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百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


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18/20

隠さないって、こんなに怖い

第十八話まで読みに来てくださってありがとうございます。


 今回は、“隠すこと”と“隠せなくなること”の間にある回です。


 付き合う前の二人は、感情を知られるのが怖かった。

 でも付き合った今は、“隠し続けること”の方が少しずつ苦しくなってきています。


 特にレイは、かなりその状態です。


 好きな人を好きって言えない。

 幸せなのに、なかったことみたいに振る舞う。


 それって思ったより寂しい。


 今回のテーマは、

「恋は、隠しているだけでも溢れてしまう」です。


 それでは第十八話、どうぞ。

 『最近、隠さなくなったよね』


 そのコメントを見た瞬間。


 私はマグカップを持つ手を止めた。


 配信前の控室。


 隣ではレイがスマホを見ながら笑っている。


「何笑ってるの」


「“最近のレイミオ、付き合ってからの空気なんだよな”って書かれてる」


「っ……!」


 やめてほしい。


 心臓に悪い。


「でも当たってる」


「レイ!!」


 レイは悪びれもなく笑う。


 最近、本当に隠す気がない。


 いや。


 たぶん隠せなくなってる。


     ◇


『こんばんは〜!』


 配信開始。


 今日もコメント欄は早い。


『今日も彼女いる?』

『レイミオ助かる』

『付き合った?』


 私は見なかったことにした。


 無理だから。


「今日は雑談しながら作業します」


 レイが落ち着いた声で進行する。


 私は隣で資料を整理しながら、できるだけ普通を装った。


 すると。


『二人って今幸せ?』


 そのコメントが流れた瞬間。


 空気が少し止まる。


「え」


 思わず声が漏れる。


 レイがちらっとこちらを見る。


 その目が優しい。


「……どう?」


 なんで振るの。


 最近ほんとずるい。


「……知らない」


『出た』

『照れてる』

『幸せそうで何より』


 コメント欄が流れる。


 私は視線を逸らした。


 でも。


 レイが静かに笑う。


「私は幸せ」


「っ……!」


 心臓が跳ねる。


 コメント欄、大爆発。


『言ったーーー!!』

『本物じゃん』

『尊死』


 無理。


 もう配信にならない。


     ◇


 配信後。


 私は事務所のソファへ倒れ込んでいた。


「……最近のレイ強すぎる」


「そう?」


「絶対わざとでしょ」


 レイは少し考える。


「……前までは、我慢してたから」


 胸が少し痛くなる。


「ミオが怖がってたの知ってたし」


「……」


「でも今は、少しくらい伝えてもいいかなって」


 その声は静かだった。


 私はゆっくり顔を上げる。


「……レイ」


「なに」


「もしさ」


 喉が少しだけ震える。


「いつか、本当にバレたらどうする?」


 沈黙。


 でもレイは、迷わなかった。


「別にいい」


「え」


「怖くないわけじゃないけど」


 レイは少しだけ笑う。


「ミオを隠してる方が、最近つらい」


 胸がぎゅっとなる。


 そんなこと言われたら。


 もう、逃げられない。


「……私まだちょっと怖い」


「うん」


「でも」


 私は小さく息を吐く。


「レイの恋人なの、嫌じゃない」


 一瞬、静寂。


 レイが少しだけ目を見開く。


 そして。


「今キスしていい?」


「思考が早い!!」


 レイが声を出して笑った。


 その笑顔を見ながら。


 私は初めて。


 “隠さない未来”を少しだけ想像してしまった。

 第十八話を読んでくださってありがとうございました。


 今回はかなり、“恋人としての空気”が完成してきた回でした。


 特にレイの

「ミオを隠してる方が、最近つらい」

 は、今の二人を象徴する言葉だったと思います。


 好きになった頃は、“近づくこと”が怖かった。

 でも今は、“離したことにする”方が苦しい。


 関係がちゃんと変わってきています。


 そしてミオも、

「レイの恋人なの、嫌じゃない」

 と、かなり素直な言葉を言えるようになってきました。


 最初の頃を考えると、本当に大きな変化です。


 あとレイ、最近キスしたがりすぎです。

 恋人になった反動がすごい。


 物語も残りあと少し。

 ここから二人は、“配信者としての関係”と“恋人としての関係”に、最後の答えを出していきます。


 感想やブックマーク、本当に励みになっています。

 「ここ好きだった!」や、お気に入りの台詞などあれば、ぜひ教えていただけると嬉しいです。


 ではまた次回。

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