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百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


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7/13

配信を切り忘れた夜

第七話まで来てくださってありがとうございます。


 今回は、配信者ものでは避けて通れないイベント、

「配信切り忘れ回」です。


 しかもこの二人の場合、“一番切り忘れちゃだめなタイミング”でやります。


 ここまでずっと、

「営業だから」

「冗談だから」

 という逃げ道を使ってきた二人ですが、今回はついに“配信の向こう側”へ本音が漏れ始めます。


 そして視聴者は、こういう事故を絶対に見逃しません。


 今回のテーマは、

「隠していた感情は、案外一番見られたくない場所で漏れる」です。


 それでは第七話、どうぞ。

 「じゃあ今日はここまで〜!」


 レイが明るい声で締める。


『おつかれ!』

『今日もてぇてぇ』

『距離感バグってた』

『もう隠す気ないだろ』


 コメント欄が流れ続ける。


 最近ずっとこうだ。


 営業終了したはずなのに、むしろ前より空気がおかしい。


 今日だって。


 ゲーム配信中、レイが普通に私の肩へ寄りかかってきた。


 しかも無意識っぽかった。


 余計にだめ。


「レイ、重い」


『んー』


「返事適当すぎ」


『ミオの声落ち着くから』


『!?!?!?』

『今の聞いた?』

『夫婦会話』

『営業終了とは』


 コメント欄が爆発していた。


 私はもう途中から、画面を見るのを諦めていた。


「はいはい終わり終わり! 配信切るよ!」


 私は慌てて立ち上がる。


 レイは後ろで笑っていた。


     ◇


 そして。


 問題はここからだった。


「……疲れた」


 私は椅子へ倒れ込む。


「最近コメント欄怖すぎる」


「みんな楽しそうだけど」


「他人事だと思って」


 レイがくすっと笑う。


 そのまま私の隣へ座った。


 近い。


 最近、本当に自然に近い。


「ミオ」


「なに」


「今日さ」


 レイが少しだけこちらを見る。


「配信中、避けなかったね」


「……何を」


「肩」


 心臓が跳ねる。


 そんなの意識してたに決まってる。


 でも。


「……別に、嫌じゃなかったし」


 言った瞬間、自分で固まった。


 終わった。


 今の完全に終わった。


 レイも少し目を丸くしている。


「え」


「忘れて!!」


「無理」


 レイが笑う。


 でもその笑い方は、いつもより少し静かだった。


「ねえミオ」


「……なに」


「最近、期待していいのかなって思う」


 空気が変わる。


 冗談じゃない声。


 逃げたくなるくらい真っ直ぐな目。


「レイ」


「私、結構本気だよ」


 呼吸が止まる。


 言葉が出ない。


 だって。


 それを聞いたら、もう。


「……っ」


 その時。


 パソコンから突然音が鳴った。


『え、今の本気って言った!?』


 時間が止まる。


 私とレイは同時に画面を見る。


 そこには。


 まだ流れ続けるコメント欄。


『配信ついてる』

『切れてない』

『!?!?!?!?』

『伝説回』

『ガチ告白じゃん』


「……………………」


「……………………」


 沈黙。


 そして。


「レイ!!!!」


「いやこれミオが切るって」


「切れてないじゃん!!!!!」


 私は半泣きで配信画面へ飛びついた。


 コメント欄は地獄。


『付き合ってる!?』

『営業じゃなかった』

『全国放送告白』

『心臓止まった』


「終わった終わった終わった!!」


 慌てて終了ボタンを押す。


 画面が暗転する。


 静寂。


 数秒後。


 レイが小さく吹き出した。


「……ふふ」


「笑い事じゃない!!」


「でもさ」


 レイは、困ったみたいに笑う。


「もう隠せないかもね」


 その言葉に。


 なぜか少しだけ、胸が苦しくて。


 少しだけ、嬉しかった。

第七話を読んでくださってありがとうございました。


 ついにやりました。

 配信切り忘れ事故です。


 しかもレイ、ほぼ告白しました。


 本人はかなり自然に言っていますが、内心はたぶん心拍数すごいです。

 一方ミオは、完全に処理落ちしています。


 今回のポイントは、

「嫌じゃなかったし」

 をミオが無意識で口にしてしまったところです。


 もうこの辺りから、ミオの“拒否できなさ”がかなり本音寄りになってきています。


 あと視聴者側からすると、

「今までの全部、営業じゃなかったのでは?」

 という疑惑が一気に本物へ変わる回でもあります。


 ここから先、二人は“隠す”か“認める”かを少しずつ選ばなきゃいけなくなります。


 でもたぶん一番大変なの、次の日のSNSです。


 ではまた次回。

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