表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/268

第86話:知らぬはヘンドリック一人〜女子会編〜

番外編:知らぬはヘンドリック一人~女子会編~

 ヘンドリックが白目を剥いて気絶した直後。

 近衛兵たちがおっさんを担架で運び去り、王女が「では後ほど叙爵の準備を進めるぞ!」と颯爽と去っていった後。

 学舎の正門前には、エリーゼ、サンネ、ミラの三人と、ルークに寄り添うアイシャが残されていた。

 民衆の歓声も少しずつ遠ざかり、夕暮れの静けさが戻ってくる。

「……少しだけ、いいかしら」

 先に声をかけてきたのは、アイシャだった。

 三人が身構える中、アイシャはルークに「少し待っていて」と目で合図し、静かに三人の前に歩み寄った。

「敵意はないわ。……ただ、あなたたちに伝えておきたいことがあって」

 エリーゼが扇子を閉じ、静かに促した。

「……聞きますわ」

 アイシャは少しだけ遠くを見るような目をして、口を開いた。

「あなたたちが羨ましいわ。……実は私も、昔は本気だったの」

 三人の間に、ぴんと張り詰めた空気が流れた。

「あの人が私のパーティーにいた頃。私、本気であの人のことが好きだったの。でも彼は冒険者として活動している間はパーティーメンバーと恋仲にならないって、頑なに決めていて……」

「……それは、今も変わっていませんわね」

 エリーゼが苦笑いしながら呟く。

「でしょうね。……ダンジョンの罠で脚を怪我した時、人間なら数ヶ月は歩けないような重傷だったわ。あの頃のあの人の回復魔法も、今ほど優秀じゃなかったし、魔力量も今とは比べ物にならなかったから、十分に治してあげられなくて、ずっと自分を責めていたのよ」

「……それで、去ったんですか」

 サンネが静かに問い返す。

「ええ。1週間、毎日献身的に看病してくれたわ。……私が魔族だから1週間あれば十分だったけれど、あの人はそれを知らなかった。私が歩けるようになった朝、もうそこにいなかった。皆が引き留めたけれど……あの人は聞かなかったって」

「……」

「1週間、ベッドの上で動けない間に、気持ちが確信に変わったのよ。動けるようになったら伝えようって、ずっと思っていたのに」

 ミラが小さく「……切ないんだゾ」と呟いた。

 アイシャは小さく笑った。

「あの人らしいでしょう? 不器用すぎて笑えるわ。……今はルークがいるから、もう過去のことよ。でも、あなたたちには伝えておきたかったの」

「……何を、ですか?」

 サンネが静かに問い返す。

「あの人は、好きな人ができるたびに、同じことをするわ。責任を感じて、一人で抱え込んで、逃げていく。……だから、逃がさないで。あなたたちなら、きっとできるから」

 三人が静かに顔を見合わせた。

「……絶対に、逃がしませんわ」

 エリーゼが静かに、しかし力強く答えた。

「逃がさん。俺が……私が剣にかけて誓う」

 サンネが珍しく噛みながらも、真剣な目で言い切った。

「ボスはどこにも行かせないんだゾ。あたしが全力で追いかけるんだゾ」

 ミラが拳を握りしめた。

 アイシャは三人の顔を見渡し、満足そうに微笑んだ。

「……よかった。あなたたちなら、大丈夫ね」

 彼女は踵を返し、待っていたルークの元へと歩いていく。

「アイシャ、話せたか?」

「ええ。……やっと、すっきりしたわ」

 ルークがアイシャの肩をそっと抱く。二人は夕暮れの王都の雑踏へと、静かに消えていった。

 残された三人は、しばらく黙って立っていた。

「……知らなかったですわ。あの人に、そんな過去があったなんて」

 エリーゼが静かに呟く。

「ずっと一人で背負ってたんだな」

 サンネが遠くを見ながら言った。

「……ボスのバカ」

 ミラが涙目になりながら、ぽつりと呟いた。

 三人の間に、柔らかい沈黙が落ちた。

 そして。

「……逃がさないわよ、ヘンドリック」

 エリーゼが誰にも聞こえないほど小さな声で、夕暮れの空に向かって呟いた。

 それは誓いだった。

 アイシャから受け取った、静かで確かな誓いだった。


 知らぬはヘンドリック一人。

 今日も最強の便利屋おっさんは、自分をめぐる女子会の内容を知らないまま、担架の上で白目を剥いて運ばれていくのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
なんか設定がよく分からないんですが。 主人公は35歳で妹は学生? 魔族の女性が恋人ってのは主人公の妄想だったんですね。 あと細かい様ですが。 35歳の主人公が「35年間背負い続けて~」ってのは少し違…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ