表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合営業のはずだった  作者: 星恋 hosiko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/20

“好き”って、言わせてよ

第十五話まで読みに来てくださってありがとうございます。


 今回は、ずっと積み重ねてきた感情がようやく言葉になる回です。


 この作品の二人は、

「好き」

 を簡単には言えませんでした。


 営業だったから。

 壊れるのが怖かったから。

 今の距離が大切だったから。


 でも感情って、不思議と“言わないまま”でも大きくなってしまうんですよね。


 今回のテーマは、

「答えは、言葉になる前からもう決まっている」です。


 それでは第十五話、どうぞ。

 最近、レイの距離が近い。


 いや、前から近かった。


 でも今は違う。


 前みたいな“営業の近さ”じゃない。


 逃がさないみたいな近さ。


 しかも本人にその自覚がある。


 たちが悪い。


     ◇


『今日の配信なんか甘くない?』

『空気やば』

『もう告白しろ』


 コメント欄が今日もうるさい。


 私はゲーム画面を見ながら、必死に平静を装っていた。


 無理だけど。


「ミオ、回復」


「え、あ、ごめ」


「集中して?」


「レイのせいで無理なんだけど」


 一瞬、沈黙。


 そして。


『!?!?!?』

『今のやば』

『無意識発言』

『ごちそうさま』


「……っ」


 やってしまった。


 私は慌ててマイクを伏せる。


「最悪……」


 隣でレイが肩を震わせていた。


「笑うな!」


「だって、かわいすぎて」


「うるさい!」


 コメント欄が完全に祭りだった。


     ◇


 配信終了後。


 私は逃げるように立ち上がる。


「帰る!」


「待って」


 レイに腕を掴まれた。


 心臓が跳ねる。


「……なに」


「話したい」


「今!?」


「今」


 逃げられない声だった。


     ◇


 事務所の屋上。


 夜風が冷たい。


 街の光が遠くに見える。


「……で、何」


 私は手すりにもたれながら聞く。


 レイは少しだけ黙っていた。


 珍しい。


 いつもならもっと余裕そうなのに。


「ミオさ」


「うん」


「まだ怖い?」


 その質問だけで、胸が痛くなる。


 私は小さく息を吐いた。


「……怖いよ」


「そっか」


「だって」


 言葉が詰まる。


「もし付き合って、終わったらどうするの」


 配信も。

 活動も。

 今の関係も。


 全部壊れそうで。


 レイは静かに聞いていた。


 否定しない。


 笑わない。


 ちゃんと待ってくれる。


「……でも」


 私は視線を落とす。


「レイが誰かのとこ行く想像の方が、もっと嫌だった」


 一瞬、風が吹く。


 沈黙。


 そして。


 レイが、少しだけ困ったように笑った。


「それもう答えじゃない?」


「うるさい」


「ミオ」


 名前を呼ばれる。


 優しい声で。


「私、ずっと待ってるけど」


「……」


「そろそろ限界かも」


 心臓が跳ねる。


 レイが一歩近づく。


 逃げられない距離。


「好きって、言わせてよ」


 その声は、少し震えていた。


 初めて見る顔だった。


 余裕のないレイ。


 苦しそうで。

 でも真っ直ぐで。


 私は息を呑む。


「……レイ」


「うん」


「私」


 喉が熱い。


 怖い。


 でも。


 この人から逃げたくない。


「私も、多分」


 レイの目が揺れる。


「レイのこと、好き」


 世界が静かになる。


 数秒。


 本当に数秒だけ、レイは動かなかった。


 そして。


「……っ、無理」


「え」


「今かわいすぎる」


「は!?」


 次の瞬間。


 私は強く抱きしめられていた。


「ちょ、レイ、苦し……!」


「ごめん無理。限界だった」


 声が少し震えている。


 本当に。


 本当に嬉しそうだった。


 私はその温度の中で、小さく目を閉じる。


 たぶん。


 もうとっくに、答えは決まっていた。

第十五話を読んでくださってありがとうございました。


 ついに言いました。


 ミオ、

「レイのこと、好き」

 認めました。


 ここまで長かったです。


 でも個人的には、この二人は“付き合う瞬間”より、“そこへ辿り着くまでの揺れ”が大事な関係だったと思っています。


 だから今回の告白も、

勢いではなく、

「怖いけど、それでも離れたくない」

 の先にある答えとして書きたかった回でした。


 そして今回のレイ、完全に限界突破してました。


 抱きしめるまでずっと耐えてたので、むしろよく今まで我慢したなレベルです。


 あと、

「好きって、言わせてよ」

 はかなりお気に入りの台詞です。


 “言ってほしい”じゃなく、“言わせてよ”。


 待っていた時間の長さが少し滲む言葉になっていたら嬉しいです。


 ここから二人は、“営業だった関係”ではなく、“恋人になった関係”を始めていきます。


 でももちろん、平穏には進みません。


 ではまた次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ