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百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


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9/13

説明するほど、嘘になる

第九話まで読んでくださってありがとうございます。


 今回はついに、“説明するための配信”です。


 ただ、この二人にとって説明ってかなり難しいんですよね。


 本音を隠そうとすると嘘っぽくなる。

 でも本音を出すと隠しきれなくなる。


 その中途半端な温度が、たぶん今の二人そのものです。


 そして今回、レイはかなり覚悟を決めています。

 一方ミオは、まだ感情に名前をつけきれないまま、でも逃げ切れなくなっています。


 今回のテーマは、

「誤魔化すほど本当っぽくなる関係」です。


 それでは第九話、どうぞ。

 「絶対余計なこと言わないでね」


 配信開始十分前。


 マネージャーは胃薬を飲みながら言った。


「特にレイ」


「信用ないなあ」


「あると思う?」


「ないかも」


 自覚はあるらしい。


 私は隣で小さくため息をついた。


 今日の配信タイトルは。


【配信での件についてお話しします】


 重い。


 文字が重い。


 サムネも白背景に黒文字だけ。


 謝罪動画みたいになってる。


「……ほんとにやるの」


「やらないともっと憶測広がる」


 マネージャーは真顔だった。


「とにかく今日は、“仲が良すぎて距離感ミスってました”路線で」


「はい」


「あと恋愛関係については否定も肯定もぼかして」


 その瞬間。


 レイが小さく笑った。


「難易度高いですね」


「高くしてるの君だからね?」


 正論だった。


     ◇


『こんばんは〜』


 配信開始。


 同接は過去最高を更新していた。


 コメント欄が秒で流れていく。


『来た』

『説明会場』

『付き合ってるんですか』

『結婚まだ?』


 無理。


 空気がもう無理。


「えーっと……」


 私はぎこちなく笑う。


「昨日は、その……お騒がせしてすみませんでした」


『かわいい』

『謝らなくていい』

『ミオ顔赤い』


 うるさい。


「まあ切り忘れは普通に事故です」


 レイが落ち着いた声で言う。


「なので、その……変に誤解させてしまった部分もあるかなって」


 “誤解”。


 その単語に、なぜか少しだけ胸が痛くなる。


「私たち仲はいいんですけど、距離感がちょっとバグってて」


「ちょっと?」


「かなり?」


 コメント欄が笑いで埋まる。


 少し空気が軽くなった。


 その時。


『じゃあ昨日の“本気”って何?』


 空気が止まる。


 拾うな。


 なんで拾うんだコメント。


 私は反射的にレイを見る。


 レイは少しだけ黙ってから、笑った。


「……あれは」


 頼む。


 頼むから。


「まあ、本気ですね」


「レイ!!!!!!」


 コメント欄爆発。


『!?!?!?!?』

『言った!!!!』

『認めた!?』

『説明配信とは』


 私は頭を抱えた。


「ちが、違くて! こいつ言葉足りないだけで!」


「え、フォロー入るんだ」


「入れるでしょ普通!」


 レイは楽しそうに笑っている。


 最悪。


 なのに。


 その笑顔を見ると、少しだけ安心してしまう自分がいる。


『ミオはどうなの?』


 そのコメントが流れた瞬間。


 心臓が止まりそうになった。


「え」


『ミオちゃんはレイちゃんのこと好き?』


 無理。


 全国公開質問やめて。


「……っ」


 言葉が出ない。


 配信なのに。


 何万人も見てるのに。


 でも。


 レイだけは、何も言わずに待っていた。


 急かさない。


 笑わない。


 ただ、静かに。


 その目がずるい。


 逃げられない。


「……嫌い、ではない」


 一瞬、静寂。


 そして。


『キャーーーーーー!!!!』

『実質告白』

『はい両想い』

『ごちそうさまです』


「ちがっ、そういう意味じゃ!」


 顔が熱い。


 終わった。


 本当に終わった。


 隣を見ると、レイがこっちを見ていた。


 びっくりするくらい優しい顔で。


「……そっか」


 その小さな声だけで。


 胸の奥が、どうしようもなく苦しくなった。

 第九話を読んでくださってありがとうございました。


 説明配信、完全に説明失敗でした。


 むしろ前より“本物感”が増しています。


 特にレイの

「まあ、本気ですね」

 は、かなり強い一言でした。


 あれ、冗談っぽく言っていますが、実際かなり本心です。


 そして今回一番大きいのは、ミオがついに否定しなかったこと。


「嫌いではない」


 かなり遠回りですが、ミオなりに精一杯の言葉です。


 レイはたぶん、その意味をちゃんと分かっています。


 あとコメント欄、もう完全に祝賀会状態でしたね。

 視聴者はずっと前から気づいています。


 ここから物語は、“隠す恋”から少しずつ“向き合う恋”へ変わっていきます。


 ではまた次回。

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