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百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


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8/13

トレンド一位おめでとうございます!

第八話まで読みに来てくださってありがとうございます。


 今回は、“事故”が完全に事故で済まなくなる回です。


 配信切り忘れ。

 トレンド入り。

 拡散。

 説明要求。


 ネットの熱量が一気に現実へ押し寄せてきます。


 でも今回本当に大きいのは、炎上そのものじゃありません。


 レイが初めて、“逃げない形”で感情を口にし始めたことです。


 今までは冗談っぽく濁したり、距離感で誤魔化したりしていた二人ですが、今回はかなり真正面です。


 そしてミオは、その真っ直ぐさに追いつけなくなり始めています。


 今回のテーマは、

「誤解で済ませたい気持ち」と「本当だと嬉しい気持ち」です。


 それでは第八話、どうぞ。

 スマホの通知音で目が覚めた。


 一件。


 二件。


 十件。


 百件。


「……うるさ」


 寝ぼけたまま画面を見る。


 その瞬間、意識が一気に覚醒した。


『#レイミオガチ』

『#配信切り忘れ』

『#本気だよ』


 全部トレンド入りしていた。


「……………………」


 終わった。


 人生終わった。


 通知欄を開く。


『昨日の配信やばすぎ』

『もう付き合ってるだろ』

『営業否定きた?』

『ミオ逃げてて草』


 無理。


 ネットが全部敵に見える。


 その時、着信。


 相手はレイだった。


「……もしもし」


『おはよ』


 声が普通すぎる。


「全然おはようじゃないけど!?」


『まあまあ』


「まあまあじゃない! 見た!? SNS!?」


『見た』


「なんでそんな落ち着いてるの!?」


 通話越しに、レイが少し笑う。


『ミオの方が可愛い反応してるなって』


「今そういうのいいから!!」


 頭を抱える。


 昨日のあれは事故だ。


 事故。


 なのに。


「……否定しないの」


 気づけば、そんな言葉が漏れていた。


 数秒、沈黙。


『ミオは、否定してほしい?』


 その返しはずるい。


「そういう聞き方やめて」


『じゃあ質問変える』


 レイの声が少しだけ柔らかくなる。


『昨日、嫌だった?』


「……」


 嫌じゃなかった。


 むしろ。


 少し嬉しかった。


 でもそんなの認めたら。


『ミオ?』


「……分かんない」


『最近そればっか』


「だって本当に分かんないんだもん」


 通話の向こうで、小さく息を吐く音。


『じゃあ、分かるまで待つ』


 優しい声だった。


 だから余計に苦しい。


     ◇


 昼。


 事務所。


 会議室へ入った瞬間、マネージャーが机に突っ伏していた。


「おはようございます……」


「おはようじゃないよ……」


 死んだ声だった。


 テーブルの上には大量の資料。


 そしてモニターには。


『【速報】人気Vtuber、配信事故で公開告白か』


「やめてください見せないで」


 私は顔を覆った。


 レイは隣で笑っている。


 なんで笑えるの。


「とりあえず今日、“説明配信”やるから」


 マネージャーが言う。


「え」


「誤解を解く感じで。変に黙るともっと燃える」


 説明。


 誤解。


 その言葉に、胸がざわつく。


「……何て説明するんですか」


「まあ普通に、“仲が良すぎて距離感バグってました”みたいな」


 それはまあ、事実。


 でも。


 レイが静かに口を開く。


「もし誤解じゃなかったら?」


 空気が止まった。


 マネージャーが固まる。


 私も固まる。


「……レイ?」


 レイは笑っていなかった。


 真っ直ぐ前を見たまま、静かに続ける。


「本当に好きだった場合って、どう説明するんですか」


 胸がうるさい。


 苦しい。


 逃げたい。


 でも。


 私はなぜか、その答えを聞きたかった。

 第八話を読んでくださってありがとうございました。


 ついに“説明配信”という、配信者もの特有のイベントが来ました。


 でもこの二人、説明しようとするほど余計ややこしくなるタイプです。


 特に今回のレイはかなり危険です。


「もし誤解じゃなかったら?」


 この台詞、ほぼ宣戦布告みたいなものなので。


 しかも本人、勢いではなくちゃんと考えた上で言っています。


 一方ミオは、まだ「好き」という言葉を受け止めきれていません。

 でも拒絶もできない。


 つまり今、感情だけ先に本物になって、言葉が追いついてない状態です。


 あとマネージャー、本当に胃が痛いと思います。

 たぶんこの作品で一番苦労してる人。


 次回、ついに“説明配信”が始まります。

 もちろん平和には終わりません。


 ではまた次回。

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