68話 戦争前日、兵士さんとの話
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10月2日水曜日。今日は起きてご飯を食べて、外壁の上にやってきました。……25m程あるんだもんな。高えなあ。見晴らしはいい感じなんだけど。
うーん、敵さんが見えませんね。今日では無いのかな? 明日は朝から開戦かなあ。どうなんだろう。この広すぎる空間を道と表現していいものなのか。殆ど平原なんだよなあ。
「こんにちは。敵さん来ませんね」
「今から見えてたらすでに開戦してるさ。戦争は初めてか?」
「戦場に出るのは初めてです。子供のころにあったことは知ってますが」
「なら覚えておくといい。見えるところまで来ていたら攻撃が届くと思った方がいい」
「は? あの距離を飛ばしてくるんですか?」
ここを25mとしよう。で、地球と同じくらいの星としよう。そうすると大体20kmくらいは遠くまで見通せるはずなんだが? 大体高さのmをkmに直せば見通せる距離が出たはずだ。……低い所の計算だったら。
「ああ、ある程度見えるようになったら飛ばしてくるぞ。魔法の射程距離は把握してるか?」
「……大体2kmくらいだと思ってたんですが?」
「当たるかどうかを無視すればその位が射程だな。あそこまで届くと思うか?」
「絶対に無理ですね。金属性でも距離は同じだったはずです」
「その通り。あの距離から攻城兵器が飛んでくる。それを撃ち落として貰うのが魔法使いの仕事だ」
「その攻城兵器があそこの大砲ですか?」
「ああ、あの魔道砲だな。連射は無理だ。10分に1射できるかどうかって所だな。狙いを定めてってしてると20分に1射できればいい方じゃないかな」
……高さ10mくらいの大砲が城壁の一部をくり抜いた所に配置してある。前来たときは置いてなかったんだよな。誰かの収納系スキルの中に仕舞ってあったのを引っ張り出して来たんだな。
東側だけ違和感があったんだけど、そう言う事か。敵の攻城兵器を破壊する用の兵器の置き場所だったわけだな。すっきりしたけど、そうじゃない。攻城兵器デカすぎじゃね?
「攻城兵器、大きすぎじゃ無いですか?」
「まあ、大きいとは思うがな。威力を考えるとこのくらいの大きさが無いと意味無いんだよ。これでも結界を突破するにはまだ足りないくらいだからな」
「……なら撃つ意味があるんですか? 結界を貫通出来ないんですよね?」
「攻城兵器を守るために結界を張ってるわけじゃ無いからな。攻城兵器に当たればいいんだ。……言いたいことも解るが。でもな、何もしないで防御だけしているわけにはいかんのだよ」
「そんなもんなんですね。見えた次の日に開戦って感じですか?」
「そうなる。予定では今日か明日頃には見える位置に来るはずなんだがな」
地平線を見つめるが、まだ何も見えない。向こうの町の城壁も見えない。向こうの城壁の高さを知らんけど。向こうの城壁はどのくらいあるんだろう。
「因みに、魔道砲の弾をHPで耐えるにはどのくらい必要ですか?」
「無理だろ? HPなんてよく行っても5桁が限界じゃねえか。そんなやわなもんじゃ余裕の貫通よ」
「結界はそれを耐えるんですよね?」
「結界はそう言うもんだからな。基本的には1回が限度だ。錬金術師が張る結界も1回ぶつければ魔力が殆ど無くなるって話だし、そうしたら攻城兵器の使用頻度が下がる。こっちはそれが狙いだ。攻城兵器に当たればなおよしだがな」
「結界を城壁に張り巡らせる訳にはいかないんですか?」
「あー、魔力が足りないんだよ。結界ったって特化型の結界なんだぜ? 物理防御に特化した結界。それを一瞬張るだけでも魔道具の魔力を使い切るんだぞ? そんなに広くになれば魔力が幾らあっても足りないし、どんな攻撃にも反応しちまうからな。城壁で耐えられるんなら放置だ。魔力が勿体なさすぎる」
「結界って広いイメージがあったんですが……」
「普通のはな。物理防御特化の結界はピンポイント結界だ。手のひらくらいの大きさだよ。その位でないと維持できない。それくらい魔力を喰うんだ」
「ああ、通りで話が繋がらないと思いました。それなら納得です。……他にも色んな話がありそうですね」
「まあ、過去に砲弾を斬った奴がいるって話もあったがな。斬って何になるんだって話なんだが。跳ね返さないと意味無いからな」
「そんなのオリハルコンでもないと剣が持たないんじゃ無いですか?」
「そりゃそうだ。普通の鋼鉄製の剣で斬れたら化物だ。余程のスキルが無い限りそんな無茶苦茶はできねえ。出来るんならハンマーかなんかで撃ち返して貰いたいくらいだ」
「そんな無茶苦茶な……大人しく魔法で叩き落としますよ」
「おう、期待してるぜ。魔法薬はたんまりとあるからな。色んなところで配ってるからよ」
遠くを見ても地平線しか見えないなあ。まだなんだろうな。早く来いとは言わんけども。遅く来られても準備してきましたってなるから嫌なんだよなあ。
でも今から迷宮に潜って帰ってきたら、絶賛攻城戦中って感じになるだろうしな。流石にそこまでは待ってくれないだろう。
「配置とかってあるんですか?」
「ん? 無いな。ともかく見えた物、片っ端から落としてくれりゃあいい。破壊できたらなおいいな。弩くらいなら壊せるだろ」
「優先順位とかがあれば教えて欲しいんですが」
「あー、そうだな。……門に飛んできたものさえ落としてくれりゃあ最低限だな。門が一番弱いからよ。そこを守ってくれるのが一番有り難い。……時間の問題だろうがな」
「向こうの攻城兵器の量にもよりますね。どのくらい来るか解りませんか?」
「全部何から何までひっくるめて500って所じゃねえか? 一番怖いのは魔道砲だ。次に投石器、錬金砲、大型弩、その他諸々って感じだ」
「じゃあ、門付近に飛んでくる魔道砲をなるべく叩き落とせばいい訳ですか」
「……最低限な。魔道砲は欲を言えば全部落として欲しいんだがな。あれが一番威力がありやがるからなあ」
「……なら魔道砲だけ揃えるって事はしないんですか?」
「金と資源があればそうしてるだろ。アイアンゴーレムを何体倒せばいいか解らんぞ。砲弾だって金がかかってるんだからな。相手の砲弾もこっちで回収して撃ち返すんだからな」
「撃たない方が、反撃の手がゆるみませんか?」
「そうなると近づかれるだろ? 近い方がよく当たるのは攻城兵器だって一緒だ。反撃しない訳にはいかんのだよ」
「それにしても、よく撃ち返せますね。国が違う……ああ、そうか。元々同じ帝国でしたっけ」
「そう言うこったな。あっちが使うもんはこっちも一通り持ってるんだ。開発してたら知らねえが、そんな天才はそうそう出てこねえしな」
……兵器じゃなくて白兵戦のエキスパートならこっちに産まれましたがね。ついこの間。促成栽培も完了して臨戦態勢ですよ。
「皆で仲良くって訳にはいきませんよね」
「国が別れたんだから無理だろうなあ。平和が一番なんだがなあ」
「ですよねー……また明日来ます。時間はこのくらいの時間で大丈夫ですか?」
「もっと早く来てくれ。下手したら開戦してる、そんな時間だ」
「ですか。解りました。なるべく早く来ます」
「そうしてくれ。壁と門さえ守り抜ければ向こうは撤退なんだ。頑張ってくれよ」
「多分無理なんでしょうけど、頑張ります」
「無理だろうなあ。まあ、白兵戦はやってやるからよ」
さて、今日は引き上げですか。……明日かなあ。農民兵ってことは貰えるスキルは農家系が多いんだろうなあ。他は何だろうか。人を殺すのが楽しみな訳じゃ無いんですけど、役得は貰わないとな。
さて、家に帰ってゆっくりと休みましょ。多分明日でしょ。できる準備はしておきましょう。武器の手入れくらいですけど。




