


 お店に入ると店内は広くて、リアムはキョロキョロしていたよ。


市場(マルシェ)が一つの建物に入ってる」


 ジョゼフはリアムの反応を笑ってから、かごにパンやバケット、それにレタスやチーズ、生ハムを入れたよ。


「あ、お金出すよ」


「朝飯同じでいいなら、出すぜ。田舎から出てきたばかりなら、金ないだろう?」


「ありがとう。まだちょっとあって。その、カレ商会で」


 マリアスから、気持ちだとお金を少しもらったのは事実だよ。


 出会ってすぐのジョゼフに火の鳥の話をするのは気が引けたからね。


 ジョゼフは納得してくれたのか、お金について言ってこなかったよ。


 ジョゼフの家は日本でいうアパートで、単身者用の狭い部屋で見た目は古そうだったよ。


 部屋は整頓されてというよりも、あまりモノがなかったよ。


「今はリューリッシュにいるけど、国内を転々としているからね。荷物は増やさないようにしてる」


 買ってきたパンをテーブルに置いて、生物(なまもの)は冷蔵庫にいれたよ。


「まさか、冷蔵庫は知ってるよな?」


「え、うん。食べ物を冷やしておくところでしょう?」


 使ったことないオーラに、ジョゼフはこんな人もいるのかと思ったようだよ。


 コップにオレンジの炭酸ジュースを入れてくれたから、リアムは安心したよ。コーヒーだったら飲めるかなって思ったんだ。


 それを言ったら大笑いされたよ。


「慣れるさ、田舎少年。コーヒーを飲むと目が冴えるから寝る前は飲まない方がいい。

 それで転生ってどういう感じ?俺の周りにいなくてさ」


「信じてくれるの?」


「半信半疑だけどな。ま、食えよ」


 買ってくれたパンを食べながら、知りうるはずもない知識や魔法があるということを話したんだ。


「お前の親父は帝国の始祖だって噂あったけど、実はリアムだったりしてな」


「それはないよ。偉い人だったらいいなって思ったけど、レナータの言葉もわかるから俺はきっと大陸を渡り歩いた商人だったんだよ」


「そういうかもしれないな。ま、あんまり転生って話すんなよ。帝国から声かかるからさ。帝国人は転生者を尊敬するんだ。でも嘘だとわかれば、一転して酷い扱い受けるらしい。

 お前、属性は水だっけ?なおさらいわない方がいい。帝国は大陸全土から使い手を集めている。表向きは優秀な人材を集めて学問や兵力強化とは言ってるけど、始祖って人を探しているカモフラージュだって」


「聞いたことある。始祖っていう人がそろそろ転生するはずだとかで、何年も前から探してるけど見つからないって」


「何年もじゃない、何百年もだ。最後の転生、神帝が誕生してから千年の節目近くに水葬のシャルルが現れて、帝国は始祖かもしれないと喜んだようだけど、敵として殺してしまった。シャルルがもし始祖だったらっていう議論は今もあると聞いている。

 そんな中で、シャルルの息子が現れた。しかも水の使い手で転生者の可能性ありだ」


 リアムはパンをあぐっと噛んでもぐもぐしながら、首を傾げたよ。


「帝国の人を期待させてしまったら悪いけど、あんまり魔法使えないんだよね」


「思い出していないだけかもよ?神帝も生まれたときから記憶があったわけではないって、聞いたことがある。魔力ははかったことはあるか?」


「ないよ」


 はかってみろと勧められたけど、うんとは言わなかったよ。


「組合ならタダではかるところがある。はかるだけはかったら?魔力によって使える魔法具変わってくるし」


「報告するの?」


「自由だけど、誰かはかろうとすれば近くにいる奴らが集まってくるけどな」


「それならはからない。俺は剣士になりたいから」


 魔力量は魔法を使う者なら誰しも知りたがるから、はからない人の方が稀だったよ。


 ジョゼフは深入りはしてはならないと思ったのか、強くは言わなかったんだ。


「ジョゼフって物知りだね。レナータの言葉もわかるし、帝国のことも詳しいし」


「レナータ語は別として、帝国の話は普通だぜ?お前が知らなすぎ」


「じゃあ、いろいろ教えて」


 ジョゼフはニヤっと笑うよ。


「タダじゃなあ」


「エドおじちゃんが言ってた情報料ってやつ?相場知らないけどいくらなの?」


 ジョゼフは吹き出したよ。


「今日はリアムのおかげで何回も笑ったぜ。

 誰でも知ってることで金をとったら、アル姐に怒られる。何を知りたいんだ?」


「うーん。何だろう?傭兵のことや魔法具のこと?今日はたくさん教えてもらったから、敵の帝国について」


「まさか何も知らないで戦おうとしたのかよ」


 これにはジョゼフは呆れていたよ。


「少し知ってる。二千年続いている国でしょう?凄いよね。二千年って想像できないや。どうやったらそんなに続くんだろう」


「帝国のやり方は血の外交と呼ばれている」


「血の外交?戦争してるってこと?」


 ジョゼフはジュースで舌を湿らせてから、説明してくれたよ。


「よく帝国は戦争しているが、そういう意味じゃない。

 始祖という人の血を引くと転生するらしい。過去の皇帝や皇・王族が転生したことがあって、自分の子どもでも子孫でも、始祖の血が流れている人と結婚して子どもができれば転生する可能性があるそうだ。

 偉い人や金持ちが始祖の血筋と結婚をしたがる。ほら、今の人生に満足して死ぬ奴ばかりではないだろう?

 生まれ変わって、別の人生を歩みたい。

 そういう人の気持ちを巧みに使って外交してきたんだ。

 ああ、皇族っていうのは皇帝の血筋。王族はその他の王の血筋。王といえばレナータにあるヴァリエンテ王が代表的だな。言い方は昔はごっちゃだったらしいけど。

 皇・王族との結婚は多額な金を払い、帝国に忠誠を誓うことを強いられる。そして、その血筋は一般人になっても管理されているらしい。

 そうやって有力者を手なずけて、帝国は維持してきたんだ」


「だから、血の外交っていうんだね。戦争ばかりやってるから、血に例えたのかと思った。

 お金といえば魔法具のコアの印象があったけど」


「それもある。血の外交とコアで金と地位を帝国は維持してきた。

 ランバートの王族は帝国の始祖のさらに祖先にあたる統一王の血筋とされているけど、転生の話は聞かないな。

 だから帝国の始祖転生神話は嘘かもしれないという話もある」


「ランバートの王族から、転生者はでない?」


 ジョゼフも理由はよくわからないらしいよ。


 始祖という人は統一王の子孫ではないのではないかと、ランバート側は主張しているそうだよ。


 統一王の血筋はランバート側にあるから、中央(ケントルム)の支配権は自分たちにあるという、三千年前の話を持ち出してるらしいよ。


「なんか、どっちもどっちって感じ」


「はは。確かに。俺は戦えればいいんだけどさ」


「ジョゼフはどうして傭兵になったの?あ、聞いちゃいけないよね」


「人によってだな。リアムの事情を聞いたから、俺だけ話さないのはフェアじゃないな。

 といってもお前みたいに凄い親父がいるだとか、劇的で人が楽しめるような理由はない。

 ガキのころは周りに馴染めなくて、口より先に手が出た悪ガキだったんだ。今は落ち着いてきたつもりだけどさ。

 学校もサボるケンカするで、地元では白い目で見られて、よくつるんでいた年上の幼馴染みから傭兵になるかって言われて、二人でリューリッシュに来たんだ。

 貴族や商人の護衛をしたりして、なんとなく慣れてきた二年目で幼馴染みは死んで、俺は一人で傭兵をやってる。

 それはいいや。だいたい傭兵になる奴らは俺みたいにアウトローな連中が多い。

 だからお前みたいな育ちいい奴がいると、心配はする」


「俺は育ちよくないよ?寝床は物置小屋で、ごはんは器に入ってなかったし?ダヴィド…養父母の息子のことなんだけど、俺は犬って呼ばれてた」


 ジョゼフは引いていたよ。


「なんか、悪いな。話させて」


「大丈夫。ジョゼフもごめんね。嘘をつかせちゃって」


「え?」


「話したくなかったらいいからね」


「…。どこで嘘だと思った?」


「え、あ。幼馴染みのところ?血の流れがおかしかったから」


 ジョゼフは真顔になってしまって、リアムは踏み込んではいけないところに踏み込んだんだって思ったよ。


「ごめん、変なこと言って!ジョゼフの話忘れるから、俺の言ったことも忘れて」


「お前、人の心臓爆発させられる?」


「し、心臓?人やったことないけど、ネズミとかならやった。人はやったことないから安心して!」


 安心してと言われてもボクなら遠隔で心臓爆発させられると聞いて、安心できないけどね。


「実は、可視化魔法使えるだろう?」


 リアムは宙に視線を向けて口笛を吹いていたよ。バヤールの誤魔化し方を真似したみたいだけど、お手本のチョイス間違えてるよね。


「嘘、下手だなお前。なんだよ、魔法はちょっとじゃないじゃないか。それも前世の記憶か?」


「う、ん。習わなくても使えた」


 ジョゼフの個人的なところに踏み込んでしまった気まずさのせいか、リアムは嘘をつけなかったみたい。


「…わかった。秘密にしておく。ガレオとアル姐には話したのか」


「うん。練習場で魔法具使ったから」


 魔法具の腕輪に触れたよ。


 気づいたら深夜を回っていて、シャワーを借りたよ。


 お腹もいっぱいになったし、リアムはとても眠くなったんだ。


「ベッド使っていいぞ」


「俺は床でもいいよ。物置小屋で寝てたし?」


 ジョゼフが真顔になったから、この手のブラックジョークは封印することにしたよ。


 ジョゼフがシャワー浴び終わったころには、リアムはぐっすり寝てしまったんだ。


 リアムの顔を見下ろして、寝ていることを確認してから呟いたよ。


「お喜びください、皇帝陛下。始祖の転生候補が見つかりました。必ずやお連れします」


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